第9話 うさぎの歩きで仙人力を上げよう!
明文はふらふらと、奇妙な歩き方で山の中を練り歩いていた。
「うさぎのように歩む・・・うさぎのように歩む・・・」
ぶつぶつと小言を言いつつ、奇妙な歩みを続ける。
「およよ~、何をやっているのかな~?」
興味津々で天女の天華が空から舞い降りて来た。
「邪魔をしないでくれ。オレは今、うさぎちゃんのように歩いているのだ」
しかし、どう見てもうさぎのようには見えない。
とてもぎこちなく、ふらふらしている。
「何それ~?新しい踊り?」
「踊りではない!これは兎歩と言う特別な歩行術であって、これを習得すれば雨も降らせ大磐石をも動かすことが出来るようになるのだ!」
「ふ~ん・・・そんなふらついて、凄い事、出来るの~?」
「出来る!それにこれは下手にふらついているのでは無い。わざとそういう歩き方をしている!」
「えーい!」
天華は明文を突き飛ばしてみると、そのままバランスを崩して彼は倒れ、転がった。
「な、何をするんだー!」
「そんな凄い技なのに、弱~い」
「何を~!この歩は習得すれば、武術にも応用が出来るんだぞ!」
天華は地上に足を付けた。
「ねえねえ、その歩き方ってこうじゃない?」
天華は華麗にステップを踏む。
「・・・た、確かに」
「明文は足の出し方が違うんだよ。ほら、片足出してその後~」
天華の指示通りに歩いてみる。
「うう、っく、む、難しいぞ・・・」
「え~、体が硬いよ~。もっと柔軟に~」
すると、明文は足をもつれさせ、天華に向かって突っ込んできた。
ぽふっ!
明文の顔面に柔らかい感触・・・
天華の大きな胸に顔面を突っ込んでいたのだ。
「っひゃ!」
思わず明文を思いっきりビンタする天華。
明文はその衝撃で、目をまわしてふらふらと歩きはじめる。
「あ、できてるじゃん!」
体は兎歩を習得したものの、記憶は消えたのであった・・・