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第三

老人が娘に残す、最後の言葉


娘よ。


生きるというのは、

正しい道を選ぶことではない。

選んだ道を、静かに正していくことだ。


迷っていい。

泣いていい。

立ち止まってもいい。

人は、止まった場所でしか見えない景色がある。


強くあろうとするな。

強さは、握りしめるものではなく、

手を離したときに残るものだ。


優しくあろうとするな。

優しさは、余裕のあるときに出すものではない。

余裕がないときにこぼれたものだけが、本物だ。


過去は背負うな。

背負うと重くなる。

置いていけば、道が見える。


未来を恐れるな。

未来は“来るもの”ではなく、

“迎えに行くもの”だ。


そしてな、

おまえがどんな道を選んでも、

どんな速さで歩いても、

どれだけ遠くへ行っても、

父はおまえの味方だ。


それだけは、

変わらん。


珍しく、長い語りを続けてきた父が、 最後の最後に選んだことばは。


「おまえは、もう大丈夫だ。」




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