ランチの準備
ハナは一癖ある巨大熊蜂との一戦を終えた後、その熊蜂により切り開かれ綺麗に整備された道を何故か辺りを見回しながらトボトボと歩いている。
あの熊蜂が追いかけてこないと言う事は正式に通行許可は得たのだろう…
一応今後のためにこの辺りで食べれるものがないか、様々な草やキノコをザッと確認し、美味しそうなものは手に取り調べながら進んでいるので人族の国[アスト]へ着くのは少し時間がかかりそうだった。
ハナ自身【白虎の脚】で走ればあっという間に着くのは分かっていたが、人族に爆速で移動してる所を見られると、普通の人じゃ無いと一目でバレるのは確定で…、後ろ盾も無いこの状態では入国すら難しくなるのは間違い無いと思い必要以上に【紋】を使うのは控えていた。
まぁこの先人族と敵対したとして、食材を調達出来ずに予備の人参のみをバリバリと食べる羽目になるのは普通に困る…。
決して何も考えずにぶらぶらと自然の中の散歩を楽しみたいという考えではない…!
と、私は思っている!
そう言い訳しながら、草をぶちぶちとむしり取って時間を潰してるような現状…、うん、客観的に見ると文字どうり道草を食っているみたいな感じだなぁ…、まぁ食うために道草を調べているのだけど…。
というか異世界の野草なんか知識のない自分にどうやって調べるかというと…。
耳元でキラリと光った、紫色の宝石が装飾されたイヤリング
そう…、このパワーアップした[調の涙]を使って調べている。
ほんとコレがなければどうなっていたのやら…お陰様でスムーズに食材が集まっている…。
猫族の料理人タルオに謎の卵によって追加?して貰い備わった新たな能力である【食材探索】【食材鑑定】というのはかなり使い勝手が良いみたいで、
【食材探索】は食べ物を探すぞ!っと強く思いながら歩くと、自分の周囲を取り囲むかのように食べられる物を探り、一つ一つ食材が緑のオーラを放って自己主張している様に場所を教えてくれる。
そして【食材鑑定】は手に取った食べ物がどういうふうな物かざっくり教えてくれる。
つまりはとても便利なものだった。
タルオのお陰でサバイバルで生きていけそう…。
まぁ何をともあれ色々調べた物の中で食べられる物は、ヨモギの形をした草や、猫じゃらしの様な草、大きな松ぼっくりみたいなのもある、
そしてキノコ類はと言うと、ガクとセキ2匹と競走を終えた際に時間潰しにつついていたぷっくりとした椎茸に似ているキノコや、火のように真っ赤で薄く平べったい形のキノコが食べられそうな表示をしていた。
上から順に鑑定していく。
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ギシの葉(無毒)
森林浴をしたかの様な爽やかな香りが強く、口に含むとほのかな苦味と微かな酸味がある。
マムギ(無毒)
穂先の夥しい毛の根元には小さな種が密集しており、その種を取り出し、粉にするとマムギ粉となり、それをつかって様々な料理を作る事ができる。
ビルの実(無毒)
結実したビルの木から零れ落ちた物。
傘の様に大きく広がった実の根本に食べられる種子がくっ付いている。炒るとナッツの様な芳ばしい香りが特徴。
コゼニタケ(無毒)
大きくぷっくりしたキノコ、何処にでも生えており香りが強く味わいも良い、誰でも見分けられるそのフォルムから子供が採取し、商人に売っては小銭を稼ぐその様子から名前を付けられた。
ただし、ある程度衝撃を感じると萎んでしまう特性を持っている為、なるべく採取した当日に食べるべし。
ヤケドタケ(無毒)
団扇のように平べったい赤いキノコ、味は美味だが、辛味が強い。
初めて食べた人があまりの美味しさに一度に大量に食べてしまい、後から来た辛味で口の中が火傷したかの様に爛れた為その様な名前が着いた。
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『いいねいいねー!
結構食べれる物あるじゃん!!』
豊作だったので、ハナはウキウキだ。
『後は、頂上の[ルナ湖]から通ずる小川が何処かに流れているだろうからそこでメインのお魚を取れればお昼ご飯の心配は無い!つまり計画通りだぁー!』
とは言ったものの…
ハナは叫び終わると同時にガクッと力無く肩を落とす。
『はぁ…そのまま勢いで出てきちゃったから、携帯食料位は[マタタビ]で買ってくればよかったなぁ…ほんと完全に忘れてた…。
まっいっか』
相変わらずの楽観主義である。
少し気持ちを切り替え、近くに川が無いか【鷹の目】で探そうと、【紋】を顕現する…。
『ちょっと待って…コレって【鷹の目】と【食材探索】を重ねて使えば見える範囲を広げられるんじゃ!?』
何はともあれ実践!
【鷹の目】を顕現しながら【食材探索】を使ってみる…。
グーーーーン…!
周囲を取り囲むオーラの範囲が一気に広がる!
視界を埋め尽くす情報に気持ち悪くなり思わず手を口に当てた。
『気持ち悪い…うわぁぁ…頭の中の情報がおっつかない…』
見えるのは見えるんだけど、完全な脳のキャパオーバー…。
【紋】の相性はアイテムにもあるんだなぁと新たな発見だった。
『んっ?あ、見つけた!』
無理をしたおかげで、この先の森の奥に一瞬見えた。
まだ気持ち悪さが残っているが、少し伸びと深呼吸をした後、小川を目指し【白虎の脚】を顕現し、気分転換をするかのように軽くマラソンランナーのみたく走ってみる。
軽くと言っても、現実では金メダルを取れる様なスピードだけども…。
コレくらいならもし誰かに見られても足の速い人として見られるだけだろうし…まぁいいでしょ!
そんな自分に都合の良い事を言いながら舗装されていない森を軽快に駆け抜けていくのであった。




