女神の兄弟
お付き合いの了解を
貰ったのか?
結婚の承諾を貰ったのか?
曖昧なまま
和気あいあいの
雰囲気でコタツを
取り囲む4人
立花が思い出したように
『遅くなりましたが
こちら、つまらない物ですが
良かったら、お食べ下さい』と
手土産を出すと
『どうも、すいません』と言って
女神ママが受け取り
キッチンへと向かい
包装を開き
手土産がお菓子だと分かると
女神達がいる部屋の
隣の扉を開けて
『お客様がお土産を
持って来てくれたから』
『みんな、お礼を
言いなさい』と言うと
『うわ〜ぃ』と
絶叫が聞こえたのと同時に
子供3人が飛び出してくる。
中学生くらいの男の子
小学校高学年くらいの
女の子
小学校低学年くらいの
男の子で
みんな、お菓子に
群がるように集まって
ママに注意されながらも
お菓子を奪っている。
その光景を女神と
笑いながら見ていた立花は
『あれ、1人
足りないんじゃない?』と
女神に聞くと
『美月は部活?』と
女神もパパに聞いている。
そしてママが
『ほら、お客様に
ご挨拶しなさい』と言って
1番上の男の子はチラッと
立花を見た後に
視線を逸らした。
だが下の2人は
『いらっしゃいませ』と
挨拶をすると
女神に抱きついてくる。
『未来は、大きくなったわね?』と
お姉さん目線で話す女神を見て
立花は面白く
思わず吹き出してしまう。
それが分かった女神が
『何ですか?』と
立花に確認すると
『実家では、女神も
お姉さんなんだな?』と
笑いながら言うと
『東京でも、お姉さんですよ』と
反論してきて
立花が
『なら、女神がどれだけ
東京でしっかりした
オネェちゃんなのか
喋っちゃおうかな?』と
言った後に
『ごめんなさい』と
女神が謝り
秘密の暴露は防がれた。
その、やり取りを見て
両親は笑っていたが
中学生くらいの弟は
イヤそうな顔をしている。
それを感じた立花が
目線で女神に合図をすると
『弟の貫太、中学2年です』と
紹介するが
寛太は立花に
挨拶をしない。
女神ママが
『ほら、ご挨拶しなさい』と
促すが返事をせずに
ツンケンしていた。
『どうしたの?』
女神ママに聞かれた彼は
『だって、女神ネェちゃん
そいつと結婚して
権太坂をヤメちゃうんだろ?』と
クチを尖らせて
不機嫌な理由を話すと
女神は笑いながら
弟の近くに歩み寄って
『寛太が高校に入るまでは
権太坂にいるから
安心して』と言って
頭を撫でている。
その話を聞いて
『ネェちゃん、本当?』と
彼の表情に笑顔が
浮かぶと
『クビにならない限り
あと2年はアイドルとして
頑張るつもりだから』と
つけ加えて弟を安心させた。
『寛太は女神が出ている番組を
全部、見ているもんね?』と
女神ママは
弟がアイドル女神を
応援している事を暴露すると
急に恥ずかしそうになり
『全部じゃないよ』と
照れながら訂正を
求めている。
すると女神が
『アンタ、アタシの結婚の話
学校でしてないでしょうね?』と
寛太に迫るように聞くと
代わりに小学生の妹による
『美月ネェちゃんに
絶対に誰にも言うな、って
言われた』と
2番目のネェちゃんによる
箝口令があったことが
説明された。
『良かった』と
安心する女神に
ママが
『北海道には、いつ来たの?』と
質問すると
『昨日の夜10時くらいに
新千歳に着いたかな?』と
女神が報告する。
『だったら、昨日は
何処に泊まったの?』と
聞かれた女神は
『札幌グランド
スペシャルホテルの
ロイヤルスィートに
泊まったんだよ』と
嬉しそうに自慢すると
パパが
『じゃあ昨日は
やりまくりだな?』と
ボソっと呟いた。
図星をつかれた
立花と女神は
下を向いたままだが
小さい妹と弟は
意味も分からず
『ヤリまくり、ヤリまくり』と
はやし立ている。
多感な時期な
中学生の弟、寛太君は
泣きそうな顔になっていた。
否定も肯定もしない
立花と女神は
赤くなり
下を向いているだけだった。
湯船のお湯が半分ほど
無くなるくらい
浴槽の中で暴れた事や
ベッドの中で
激しく抱き合った事を
思い出した立花と女神は
正座したまま石に
なっているのであった。