表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔術師の魔力ゼロ転生  作者: アベ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/20

.プロローグ

 手足の感覚が――今、無くなった


 意識だけが宙を舞い、歪んだ視界で青空を見る。ジンジンと痛む背中、()()()()()()()()()()が、より一層身体を動かなくさせていた。


 ……獣の足音が聞こえる。地面を伝う振動が、身体を僅かに揺らす。きっと、()()()だ。

 震えが、血が、どれだけ溢れようと、このちっぽけで小さな身体にできる事は、ただ空を見上げる事だった。


 女の子は無事に、逃げられただろうか――


 もし心が動かせたなら、僕の心はとうに、ここには無かっただろう。


 (まぶた)を閉じ、ゆっくりと呼吸する。息を吸うと肺が軋み、吐くと血液まで一緒に出て、思わず咽せる。

 ……寒い。血が流れすぎたのか、震えが止まらない。

 視野も……だんだん、暗く……




 これは――死だ




 ……



 ……



 ……駄目、だ……!



「っ!」


 全身に力を込める。メキメキという音が鳴り、激痛が走るが、やめない。やめてはいけない。

 ここで死んだら駄目だ……役目を、果たさないと……!


 動け、動け、動け動け動け


 半ばおまじないのように、自分の身体だったものを動かす。心臓が鼓動するたび、全身から血が吹き出そうになるが、堪える。


「ゔゔぅぅ」


 喉が焼けるような唸り声をだしながら、なんとか身体を横向きに動かし、うつ伏せの状態になった。


「ハァ……ハァ……」


 喉が熱い。肺が圧迫されて呼吸が、辛い。

 けど――


 僕は、死ねない――


 腕を前へ出し、身体を引き寄せ、また腕を前へ。

 ザサッと地面と擦られ、引きづられた跡ができていく。少しでも、()()()から離れないと


「!」


 自分の呼吸とは別の、荒々しい鼻息が、背後から聞こえてくる。

 コイツに対抗できる手段は、今はない。

 いや、一つだけ。もう一度だけ、()()()()()を試してみる。


 ……


 何も、起こらない。やはりそうなのか。

 この身体には――魔力が無い。


 ブォォォ!


 アイツの黒い雄叫びが、骨の髄まで響く。だが、もう、何も出来ない。

 身体を揺らす振動を最後に、僕の意識はそこで途切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ