第5話 体内の換気をよくして仙人になろう!
明文は目を閉じて、岩の上に座禅を組んでいる。
「体に残された古い空気を全て吐き出すように、静かに、長く息を口から吐く・・・」
ふぅーーーーーーーーーー・・・・・
「体に空気が巡るようにゆっくりと鼻から吸う・・・」
すぅーーーーーーーーーー・・・・・
「・・・なんだろう、ほのかにいい香りがする」
「いや~ん。嗅がないで~」
明文の目の前に、天女の天華がいた。
「わあっ!わあぁつ!なんだっ!驚かせるな!」
明文は岩の上から転げ落ち、しりもちをつくも、顔を赤らめて少し鼻がひくひくとさせていた。
「・・・あ、香り」
彼は不覚にも嗅いでしまった彼女の甘い香りを思い出し、鼻からツーっと鼻血が垂れた・・・
「も~、明文ったら~、そんなにいい香りがしたのかな~?」
「な、何を言う!お、オレはべ、別に、だ、大自然の霊気をだな、吸っていただけだ!」
「へぇ~、じゃあ、なんで鼻血が出てるのかな~・・・?」
「こ、これは、霊気を吸い過ぎたからだ・・・」
明文はそっぽを向いて、あらためて深呼吸を始めた。
「今日は何しているの~?」
「これは、仙人になる為に必要な呼吸だ・・・」
明文は座禅を組んで、目を閉じた。
「体に空気が巡るようにゆっくりと鼻から吸う・・・」
すぅーーーーーーーーーー・・・・・
「体に残された古い空気を全て吐き出すように、静かに、長く息を口から吐く・・・」
ふぅーーーーーーーーーー・・・・・
明文のとなりに天華も座り、呼吸をまねる。
静かにゆっくりと息を吸って・・・
天華は明文の耳にそっと息をふきかけた。
「あいやぁぁぁぁああああああっ!!!」
顔を真っ赤にして明文は飛び跳ねた。
そして、そのまま山の斜面を転がって行ってしまった。
明文が仙人になる道のりは険しい・・・