EPISODE10 精鋭たちの帰還 ~FEAR IS COMING~
ドレイクシティ国際空港。
トビアスは空港の前で誰かを待っていた。
空港から4人の男女が出てくる。
そのうち1人がいち早く彼に声をかけた。
「やあ、トビアス。久しぶりだな。うまくやってるか?」
「おお、ジム。まあね。君たちは?」
「相変わらずダラダラ傭兵続けてたよ。でも、お前の会社所有の特殊部隊に雇われたおかげで、やっとあの生活ともおさらばだ。」
「そりゃ、嬉しいね。さあ、研究施設に行こうか。君たちの部屋もあるし、サムと会わなきゃな。」
5人は車で研究施設へ向かった。
施設に入ると、4人は驚きを隠せなかった。
ジム「でけぇな・・・」
ニッキー「こりゃ、迷いそうだ・・・」
アン「最先端の研究施設ね・・・」
ジェイク「ネットワーク技術も高そうだ・・・」
「みんな驚いたかい?ノーラン・ミリタリー・インダストリーズはドレイクシティで有数の巨大軍需企業なんだ。中国系の企業が支配する中、健闘している数少ない企業でもある。さあ、ここだよ。」
部屋に入ると、サムが座っていた。
「おお、来たか。君たちがトビアスの戦友だな?」
「お会いできて光栄です。ミスターノーラン。」
4人を代表して、ジムが握手を求めた。
「今日は疲れているだろう、ゆっくり休みなさい。サーシャの部屋の隣に並んでいる部屋だ。」
4人は敬礼をして、それぞれの部屋に行った。
サムはトビアスに言う。
「良い仲間を持ってるじゃないか。」
「まあね・・・でもみんな変わったよ。僕が海兵隊にいた頃は・・・」
「どうかしたのか?」
「話すと長いんだ。気にしないでくれ・・・」
トビアスは部屋を出て行った。
一方、ドレイクシティの銀行。
オフィスで、従業員と経営者と思わしき小太りの男が話し合っていた。
「少し、疑問に思うことがあるのですが・・・」
「何かね?」
「資金洗浄の事実がもし発覚したらどうするのですか?」
「君がそんなことを聞くとはな・・・警察は犯罪組織に手も足も出ない。」
「いえ、警察ではなく、この銀行が・・・不謹慎ですが襲撃されたら・・・」
「この銀行を襲う悪党など余程の馬鹿だ。犯罪組織は奴らが死ぬまで追いかけ、そして蜂の巣にする。」
「でも・・・」
「もう十分かね?さあ、自分の仕事に戻れ。わしは忙しいんでね・・・」
経営者が言いかけると、オフィスの外で銃声が。
「何事だ!?」
デスクに隠れながら様子を窺うと、武装した笑い顔のマスクを着けた男たちが銀行を占拠していた。
「さあ、おとなしくするがいい。お前たちは我々のゲームのプレイヤーだ。生きたければ騒ぐな!」
「あいつら、何を言ってる?」
経営者は銃を構えながら呟いた。
経営者は銃を持って、オフィスを出た。
それを止める従業員たち。
「ダメです!危険すぎます!」
経営者は忠告を聞かず、背中を向けている男に威嚇射撃した。
「貴様ら、襲撃する銀行を間違えたな!誰の金があるのかわかってるのか?」
「我々は金など必要ない・・・」
「何だと・・・?」
「お前たちが我々のゲームに勝利することができるか試したいだけだ。負けた者から1人ずつ殺す。」
「この異常者どもめ・・・」
経営者は最も近くの男に発砲した。
バタリと倒れる男。
経営者は叫ぶ。
「貴様らの仲間が消えたぞ!?どうだ、もうじき警察がお前らを捕まえに来る!」
次の瞬間、男は立ち上がり、
「影に生きる者に銃弾など効かん・・・!」
男は経営者を射殺した。
恐怖に怯える従業員と、市民たち。
「さあ、ゲームは始まっている。お前たち全員が生き残れるか試してみよう。」
リーダーと思われる男は他の者と違い口が裂けたマスクを着けていた。
まるで、人の苦しみを笑いすぎて裂けたかのような・・・
その頃、銀行は警察に包囲されていた。
ロドリゲス警部が制服警官に尋ねる。
「状況は?」
「犯人グループは人質をとって立てこもっている模様です。」
「クソッ・・・交渉に応じる気は無しか・・・」
ロドリゲスはそう言うと、警察の番号へ電話が。
「交渉する気になったか?」
「おや・・・その声はロドリゲス警部だな・・・?」
「何故知ってる?」
「有名だからな・・・まあ、そんな話はどうでもいい。我々はゲームを開始した。彼らが抵抗すれば、1人ずつ殺していく。もし、君たちが突入するのなら、この銀行を爆破する。」
「爆破だと・・・?」
「信じるか信じないかは君次第だ。我々は低俗な犯罪組織に代わってこの街を支配する。ドレイクには我々のような上質な悪が似合う。ゲームは明日の5時までだ。5時までにプレイヤーや君たちが抵抗しなければ、君たちの勝利だ。だが、それはあくまでこの件のみ。我々は金など必要ない。では健闘を祈るよ・・・」
電話が切れた。
「奴らは人質が抵抗すれば1人ずつ殺すと脅迫してきた・・・突入は不可能だ・・・」
「警部、SWATからの連絡ですが・・・屋上から突入は・・・」
ミラーが言った。
「いや、彼らは我々が突入すれば、この建物を爆破するらしい・・・」
「待ってください、警部。」
ジェンキンスが呼び止める。
「彼らの狂言回しとも考えられるわ!人質と警察両方に脅しをかけるための・・・」
「いや、奴らはテロリストだ・・・彼らは犯罪を楽しんでいる・・・ゲームと呼んでいたからな・・・死を恐れていない故に爆破できるのだろう・・・あれはウソでは・・・」
「我々が突入する。」
バンから降りてきたトビアスが言った。
「キートン!ここは警察の管轄だ。」
「あいにくだが警部、ノーラン産業の私設部隊はSWATより優秀だ。」
トビアスがそう言うと、バンから4人が出てきた。
「奴らは我々の存在を知らない。だから、ここは任せてくれ。」
「うむ・・・何だか知らんが・・・いいだろう。本部長にも連絡しておく。」
「その必要はない。市長の後押しを受けているから。」
「そうか・・・わかった。」
ロドリゲスが了解すると、トビアスたちはバンに戻って作戦を立てる。
サーシャがパソコンのモニターに銀行内部を表示し、説明した。
「まず、このダクトから、トビアスとジム、アンが潜入して、彼らの様子を窺い、ニッキーとジェイクはこの非常口から潜入。通信はこまめに行うようにね。あと、トビアスは念のためにこれを持って行って。」
渡されたのはアルミケースだった。
「中身は?」
「緊急時のお楽しみ。」
「そうか・・・楽しみにしとくよ。」
トビアスはそう言うと、ジム、ニッキー、アン、ジェイクと共に建物へ潜入を開始した。
ダクトを通るトビアス、ジム、アン。
どうやら犯人グループは、人質を3箇所にまとめていた。
「ニッキーとジェイクが突入したら、僕たちも下へ行くぞ。」
「了解。隊長。」
「女だからって甘く見ないでよ?」
彼らはニッキーたちの通信を待った。
一方のニッキーたちは、非常口で突入の準備をしていた。
「ジェイク、閃光の準備はいいか?」
「OK。ニッキー。」
「よし、行くぞ・・・」
ニッキーは非常口を力強く開け、突入。
同時に閃光手榴弾を投げた。
彼らは目をやられたが発砲してきた。
「トビアス!突入開始だ!」
通信を受け取ったトビアスは、
「行くぞ!」
ジムとアンに言った。
3人は降りて、トビアスたちと犯人グループの銃撃戦が始まった。
そんな中、リーダーと思われる男が、煙をまいて姿をくらませる。
「トビアス!あいつが逃げたぞ!」
叫ぶジム。
トビアスはリーダーと思われる男を追った。
途中で、アルミケースを開け、ファルコンマンに変身。
「やっぱり・・・これだったか・・・」
ファルコンマンは急ぐ。
男はエレベーターで屋上に向かっていた。
ファルコンマンも屋上へ。
そこには男が背を向けていた。
「さすがだ。ドレイクシティの英雄戦士。」
男は攻撃を仕掛けてきた。
すかさず避け、ファングを男のマスクにヒットさせる。
マスクが半分だけ割れ、素顔を隠す男。
「私の負けだ。ファルコンマン。君を侮っていたよ・・・だが、私が死んで全てが終わったと思わないことだな・・・ラフィングマンは不滅だ・・・」
男は屋上から身を投げた。
ファルコンマンは男が身を投げた下を見下ろすと、急いで4人のもとへ向かった。
続く銃撃戦のさなか、現れるファルコンマン。
華麗な格闘術で、1人また1人と打ち倒していく。
犯人グループを倒し、ファルコンマンは4人を見つめた。
ジェイクが叫ぶ。
「トビアス!トビアスなんだろ!?大丈夫だ、誰にも言わないから!」
ファルコンマンは去って行った。
数分後。事件は鎮圧、人質は救出され、報道陣が駆けつけていた。
メアリーたち新聞記者も。
少し外れた場所で、トビアスとロドリゲス警部は語り合っていた。
「それにしても君の部隊は見事だった・・・」
「ありがとう・・・でも、奴が残した言葉が気になる・・・」
「自殺したグループの主犯か?奴の身元は現在調査中だが・・・奴が何か言っていたのか?」
「これで全てが終わったと思うな・・・と。また次のテロが実行されるかもしれない・・・」
「そうだな・・・」
街は不穏な空気に包まれていた。
そう、恐怖はまだ始まったばかりだ・・・
NEXT EPISODE・・・EPISODE11「警部の長い1日」ロドリゲス警部は今日も出勤だ。猟銃で妻子を殺し、自らも自殺した男の事件現場に向かい、自殺志願者を止めに行き、子供を人質にとった男を逮捕する。ロドリゲス警部はふと考えるのだった。「この街に子供たちへ未来を託す価値があるのだろうか?」。