第2話 早く仙人になりた~い!
村の人間は馬鹿ばかりだった。
学んで官職を得ても、官人共は出世だの賄賂だのと、私利私欲に走る。
文明はそんな世俗に嫌気を感じ、仙人になる為に山に籠り始めたのだ。
だが、仙人への道は険しい事を、身をもって知る事となる。
滝にうたれ、身を清めつつ、瞑想をする文明。
「おーい」
何処からか、少女の声がする。
「また寝てるの~?」
その声は徐々に近づいてくる。
「テンファー!テンファー!」
突然の大声に驚き目を開ける文明。
目の前には美しく可愛らしい天女の天華が宙を漂っていた。
「な、なんだよテンファーって・・・」
「私が読んでいるよ~って意味だよ」
なお、テンファーは電話という意味だが、それは後世の道具である。
「今日は滝の下で寝ているの?よっぽど風邪をひきたいのかな?」
「バカ!滝の下で寝れるか!修行だよ修行!放っておいてくれ!」
すると、滝の流れに紛れて、大きな木の幹が落ちて来て、明文の頭に直撃した。
「うわぁ・・・痛そう~・・・」
「痛くない・・・痛くない・・・」
「泣いてるよ?」
「これは滝の水・・・・泣いてない・・・」
痛みをこらえて強がる明文。
「ほら、頭に大きなたんこぶが出来てるよ~」
そっと撫でて来ようとする天華の手を振り払う明文。
すると、滝の水しぶきが天華にかかった。
「きゃっ」
天華の大きな胸が濡れて、衣服がほんのりと透けて見えた。
明文はその姿を見て、鼻血を拭きだし、倒れ込んで、流されて行ってしまった。
少々下流の所で、木に引っかかっている所を天華に救出されたのであるが、助ける為に川で体を濡らした彼女の色っぽい姿を見て、うぶでシャイな明文はまた、鼻血を出して、意識を失ってしまった・・・
彼が仙人になるのはまだまだ先のようだ・・・