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EPISODE09 美しき刺客

夜のチャイナタウンの路地裏。


トライアドの構成員数名とローブを羽織った謎の人物が小規模な銃撃戦を繰り広げていた。


ローブを羽織った人物は、サイレンサー付きの拳銃で次々と構成員たちを射殺。


反撃の隙を与えなかった。


ローブを羽織った人物は、彼らが死んだのを確認すると、フードをとった。


素顔はロシア系の女性であった。


ローブを脱ぎ、私服姿になると、銃をズボンにしまおうとしたそのとき。


突然背後から何者かに鈍器で殴られる。


銃を落としてしまい、何かが頭の中から吹っ飛んだような気がした。


殴ったのは中国系の男だった。


ニヤニヤとした表情で近づいてくる。


地面に倒れた女性は、その場から逃げ出した。


チャイナタウンの近くを走らせる車。


ミラーが乗っている車だ。


彼は、運転しながら電話をかけた。


「もうすぐ帰るよ。待っててくれ。」


「早く帰って来て!久しぶりの外食なんだから!」


彼には交際している女性が居た。


今日は久しぶりの帰宅なのだ。


そのまま車を走らせていると、道に女性が倒れてきた。


慌てて車を停め、女性の元へ向かうミラー。


「君!大丈夫か!?」


彼女は鈍器で殴られたため、ぐったりしている。


すると、そこに鈍器を持った中国系の男が現れた。


「おい!そこの兄ちゃん。その女を離しな!」


男の声に反応したミラーは拳銃を抜いて、警告した。


「警察だ!武器を捨てろ。」


「チッ...デカかよ...」


男は逃亡していった。


ミラーは女性を車に乗せると、そのまま帰路についた。


「どうしたの!?その人...」


ミラーの幼馴染のエリンは言った。


女性を抱きかかえ、リビングのソファに寝かせながら、ミラーは答えた。


「道で倒れてたんだ... しかも、男につきまわされて...」


「警察には連絡したの?」


「いや... しばらくここで安静にさせようと...」


「悪いことは言わないけど...その人の身元は?」


「それが...彼女ずっと気を失っていてな...」


そのさなか、電話が。


電話にでるミラー。


「もしもし...」


「もしもし、ロドリゲスだ。ミラー、帰宅途中すまんが事件だ。」


「俺ならもう帰ってますよ。それで、どんな事件ですか?」


「トライアドの構成員数名が射殺された...」


「わかりました...すぐ向かいます。」


現場に到着したミラーは、ロドリゲス警部とジェンキンスと合流。


「おう、来たかミラー。すまんな、急に呼び出して...」


「いえ、事件なら迷わず飛んできますよ。」


「そうか。今回の事件は早々に処理できそうだ。ジェンキンス、彼に見せてやれ。」


「ええ。ミラー、これが犯人の使ったとされる拳銃よ。でも肝心な指紋が見つからないのよ...」


「9m弾か...」


ビニールに入った拳銃を見て呟くミラー。


「俺が指紋を取ろう。」


そう言いながら来たのはファルコンマンだった。


ロドリゲス警部は彼の登場に驚きつつ、言った。


「どうでもいいが、早めに済ませろよ...」


ファルコンマンは弾丸を拾い、それを持って帰った。


ノーラン産業に戻ったトビアスは、サーシャに弾丸の指紋を検出するように頼んだ。


「サーシャ、こいつの分析を頼む。」


「OK。すぐに終わるわ!」


サーシャは、自作の指紋検出装置に弾丸をセット。


指紋が検出された。


「あとは、この指紋からホシを割り出すだけよ。」


サーシャはネットに繋いで、この指紋の主を検索。


「あったわ!」


画面を見るトビアスとサム。


指紋の主は女性であった。


「KGB...スパイか...」


サムがコーヒーを飲みつつ、呟いた。


彼女のデータを説明するサーシャ。


「名前はエヴァ クリンコフ。髪は金髪、身長180cm、元ロシア軍所属... これが彼女のデータだわ。」


「さすがサーシャだ! 警部に連絡しよう。」


トビアスはロドリゲス警部に電話をかける。


「もしもし、警部。」


「何だね?」


「ホシのデータが判明した。 ホシはKGB工作員だ!」


「KGBだと!?」


「ああ、エヴァ クリンコフという工作員だ。」


「わかった...協力に感謝する。」


ロドリゲス警部は、ミラーとジェンキンスにそのことを話した。


「ホシがわかったぞ!KGB工作員のエヴァ クリンコフだ。」


ロドリゲス警部は2人に写真を見せた。




「KGB!?」


ミラーとジェンキンスは驚くが、ミラーだけはこの女性を知っていた。他でもない自宅で寝かせている女性だ。しかし、知っているとは言わず、黙ったままのミラー。


「ああ、そうだ。明日は捜査で忙しくなるぞ。」


数分後。帰宅したミラーはエヴァの様子を見に行った。


エリンは既に自室で寝ていた。


エヴァは随分回復したようで、起きていた。


「気分はどう?」


「大丈夫...」


「何か欲しい物とか...」


「それ、綺麗...」


エヴァは飾ってあるバラを指して言った。


「このバラのことかい?」


頷くエヴァ。


「そういえば、名前聞いてなかったな... 君の名は?」


「エヴァ...」


「エヴァか... 良い名前だ。俺はティム。」


(やはり記憶喪失か...)


「何も覚えてないのかい...?」


「何のこと...?」


「いや、別に...」


(しまった、何故そんなことを聞くんだ...冷静になれ...)


「もし、何か必要だったら言ってくれよ。」


「ティムって、優しいんだね... ありがとう...」


「いや、当然のことだよ。困ってる人を放っておくわけにはいかない。怖かっただろ...? ここは安全だから... 」


「ありがとう...」


「じゃ、俺は隣の部屋に居るからな。必要ならいつでも呼んでくれ。」


ミラーは隣の部屋でベッドに寝転がると、拳銃を枕元に起き、眠りについた。


エヴァは起き上がると、ミラーの部屋に向かった。


彼の拳銃を持って、家を出ると、走り出した。


心の中でミラーに悔いるエヴァ。


(ごめんなさい...ティム... 私、嘘をついてたわ... あなたと違う世界の住人だから...私にはやるべきことがある...)


エヴァはチャイナタウンへ向かっていた。


警戒していた警察が彼女を目撃。


ロドリゲス警部たちに連絡した。


その頃、ふと目を覚ましたミラーはロドリゲス警部からのメールを受け取った。


「ミラー、チャイナタウン付近でホシが目撃された。」


ミラーは枕元に拳銃を取ろうとするが、


無い。


「まさか... 」


ミラーは家を飛び出して行った。


一方、チャイナタウンの中華料理店に入ったエヴァは酒を飲んでいるあの男を発見。


拳銃で射殺しようとするが、それに気づいた男は拳銃でエヴァの腕を撃ち抜いた。


店内に響く悲鳴。逃げ惑う人々。


男はエヴァにトドメを刺そうと近づいた。


「グヘヘヘ...お前さんの妹美味かったぜ...あんがとよ...」


男がエヴァを撃とうとしたそのとき。


ミラーが突入し、男に予備に持っていた拳銃を向ける。


「銃を捨てろ。」


「また、お前か。妹をヤったぐらいでキレたこの女を助ける価値があるのか?」


「彼女は...お前らのようなクズとは違う...」


「ほう...この女を殺す前にお前を殺してやる。」


男は銃をミラーに向け、引き鉄を引こうとした。


そのときだった。


エヴァは彼の盾になり、心臓を撃たれた。


大量の血を流して倒れるエヴァの手を握るミラー。


そんな彼に銃を向け、殺そうとする男。


そこにファルコンマンが現れ、男の銃を蹴り飛ばした。


怯んだ男はナイフを取り出し、ファルコンマンに襲いかかる。


しかし、ファルコンマンはかわしてテーブルまで吹っ飛ばすと、警察のサイレンの音が近くなってくるのを察知し、風のように去っていった。


店に入ってくるロドリゲス警部とジェンキンス、警官たち。


男の腕に手錠をかけるロドリゲス警部。


「ホワン チェン、強姦と殺人罪で逮捕する。」


チェンを警官に連行させ、ミラーに聞いた。


「怪我は?」


「いえ、怪我はありませんが...彼女が...」


「そうか... 彼女はお前の優しさに気づいて...」


「ええ... 彼女の肉体は滅びましたが...」


「だが、彼女の精神はお前の心に残るはずだ...彼女の最期の純粋な人間とのコミュニケーションだ...」


ロドリゲス警部がそう言うと、ミラーはエヴァの手をずっと握っていた...











NEXT EPISODE...EPISODE10「精鋭たちの帰還 FEAR IS COME」トビアスの海兵隊時代の戦友がアフリカから帰ってきた。再会を喜ぶトビアスと戦友。しかし、そんな彼らをあざ笑うかのように、新手のテロリスト集団「シャドウ」が銀行を占拠した。トビアスと戦友たちはかつての戦いの日を思い出し、シャドウに挑むが...

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