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~第一章・月桂樹の葉~

ども精霊の庭園です。(>_<)

最近は仕事が忙しく・・・なかなか思うようにお話が書けないというのが

現状です。

しかし諦めませんよ!まだ始めたばかりだもん!!

というわけで新説しての新たな一章です。

かなりの変更があったりなかったり良ければ読んでいただけると幸いです

走る。ただひたすらに走る。後ろから迫りくる追手から逃げる為にただひたすらに森を走っていた。


・・・・・・メキメキ、バキッ


木々をなぎ倒す音がだんだん近くなってきていた。

巨大な獣。大きさは4メートルにもなる巨体の獣は迷うことなく獲物を追いかけていた。


「はあ、はあ、まずいなぁ・・逃げられないよ。」


逃げているのは少女のようだ。獣にとって少女の肉は柔らかく極上の獲物だ。

絶対に逃がさないとばかりに執拗に追いかけてくる。

走り続けて疲れてきたのか足が重くなる。体が限界だと訴えているようだ。

しかし獣は疲れを感じることなく木々をなぎ倒し迫ってきていた。

それでも走る。休むのは逃げ切った後で十分にできる。そう考え再び走りだす

何処をどう逃げ回ったかわからないが不意に足を止めることになった。


「・・・・うそ。」


目の前に広がる絶望的な光景に絶句した。

後ろから迫ってきている獣と同じ獣が目の前にもう一体いるのだ。

挟み撃ちにされたことに今気づく。それと同時にもう逃げることは不可能だと悟った。


「グルルルルルル」


挟み撃ちにした獲物は勝ち誇ったように唸り声を上げる。

獲物を捕えるのが待ちきれないのか待ちかまえていた獣が少女に襲いかかる。

4メートルの巨体が口を大きく開き跳びかかる。


「くっ。」


少女はとっさに横に跳びその攻撃をかわす。しかし獣の牙が着ていたローブに引っ掛かり

ローブが破れてしまう。バランスを崩した少女は地面を転がりどうにか起き上がる。

頭まで被っていたローブは破れ素顔が覗いている。体制を立て直す間もなく次の攻撃が来る。今度は避けきれない。そう思い女は死を覚悟し目を閉じる。

獣の牙が女の柔肌に突き刺さり女は獣たちの餌になるその瞬間を待っていた。


・・・・・・・・・・・・・?


おかしいその瞬間がいつまでたっても来ない。あるいは痛みを感じることなく

死んでしまったのだろうか?女はゆっくりと目をあける。そこには信じられない光景が広がっていた。獣の前に少女を庇う様に一人の少年が立っていた。


「イリス、無茶しすぎだよ?」


少年は獣を見たまま少女――イリスに声をかけると両手に持っていた武器をかまえた。

双銃剣。少年が構えた武器はそう呼ばれるものだった。銃に長さ60センチ程の付いている武器だ。


「グルアアアアアアアアアア」


獲物の前に突然現れた少年に獣は容赦なく襲いかかる。

少年はその攻撃を避けることなく双銃を向けトリガーを引いた。


ドン!ドン!!


二発の銃弾は獣の頭を打ちぬき声を上げることなく絶命した。


「グルッ!?」


仲間がやられたことについていけてないのだろう。もう一体の獣はその場にとどまっている。少年はその隙を逃さず、一瞬で獣との間合いを詰め右手の銃剣で獣の首をまっぷたつに切り裂いた。先ほどと同じようにその獣も声を上げることなく息絶えた。残ったのは少年と地面に座り込んでいる少女だけだった。

少年は少しの間辺りを警戒していたが、安全だと判断し警戒をといた。

それと同時に両手に持っていた双銃も淡い光を放ちながら、ゆっくりと消えていく。


「ふう。イリスどこか怪我とかしてないかな?」


少年はゆっくりとイリスに振りかえる。白いコートに褐色の肌、太ももや両腕には装飾が施された軽装の鎧をまとっている。少し逆立ったような銀髪。そして何より目立つのはその瞳だった。オッドアイ。右目は空のように蒼い瞳。左目はそれとは対照的に紅く、真っ赤なルビーを連想させる。


「もう、ライカ遅いよ!もう少しで私あの獣の餌になってたよ?」


イリスは少年――ライカに少し怒り気味で抗議する。


「ごめんね?でも、まだ零装神器アークも持ってないのにろくな装備もせずこんな森の深くに入るイリスにも責任があると思うよ?」


ライカは少し苦笑いをしながら答える。ここはエルティアにあるウルスの森と呼ばれる場所だ。比較的魔物も少なく安全だが稀にさっきの様な魔物も存在する。


「仕方ないよ。ライカだっているし、ただの採取クエストだったでしょ?あんなの出てくるなんて聞いてないよ。」


イリスは不満を言いながら立ち上がると破れたローブを脱ぎ捨て土埃を簡単に払うとライカに近づいていった。ローブをとったその容姿はだれもが一度は振り返るような幻想的な愛らしさを醸し出していた。特徴的なのは耳。人間より長く尖っているそれは滅多に見ることのないエルフと呼ばれる種族だった。更に目を引くのは、蒼く澄んだ湖を連想させるサファイアのような髪。人懐っこそうな顔立ちに琥珀色の瞳。正に神話に出てくるような少女だった。


「な、なに?私の顔に何かついてるの?」


黙って見つめてくるライカにイリスは少し恥ずかしそうに質問する。もちろん顔にはなにも付いていない。


「いいや、特に何もついてないよ?ただいつ見ても綺麗な髪だなって思ってね。」


にこやかに言いながらライカはイリスの髪を褒める。実際ライカとイリスの付き合いは出会って一年程度だ。クエストなどもよく一緒に行くことが多くライカはよくこうやってイリスをからかっている。もちろんライカにとっては言っている事は本心だが。


「もう、そうやってからかわないの!それよりライカ、採取クエストは完了したしギルドに戻ろうよ?」


「そうだね。いくらウルスの森でも深層は少し危ないし夕方までには戻りたいからね。」


イリスとライカは適当に会話をしながらギルドに向かって歩を進めた。

ギルド。それは各国にあり、さまざまな依頼を受け仕事をこなす職である。何人もの人々が集まり形成される組織だけあってその規模は大きくギルドには必ず運営と依頼の内容を管理するギルドマスターがいる。このエルティアにも、もちろんギルドは存在する。エルティアのギルドは、月桂樹ローレルリーフと呼ばれるギルドだ。

ライカもイリスも月桂樹ローレルリーフのギルドメンバーである。それにライカは月桂樹ローレルリーフのギルドマスターでもある。


「ギルドまではここから3時間位歩いたところかな?途中で休憩をしながらゆっくり戻ろう。今のペースなら夕方には余裕で間に合うからね。」


ライカの提案にイリスは笑顔で頷き森を歩く。ウルスの森の深層はその名の通り薄暗いが

深層を抜けると一気に日差しが差し込み明るくなる。エルティアのギルドは森の奥にあり更に侵入者防止の為に結界が張ってあり普通の人はたどり着くことができない。

結界を超える力を持つ者か、結界の仕掛けを知り回避できるものしかギルドには行けないのだ。この森。ウルスの森と呼ばれる森で迷い最後には森の入口に戻ってしまう。これが結界の仕組みだ。ライカとイリス互いに得に会話はなく歩き続ける、森の静けさと風のささやきだけが聞こえてくる。不意にイリスが立ち止まり口を開く。


「風が気持ちいいね?私このウルスの森の景色がお気に入りなんだよ。いつ見ても変わらないこの不思議な風景。」


そう言ってイリスは辺りを見回す。同じようにライカも森を見回す。ああそういうことか。ライカはイリスの言っている不思議というものに心当たりがあった。このウルスの森は、他の森と圧倒的に違うのだ。その違いとは色だった。ウルスの木々が生え森となっているウルスの森はとにかく薄桃色なのだ。まるで桜が満開になっているかのような光景が辺り一面に広がっている。それはウルスの葉が薄桃色であるからなのだが、初めて来る人は大抵が驚く。昔イリスにその説明をすると随分と熱心に聞いてくれものだ。


「ウルスの大樹まで行ったら一度休憩しよう。」


ライカはそんなことを思い出しながら、休憩場所を告げた。

ウルスの大樹。それは樹齢1000年と言われている。エルティア最大の大樹である。ウルスの木は、樹齢100年を越えると実を付けるようになりその実は栄養価が高く、エルティア間では随分重宝される食材だ。中でも大樹の付ける実は何よりも甘く、そして瑞々しい。収穫の時期は年に2回あり、収穫祭まで開かれている。ウルスの大樹と聞いてイリスは思い出したかのような反応をした。


「あ!?ライカ、確か収穫祭って4ヶ月後だったよね?」


「そうだね。今年はかなりの豊作だったから収穫祭も盛大にやるって皆も言ってたよ。」


収穫祭は月桂樹ローレルリーフも参加している。その日だけはギルドの結界を外し一般でも入れるようにしているのだ。ウルスの森自体も沢山の出店が立ち並び沢山の観光客がやってくる。イリスもお祭りが好きなので今から楽しみなのだろう。1時間半くらい歩いただろうか?太陽の位置が高くなっている。そろそろ昼のようだ予定どおりウルスの大樹にも到着したので休憩をとることにする。大樹の下で休憩をしていると気持ちいい風が吹いてくる。元々エルティアは気候が安定しているため四季でいうところの春に近い。心地よい風と日差しは思わず眠気を誘ってくる。時間的に昼なのでライカは小腹が空いていた。大樹を見上げるとウルスの実がいくつか実っている。


「イリス、お腹空いてないかな?」


ライカが尋ねるとイリスは自分のお腹を見てから、少し空いたかもと答えた。答えを聞いたライカは立ち上がり大樹を見回した。一番美味しそうな実を探しているのだ。


「よし、あれにしよう。」


そう呟いたライカは右手を実に向けて構えると右手から小さな雷が走った。その雷は実に当たり特に傷つくこともなくライカの元に落ちてくる。同じ方法で2つの実を取ると一つをイリスに差し出した。


「ん。ありがとライカ。」


イリスは実を受け取るとにこやかに笑い実を食べだした。実際ウルスの実はあまり見た目が良くない。形はひょうたんのようで、色は熟したものでウルスの葉と同じ薄桃色なのだ。見た目はアレなウルスの実だが栄養価が高く、味もいい。その為、エルティアの国には欠かせない食材である。初めて食べた時もウルスの実はイリスには好評だったようで、夢中で食べていたなと思いだしライカはくすりと笑った。昼食にウルスの実で軽く空腹を満たし小休止すること30分。それからすぐに出発し、もう少しでギルドの結界の近くまで来ていた。


「もう少し進んだら結界の範囲内だね。」


かけられた言葉にイリスは嬉しそうに頷いた。自分の家とも言えるべき場所に帰るのに若干イリスの歩くペースが上がったようだった。


「ライカ、今日のクエスト報告したら夕食の準備するね。今日は何がいいかな?」


「そうだね~今日はどちらかと言うと肉類を食べたいかな。イリスが作る料理は何でも美味しいからお任せだね。」


夕食の会話をしながら結界のすぐ近くまで近づいていた。ここまで来れば完全に安全圏だと思える。しかしそれこそがライカの最大の油断だったのかもしれない。ライカの右側から突然信じられないような衝撃がその身を襲った。


「っつ!?」


何かになぎ払われライカは4~5メートルほど吹き飛ばされる。木に叩きつけられ口の中に鉄の味がした。


「ライカ!?」


突然の事態に状況が飲み込めていないイリスの声が聞こえる。ライカは衝撃が襲ってきた方を見た。それはさっきの獣などが可愛く見えてくるような魔物だった。体長は8メートル近くあり、肌は黒く水晶のように透き通った2本の長い角と、ライオンのような鬣が特徴的なモンスター。


「痛っ。なんでこんな結界の手前にクリスタル・レオがいるんだ?普通こいつは山奥に住んでいてこんな所には滅多に現れないのに。」


ライカは相手を確認すると、まだ痛みの取れない体を奮い立たせるとすぐに駆け出しイリスの前に出た。


「イリス、霊装神器アーク無しの状態じゃまともに戦える相手じゃない。少し下がっててもらえるかな?」


状況を理解したイリスは頷きそこからさらに5歩下がった。それと同時にクリスタル・レオがライカに襲いかかる。右脚を大きく振り上げ爪で切り裂こうという一撃だ。


「ガルアアアア!」


ライカはそれを確認すると前に踏み込みクリスタル・レオの顔を蹴り飛ばした。目測を誤った爪の一撃が地面を抉る。普通の人間が一撃でも食らえばまず重症は免れないだろう。しかしライカにはそんな攻撃は当たらなかった。後ろで見ているイリスはライカの異変に気づいていた。あの獣の攻撃を受けた瞬間ライカの魔力の質が変わったのだ。

それは些細な変化だったがもう何度も見たイリスにとっては驚くことではなかった。真っ赤な真紅の両目。今、獣と攻防を繰り広げているライカの目の色はいつもと違う。元々は蒼い瞳と、紅い瞳のオッドアイだったが今は両目とも紅く染まっている。水晶眼クリスタル・アイライカの一族が使う基本的な瞳術らしい。この瞳術を発動した時からライカは獣の攻撃を先読みし打撃を入れているのだ。しかしそれも決定打にはならない。獣の肌は固く、そう簡単にはダメージを与えられないのだ。ライカは獣=クリスタル・レオから一度距離を取り、両手を交差させるように構えた。


霊装神器アーク展開。双銃剣・クロニクル・アーク!」


霊装神器アーク。それは持ち主を自ら選ぶ特殊な武器のことだ。手にした者は大きな力を得るといわれ、霊装神器アーク入手のために様々な迷宮ダンジョンに挑む冒険者も少なくはない。ライカもその霊装神器アークに選ばれた存在なのだ。まばゆい光とともにライカの両手には初めに持っていた双銃剣が握られていた。グリップを何度か握りなおし感触を確かめるとライカは再び獣にむけて走り出した。銃で牽制しながら近づき、双剣を振るう。次の瞬間獣の右脚がぱっくりと切れた。


「グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


痛みに耐えながら獣は再び攻撃を仕掛けてきた。今度は左脚の攻撃だったしかしその攻撃もライカには無駄だった。体を回転させ左脚の攻撃を避けるとそのまま双剣を振り獣の左脚を切断した。鼓膜が破れるかのような苦しみの咆哮が獣からもれる。


「ギャ、ギャルルアアァァァ!!!!!!」


獣に残された武器はもはや牙と、2本の角だけだった。だがすでに獣は戦意を失い頭をさげた。それはその獣にとって死を覚悟したという意味だった。すでに抵抗する意思がない獣に対しライカは容赦することなく、銃を向け額を打ち抜いた。その瞬間獣は一言も発する事もなく絶命した。後ろの方で黙って見ていたイリスが近づいてくる。


「終わったの?」


イリスの質問にライカは短く、ああ。と答えた。それと同時にライカの双銃剣は再び虚空に消えていく。イリスはすでに動かなくなった獣を可哀想な目で見つめその後いつものように獣の前に立った。


「イリスやっぱりこの魔物も?」


ライカの言葉に静かに頷きイリスは魔力を解放した。それは色で表わすなら白く、そしてとても温かい魔力だった。その雰囲気はまるで聖女のようでライカはそこから何も言わずただ黙って見守っていた。魔力に包まれ獣からどす黒い何かが抜けていく。それはイリスの周りを2,3周するとやがて光となって消えていった。


「やっぱりこの子も闇に侵食されていたみたい。」


人間やエルフは闇に染まりやすく魔道に落ちる者も珍しくない。しかし魔物が闇に侵食されているのはここ最近の出来事だ。生息地域が違うモンスターが闇に侵食され凶暴化し暴れまわる事件が年々増えている。闇に侵食された魔物は倒してそのまま放っておくとそこからまた新たな魔物を引き寄せてしまう。イリスはその闇を浄化する力を持っているのだ。


「ひとまずは安心だよ。ギルドに戻ってこの件も報告しないとね。」


「ああ。でもあの侵食する闇は一体何だろうね?年々増えているみたいだし結界近くまで来ていると流石に何か意図的な物さえ感じるよ。」


ライカの考えにイリスも頷く。近年起こる事件はいつも侵食された魔物が関わっている。この件に関しては月桂樹ローレルリーフや他のギルドにも最優先事項の討伐クエストとして上がってくる。一度侵食されてしまえば元に戻ることなく討伐するしかないのだ。ライカがさっきのクリスタル・レオに対して徹底的に攻撃したのもこの理由に他ならない。ライカとイリスはその場を後にすると結界に入りギルドを目指した。結界をぬけるとよく見慣れた建物が見える。その入口付近には


~お帰りなさい。エルティアギルド、月桂樹ローレルリーフへ。~


と書かれた大きな看板がある。イリスはさっきの事など忘れたかのように満面の笑みでギルドに向かって一言


「ただいま!!」


ギルドにそう告げながら駆け足でイリスは建物の中に入って行く。建物の中からは騒がしい声が聞こえる。きっとみんながイリスの帰還を喜んでいるのだろう。ライカはそんな事を考えながらイリスの背中を見送り後に続くようにゆっくりと中に入って行った。


さて次の更新予定はちょっと未定ですが、なるべく早めに上げたいと思います。

早ければ今週末か来週くらいですかね?

なんかグダグダですいません<m(__)m>

ではこれくらいで失礼します~

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