第20話 天女のパパさま
明文が山の頂で座禅を組んで瞑想をしていると、突如雲行きが怪しくなり、稲光が駆け巡った。
ドドカーーーン
激しい閃光と爆発音。
明文の背後に雷が落ちたのだ。
彼は恐る恐る振り返ると、雷が落ちた所に大きな男の姿があった。
「おい小僧。お前は何者だ!」
大師のような高貴な衣装を身にまとった大男の気迫は凄まじく、明文は身構えた。
「オレは林 明文!仙人になる為に修行をしている!」
「ちがーう!お前はオレの娘のなんなのだと聞いているんだ!!」
「・・・え?」
「最近、ここら辺をうろうろしていると思えば、お前に会いに来ているのだろ?!」
「もしかして・・・天華のお父さん?!」
「お前は御父さんと呼ぶな!オレは嘉徳龍王と言うここらの河川と農耕と山々の神々を統べる神の王であるぞ!」
「りゅ、龍王様!?」
「お前、オレのかわいい娘をたぶらかそうとしたって、そうはいかぬぞ!」
嘉徳龍王は握りこぶしを天に掲げると、激しい稲光が起こる!
「ま、待ってくれ!オレは修行の身、煩悩を捨てる為に山に籠っているというのにどうして娘さんに恋心を抱くでありましょうか!?」
明文は内心、恐怖していた。
圧倒的な力の差、龍王にとっては1人の修行中の方士ぐらい、アリを潰すよりも容易く消し去る事が出来るであろう。
それと同時に、過去に同じような緊張感を味わった事も思い出した。
初めて皇帝の前で、河川整備に必要な経費の増額願書を奏上した時だ。
それを考えると、少しだけ会話の糸口が見えたような気がしたのだ。
明文は書などで得た知識から、自分がどのような修行をしているのかを細かく説明し、龍王の娘には手を出さないと誓った。
「そうか、これ程まで真面目に語れるならば、少しは信用してやろう。だがな、何か間違いでもあれば、死ぬより恐ろしい目にあわせてやる」
そう言い残すと、龍王は赤い龍の姿になって、天に昇って行った。
後日・・・
「明文~。今日は何して修行してるの~?」
「ひっ!・・び、びっくりした・・・」
「な~に怯えてるのさ~?」
「い、いや、何でもない。大丈夫だ。大丈夫・・・」
明文は天華を見ると、少しびびるようになったそうな・・・
【ぼうけんのしょ】
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