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EPISODE12 夢幻の迷宮

ドレイクシティの巨大な公園で殺人事件が発生。


現場に駆けつけたロドリゲス警部は、ミラーとジェンキンスに尋ねる。


「被害者の死因は?」


「腹部を食い千切られたことによるショック死のようです。」


「犯人はゾンビか?レクター博士か?」


「あら、警部。映画じゃないわ。最近スラム街に流れている噂の怪物よ。目撃者が既に数名居るの。」


「つまり... 爬虫類人間か?」

ロドリゲス警部が尋ねると、ミラーが言った。


「噂では、生まれつきの奇形を気味悪がった母親によって下水道に棄てられた赤ん坊のようです。」


「名前もつけられずに...か。気の毒な話だな。」


「目撃証言によると、怪物ムンゴーは地下鉄に逃げたようで...」


「奴が他の市民を襲ってはマズイな... もう、彼は来てるだろう。」


ロドリゲス警部とミラー、ジェンキンスは車を走らせ、地下鉄へ。


そこにはファルコンマンが居た。


「やはり、居たか。」


「警部、奴は私が食い止める。これ以上犠牲を増やしてはいかないからな。」


「わかった。だが、無理はするな。念の為、無線を繋いでおく。必ず生きて帰って来いよ...」


「ああ。」


ファルコンマンは暗闇に包まれた迷宮のような地下鉄へ歩を進めた。


無線で、サムとサーシャに連絡をとる。


「サム、俺が話さなくなったらそのときは...」


「大丈夫だ。お前なら死にはしないさ。」


「そうよ。ところで、トビアス...」


「ファルコンマンだ。」


「...OK。ファルコンマン、あなたに渡した探知機があるでしょう?赤があなたで、青が敵よ。」


「ありがとう、サーシャ。丁度奴が近づいて来たよ...」


「何ですって!?油断しないで!」


「わかってる...」


警戒するファルコンマン。


暗闇から唸り声が聞こえる。


ファルコンアイを作動させ、暗視モードに切り替える。


すると、前から醜悪な怪物か突進してきた。


ムンゴーだ。


ムンゴーの強靭な肉体から繰り出される突進に吹っ飛ぶファルコンマン。


「警部...ムンゴーと交戦中だ...」


「何だと!? 奴の歯には気をつけろ!」


「有難いが...」


ファルコンマンは首を絞められ、もがき苦しむが、ムンゴーはファルコンマンの腕に噛み付いた。


悲痛な叫びと共に大量の血を流すファルコンマン。


無線からロドリゲス警部の声が響く。


「ファルコンマン!」


しかし、無線はムンゴーに破壊され、ファルコンマンは無惨に叩き潰されるのだった。


ぐったりと倒れるファルコンマン。


ムンゴーはファルコンマンを担いで、どこかに連れて行った。


意識が朦朧とする中、ファルコンマン=トビアスは思うのだった。


(僕はここで死ぬのか...?)


目を覚ますと、何か研究所のような部屋に居た。


担架に縛り付けられ、力を入れようとするが、充分に発揮できない。


暫くすると、山羊のマスクを着けた男が部屋に入ってきた。


「おやおや、お目覚めのようですね...」


「貴様は...Dr.リグナーだな...?」


「覚えていましたか。今の私はカプリコーンですよ。ファルコンマン。あなたは私の幻覚誘発装置の被験者第1号だ。ずっとこの瞬間を待っていたのですよ。」


「貴様が... あの男を利用していたのか...」


「男?ああ、あの怪物ですね?あれは私にとって革新的な実験材料でしたよ。投薬の結果、ハヤブサを恐れないようになりましたからね。つまり、あなたのような男をね。まあ、そんな話はさておき、今からあなたには不思議の国へトリップしてもらいますよ。」


カプリコーンは、幻覚誘発装置をファルコンマンの頭に装着した。


しかし、ファルコンマンには幻覚が現れない。


「おや?おかしいですね...効果が薄い...まあ、いいですよ。眠ってもらいましょう。」


睡眠ガスを吸わされたファルコンマンは、深い眠りへ落ちて行った。


気がつくと、ファルコンマンは悪夢の世界に来ていた。


地面は所々透明で、空には巨大なカプリコーンの顔の月が出ていた。


墓場から、スケルトンが這い出て、ファルコンマンに襲いかかる。


すかさず応戦するファルコンマン。


しかし、倒しても倒しても何度も現れるスケルトンに圧倒される。


ファルコンマンは、その場から逃亡し、脱出を試みる。


途中、無造作に停められたダークランナーを発見、乗ろうとするが、ダークランナーは塵となって消えていった。


(早く...目を覚まさないと...)


しかし、出口は見つからない。


そのまま彷徨っていると、深い穴に落ちた。


ファルコンマンは、ベルトからフックショットを取り出し、上へ上がろうとするが、フックショットは塵となって消えていった。


(クソッ... 俺は道具が無ければ何もできないのか...?)


そう思ったとき、さらなる悲劇が彼に襲いかかる。


どこからともなく、声が聞こえてくる。


「頼む!妻と息子だけは殺さないでくれ!撃つなら私を撃て... 」


「知るか...」


「やめろぉ...!」


鳴り響く銃声。


「パパ... ママ...」


子供の声も。


自らのトラウマだ。


さらにまた声が。


「化け物ですって?同類のあなたなんかに言われたくないわ... いずれ、あなたは必要とされなくなるのよ。」


悪魔のような少女アリスの声だった。


さらに深い穴に落ちて行く。


ファルコンマンはついに絶望した。


(もう...ダメかもしれないな... 俺が死んだら... 代わりはいくらでもいる... それに...多少は平和になるはずだ...)


弱気になる彼に語りかける声が。


(トビアス... 自然の力を感じるのよ... こんなところであなたは死ねない...)


(マヌエラ... もういいんだよ。僕はもうファルコンマンじゃない...)


(あなたはそんなに弱い人間じゃないはず...

それにあなたには守るべきものがあるはず...)


(守るべきもの?)


(そう。あなたが1番よく理解しているはず...)


彼女の言葉にトビアスはイメージが浮かんで来た。


ロドリゲス警部、


メアリー、


サム、


サーシャ、


そして、かつての戦友たち...


(そうか... 守るべきもの... 彼らが支えてくれたから僕は...)


ファルコンマンは、立ち上がり、叫びを轟かせた。


それと同時に目を覚まし、全身の力を込めて担架から脱出。


慌てたカプリコーンはまた睡眠ガスを吸わせようとするが、ファルコンマンはエレクトリックショットで牽制。


睡眠ガス射出装置を破壊されたカプリコーンはムンゴーにその場を任せる。


巨体で、ファルコンマンを拘束するが、ファルコンマンはファングでムンゴーの肩を切りつけ、脱出。


大量の血を流したムンゴーと、カプリコーンは闇へ消えていった。


ファルコンマンは、研究所に捕らえられている人々を解放、先導する。


「みんな、俺についてくるんだ!」


彼らはファルコンマンを信じて走る。


やがて、光が見えてきた。


出口だ。


その先には、ロドリゲス警部を中心とした警察が。


「人質を救出した。後は頼む...」


「わかった... ところで奴は?」


「両方とも逃してしまった...」


「気にするな。いくら君でも傷だらけの身体じゃ体力が持たないだろう...」


「では、次の機会に...」


ファルコンマンはダークランナーに誇り、風の如く走り去って行くのだった。

NEXT EPISODE... EPISODE13「ラッシュアワー」ようやく取った休暇でショッピングを楽しむため電車に乗るジェンキンス刑事。しかし、乗客で混雑する車内は、突如として、テロリスト集団シャドウによって殺戮場へと変貌した。さらに、この電車を爆破すると乗客と警察に脅迫。そして、またも現れるラフィングマン... トビアス率いる精鋭部隊は、救出作戦を決行するが...

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