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女神の両親

立花と女神は

彼女の実家である

アパートに到着した。


推定、築50年

二階建ての外階段タイプの

アパートで

お世辞が全く浮かばない

なかなかの建物だ。


車から降りて

微動だにしない立花に

『幻滅しました?』と

女神が様子を

伺うように聞いてきたので


女神の頭に腕を回して

自分に引き寄せた立花は

『何に対して幻滅するんだ?』

『俺は女神の人生全部の

責任を取る挨拶に来たんだぞ?』


『この家があったから

今の女神があるんだろ?』


『トップアイドル

絵色女神を作ったって

自慢してやれ』と

立花は女神に

ヘッドロックをして

ハッパをかける。


その元気に勇気づけられた女神も

『あ〜ん、髪型が崩れる』と

泣きマネをしながら

笑っていた。


『じゃあ、案内してくれ』

立花にそう言われた女神は


『はい』と言って

アパート一階の1番奥に

立花を案内する。


カメラモニターやインターホンなど

有るわけもなく


チャイムすら壊れており

ドアにノックするしかない。


慣れた感じで女神が

薄い玄関ドアを

『コンコン』とノックすると


『は〜い』と

中から女性の声が

聞こえてきた。


ガチャっと扉が開くと

『ママ〜』と

女神が母親らしい人に

抱きついている。


馳さんを車に残したので

立花はアパートの入口の前で

1人たたずむ形だ。


『め-ちゃん、

よく帰って来たわね』

母親らしい人が

女神に強いハグをした時に


女神がハッとして

母親から離れて

『ママ、こちらが立花さん』と

立花を母親に紹介すると


立花が深々と頭を下げて

『初めまして立花隆と

申します』と

挨拶をする。


女神の母親も

『娘が大変、お世話に

なっているそうで』

『ありがとうございます』と

頭を下げていた。


30代後半?

どちらかと言うと

立花に近い世代じゃないのか?


『狭くて汚い所ですが

どうぞ、お入りください』

そう言って立花を

アパートの中へ招き入れる。


だが玄関は

畳半分サイズの大きさに

靴が10足近くあり

正直、靴を置く場所が無い。


その事に気付いた女神が

弟達の靴と思われる

小さな靴を外に出して

スペースを作った。


アイコンタクトで

女神にお礼をした立花は

靴を脱ぐと

ダイニング兼廊下の場所で

女神が中に入って来るのを

待っていると


『どうぞ、こちらへ』と

女神ママが

奥の四畳半ほどの

部屋に招く


『恐れ入れます』

そう言ってテレビが

流れる部屋に入ると


30代後半と思われる

男性が座っていた。


父親と思われる男に

向かって座り

正座した立花が


『初めまして立花隆と

申します』と

三つ指をついて

頭を下げると

男性も

同じように頭を下げながら


『女神の父親です』と

挨拶をしてきた。


若い


父親も40代ではないだろう。


女神は18才だから

彼女が生まれた時は

両親はいくつだったんだ?


そんな事を立花が考えていると

『女神の旦那さんに

なる人だって聞いたから』

『女神と同じくらいの人かと

思っていたけど』


『ずいぶん大人の方で

ビックリしました』と

感想を言ってきた。


背広の上下にネクタイ姿の

立花が

『女神さんより10才上の

28才です』と

話した後に


『現在、ゲ-ム開発会社で

働いております』と

名刺をコタツの上に

差し出す。


オリファルコン株式会社

取締役副社長

立花 隆


貰った名刺を

夫婦揃って眺めて

『取締役副社長?』と

ハモって

肩書きを読み上げた。


『コッチでも放送してたでしょ?

アタシが1番最初に出演させて

貰ったCMの会社が

オリファルコンさんだよ』と

女神が解説を加えて

2人は驚きを倍増させた。


『こんなに若いのに

大企業の副社長さんですか?』と

女神パパが立花の顔を

見ながら感嘆している。


テレビCMを流している会社の

副社長に、こんな若僧が?


そう肌で感じた立花は

『肩書きだけで

実際は雑用なんです』と

自虐的に言うが


『立花さんの、おかげで

オリファルコンは

世界的大企業になったんだよ』と

女神が、すぐに

訂正に入った。


その姿を見ていた女神ママが

『めーちゃんから

結婚するかもしれないって

聞いた時は

ビックリしたけど』


『確かに、この人を逃したら

女神の人生は失敗するわね』と

頷いている。


『でしょ?』

そう言われた女神は

嬉しくなり


『立花さんと知り合ってから

アタシの人生は変わったんだよ』と

今日1番の笑顔で両親に

アピールをしていた。


ここに来て緊張していて

気がつかなかったが

立花がある事に気付いた。


既に結婚が決まっている話に

なっている?


両親へ、お付き合いの報告をして

2人の関係の許しを貰い


『結婚前提の付き合いです』と

話をするつもりだったのだが


『あの?』

『女神さんからは

どのように

聞いてらっしゃいますか?』と

立花が聞くと


急に女神が慌てだして

『何も言ってないよね?』と

ママに話すが


何の打ち合わせも

していなかったママは

『2人で今日、結婚の挨拶に

来たんじゃないんですか?』と

白状をしてしまう。


その話を聞いた立花が

女神を見ると

申し訳なさそうに

下を向きながら


『すいません、ママと

話しをしていて』

『調子に乗って

そう言う風に

話しをしてしまいました』と

立花に謝ってきた。


それを聞いた両親は

『え?結婚するんじゃないの?』と

驚いている。


全てを察した立花は

『はい、本日は女神さんと

結婚前提で、お付き合いを

させて頂いている

お許しを』

『ご両親様に頂戴したく

北海道にお伺いしました』


『事後報告になり

大変恐縮なのですが

お許し頂けないでしょうか?』と

改めて両親に頭を下げて

お願いをしたのである。


その姿を見た女神は

涙をこぼしていた。


記者会見の後に

ママと話しをしていた時に


立花の了解を取らずに

結婚の話も出ていて


今度、北海道に2人で

結婚の挨拶に行くと

話していたのであった。


その場の勢いで話をしていた彼女は

その事を忘れており

両親からの話で

挨拶を飛び超えて

結婚の話に流れて行ってる事に

焦りを感じていた。


そこに立花の質問で

完全にピンチに

陥っていたのに


自分を両親の前で

恥をかかせない為に

振る舞ってくれている

立花の優しさに

感動をしていたのであった。


ありがとうございます

立花さん


『アタシ、立花さんと

結婚したいです』

『パパ、ママ、お願い』


女神が両親に

強く訴えかける。


すると両親2人は顔を

見合わせて


ポカンとしている。


『ダメなの?』

女神が両親に確認すると


女神パパが

『だって、お前たち

結婚の挨拶に来たんだろ?』

『それに、俺たち

ダメなんて一言も

言ってないぞ』と

話す。


『だったら結婚しても良いの?』と

女神がママに聞くと


『めーちゃんが記者会見の後に

電話してきて』

『立花さんと結婚する』

『今度2人で挨拶に行くって

聞いた時から』


『パパと、女神が

結婚するんだって、

喜んでいたんだよ』と

説明を聞いて

女神はママに抱きついた。


娘と母親が抱き合う姿を

見ていた立花は

『改めて、よろしく

お願い申し上げます』と

女神の父親に

お願いをしたのであった。













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