女神の実家
昨夜の乱戦で
深夜26時過ぎに
寝た2人だが
今日は絶対に遅刻出来ない
予定が決まっており
朝7時に目覚ましを
設定していた。
昨夜、寝落ちした女神は
一糸纏わぬ姿のままで
スヌーズには反応していない。
隣で先に起きた立花は
今は札幌に泊まっていて
昨夜の事を
思い出すのと同時に
今日の予定を思い出し
女神を起こす事にする。
『ほら起きろ?』
『今日は、ご両親に会うんだろ?』
その言葉を聞いた彼女は
ガバっと起き上がり
『そうでした』と
眠たそうな顔で
立花を見つめている。
ピンクの先端をつけた
可愛い桃を2つ揺らしながら
女神は急いで
ベッドから飛び降り
サニタリーへと
向かっている。
その姿に苦笑している立花は
身支度の準備をするのと同時に
フロントに電話をして
ルームサ-ビスで
朝食を頼んでいた。
芸能人や有名人が
ホテルの朝食バイキングで
一般客と一緒になってしまったら
大騒ぎになってしまうので
朝食バイキングのメニューを
アラカルト風に見立てて
ルームサービスで
運んでくれるホテルがある。
朝からステ-キなどの
デラックスメニューを
頼む政治家もいるので
バイキング以外も
当然運んでくれるのだが
女神の身支度に
時間がかかると予想した立花は
女神に聞かずに
オ-ダ-を勝手にしていたのだ。
昨夜、半分近く
溢れてしまった浴槽の
お湯も今は満タンに戻り
浴槽から溢れている。
女神は
目を覚ます意味もあり
シャワーを浴びていたが
立花は彼女の存在を
無視したように浴槽に向かい
湯船に一気につかった。
それを見ていた女神が
『ズルい、アタシも入る』と
言って
泡が完全に落ちていない
状態で浴槽に入ってきて
くつろいでいる立花に
寄りかかって
『本当にアタシの親に
会っちゃうんですよね?』と
感慨深そうに言ってきたが
『何、言っているの?』
『朝ご飯食べたら
東京に帰るよ』と
立花にいじわるを
言われて
『本当ですか?』
泣き真似をする女神。
『冗談だよ』と言って
女神を引き寄せて
立花は強引にキスをした。
立花のキスを受けた女神だが
急に目を見開く
立花が女神のクチの中に
自分の舌を押し込んで来て
女神の舌に絡め始めたのである。
立花の肩を押す形で
身体を離した女神が
『ダメ、これ以上したら
また、したくなっちゃうから』と
言って
立花を制止する。
『また、したくなっちゃうんだ?』
立花が悪い笑みを浮かべながら
そう言うと
『いじわる』と言って
下を向いてモジモジしていた。
その姿を見て
『確かに、今日は
遅刻する訳には
いかないもんな?』と言って
女神の頭を撫でた立花は
浴槽から出て行く。
すぐに洗面脱衣場で
身体をふき
ス-ツ姿に着替えた立花が
テレビを見ていた時に
部屋のチャイムが鳴り
すぐに立花が対応して
ワゴン2台を
ホテルの部屋に入れた。
『これ、ルームサ-ビスですか?』
服を着てバスタオルで
長い髪を拭きながら
女神が近づいて
質問をしてきたので
『朝食バイキングを
持って来て貰ったんだ』
『コッチで食べよう?』と言って
フル-ツの盛り合わせが載る
ダイニングテーブルへ
女神を誘導する。
『スクランブルエッグと
べーコン、ハッシュポテトも
あるんだ』
女神は目を輝かせて
料理を眺めている。
『サラダは、コッチに2つ
別に分けてあるよ』
そう言われた女神は
デキャンタに入った
オレンジジュ-スを見つけると
『アタシ、これ飲もう』と言って
グラスに注ぎ
風呂上がりの喉を潤していた。
朝食を食べた2人は
身支度を終えて
地下駐車場に向かうと
既に馳さんが
地下エレベーターの前で
2人を待っており
『ゆっくり、
お休み出来ましたか?』と
聞いてきたので
『何かの手違いじゃないか?と
思うくらいに豪華な部屋で
落ち着きませんでした』と
冗談風に立花が答える。
『お気に召して頂いたようで
良かったです』
馳さんは
そう答えて2人の荷物を車に積み
出発する。
北海道の札幌市は
東西と南北に地下鉄が
走っており
JRの駅以外でも
市民の足となっている。
どの町でも同じだが
駅から歩いていける距離なら
家の値段はそれなりに高く
駅よりバス便になれば
家の値段も安くなる
女神の家は札幌駅から
遠い地下鉄からバスで
更に30分にある
2DKのアパートである。
女神は立花を親に
会わせたかったが
実家を見せて
嫌われるのが怖かった。
その話を立花にした時に
『何で、そんな心配を
しているんだ?』
『俺が住んでいた
自由が丘のアパートを
思い出せよ』
励ますつもりで立花は
言ったのだが
女神は無言であった。
『あのアパートより凄い?』
立花が聞くと
女神は無言で頷いた。
覚悟しようと立花は
心に誓い、今日を迎えている。
『頼まれていた、お土産は
そちらに置いてあります』
馳さんが説明した先に
紙袋に入った菓子折りがある。
『女神に聞かずに
勝手に選んじゃったんだけど』
『家族でアレルギーとかって
大丈夫だった?』
立花に、そう言われた女神は
『そこまで、して頂き
すいません』
『家族全員、アレルギーなんて
気にした事はありませんから
絶対に大丈夫です』と
冗談か、本気か分からない回答を
女神がしている内に
車は女神の実家アパートに
到着したのであった。