第6話 空を自由に飛びたいな。そうだ、仙人になろう!
明文はぴょこぴょこぴょこっと、まるでカエルのようにジャンプし続けている。
天女の天華が空から不思議なものを見るように彼を見ている。
「今日は何しているの~?」
「空を飛ぶ練習をしているのだ・・・」
それを聞いた天華は笑っている。
「な、馬鹿にするな!今は空を飛べなくとも、いずれは空を飛ぶ!その為に努力をしている者を見下すな!」
「違う違う~。それじゃあ何百年かけても空は飛べないよ~」
天華は地上に降りてきた。
「いい?天を舞うには地上に縛られないように意識をするの。そうすれば~」
天華はスーっと、空に舞い上がる。
「ね?簡単でしょ?」
「今のオレはまだ、赤子と同じ、歩くのもままならぬのだが、歩くのが当然の大人達にとって、歩くのがままならぬ時の気持ちはとうに忘れておる。それと同じ事をお前は言っている」
「え~?よくわからな~い。すねてるの~?」
天華はふわりふわりと明文の周りを飛び回る。
「じゃあさ、この羽衣、使ってみる?私はこれ無しでも飛べるけど、これがあるとさらに飛びやすくなるんだよ」
「え?いいの?」
「うん、いいよ。予備もあるし」
っと、天華は胸元から折りたたんだ羽衣を取り出して広げた。
そして、明文にそっとかけたのだ。
ほんのりと、天華のいい香りがして、明文は顔を赤くした。
「どうしたの?変に力んでも飛べないよ~」
天華はひらりと舞い上がる。
すると、突然風が舞い上がる。
「ひゃっ」
風にあおられた着物の裾が少しめくれた。
「・・・見えた」
明文が見たものは、うぶでシャイな彼にとっては刺激が強すぎた。
鼻血を拭きだし、仰向けに倒れてしまった・・・
「あれ~?飛ばないで地面にへばりついちゃった~・・・」
明文が空を飛べる日は、まだまだ先のようだ・・・