頼れる仲間をご紹介!
帰り道の途中トーニャから【鳳凰の嘴】でのアナウンスが流れる…内容的には、今日を終え人族強襲まで残り二日となったと言う事、そして…ハナがとんでもないのを仲間にしたから見たい人は酒場に来て!っと…要約するとこんな感じだったが、まるでハナを客寄せパンダに仕立て上げるような内容だった。
『えぇ…国の皆が来るんじゃないの…?』
少し酒場に行くのを躊躇ってしまう程の内容の為…足取りが重く時間が結構かかって一歩一歩踏み締めるように進んでいく。
道中眼帯猫族や、店を閉めたアーチナ達とすれ違ったが、皆ニヤニヤしながら早々に歩いては去っていく。
多分此処でハナに直接聞かずに楽しみは後に取っておこうという妙な連帯感で共有しているのだろう…、
そんな目で見ないでほしい…。
『はぁ…私行かなきゃダメ?』
そうひとりごちる言葉は、誰にも聞こえる事は無く…儚くも空に霧散していくのであった。
そうして重い足取りのお陰で長い時間をかけながら、やっとの思いで、[ハウス-フォレストキャット]の隣接している酒場の入り口扉に着く…。
外まで聞こえる楽しげな声は、私の事を忘れて楽しんでいるように聞こえたので、心に余裕が生まれたお蔭でそのまま扉を開ける事ができた。
ガチャ…
ぐるり!
っと音が聞こえそうなほど酒場の皆の視線がホラー映画ばりにハナに集まる…さっきまでとは打って変わって静まり返る空気感…。
そして…津波の前には必ず潮が引く様に、ピタッと静まり返った場の空気をまるで濁流の如く皆が押し寄せ、騒がしくなるのであった。
『ハナが来た!!ハナが来たぞ!!!』
『おい!おい!やっと来たか!!』
『主役は遅れてくるって言ったってここまで遅いとはな!』
『トーニャが面白い物をハナが見せてくれるって言ったから緊張したんじゃないかねぃ?』
『えぇ!?私は真実を言っただけなのに…』
『いいから早よ見せろ』
この人達暇か…
『はぁ…分かった分かりました!でも此処じゃあ手狭だし、外で仲間を見せるけどいい?』
ガヤガヤと騒がしくなる猫族達だったが、皆物分かりが良く持っていたマタタビミルクや、魚を咥えたドラ猫のように焼き魚を咥えそそくさと外へ出ていく…、猫族の料理長は支払いをしていない退店は見逃さないらしいが、今回は目を瞑ってくれそうだった…というか料理長を筆頭にお店の人達全員出てきた…。
この人達も暇か…
…
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
あれ?こんなにいたっけ?
酒場にいた猫族達より圧倒的に人数が増えてる…?
あっ、隣のギルドの入り口からめちゃくちゃ出てきてる!あんなアナウンスだったから酒場に入りきらなかったんだ!
猫族の国民全員とまでは行かなかったが、半分以上は来ているそうな事を、ガヤガヤ声から聞き分かることが出来た…。
…はぁ、100も200も変わらないか
仕方ない!
『じゃあ、出しますよ!
おいで[セキ][ガク]!』
カードホルダーから、二匹のいるカードを擦ると同時に【鳳凰の嘴】を顕現する…
公衆の面前でキュピらない為対策もばっちしだ。
『おっ!もう夜ですな!』
『おっと…確かにガクの言う通りカードの中の記憶が無いな…、俺様の腹が減った時に出る【陽炎】の様に移動した感じだ…』
ハナは二匹の言葉の内、セキの言葉が凄い気になったけどこれは一旦後回しにする…。
セキとガクは周囲の猫だかりを確認すると、輝かせた目をお互い合わす…すると、
急にガクは両手両足を大の字に広げ威嚇の構え?をし、そしてセキも何処かで見たことある銅像の様に片足を上げ、凛々しい顔つきで何処かを見つめていた…
コレは…もしかして決めポーズなのか!?
《ちょっと…それはなんのポーズなの?…》
《セキに来るべき日の為にカッコいいポーズを作った方が良いと教えて貰ったのですぞ!》
《そうだぜハナ様、俺様達は目立つからこそ、
特に、こう言うポージングが輝くのだ!》
ブルル
っとセキは自慢げに鼻をならす。
《それってどこで打ち合わせを?…、って2人とも私が間に入ってないのに喋れるの!?》
《ハナ様と同じ眷属なんで喋れますが?》《自分だけ特別と思うタイプなのかねぇ…》
《だって、馬と兎って…種族違うし…って、しまった!皆放ってたまんまだった!!》
猫族の皆んなはもう文字通りしーん…って言葉が似合う程静まり返る程静かだった…。
やってしまったとハナ達も固まってしまう…。
その静寂の中…トーニャが代表のように出てきて話す。
『[殺戮兎]と[赤燐暴馬]をハナは仲間にしたのよ!?凄くない!??』
トーニャはこちらに歩み寄って皆に力説していた。
『マジ…?襲ってこない保証ある?』
『スゲェけどこえぇぇえ…』
『[殺戮兎]って昔にいちゃんを殺した魔物だ…』
『あの[赤燐暴馬]って伝説までなってる魔物じゃねーか!!』
『[赤燐暴馬]…ふむ、面白いねぃ…』
『お、おまえらびび、ってんじゃ、ねーよ!』
反応はそうなるだろうと思っていた…。トーニャの最初の反応凄そうだったもん…。
『皆大丈夫!安心して!この2匹とも私の仲間になったから絶対皆んなを傷付けたりしないよ!!』
《ねっ、ガク!セキ!》
《言葉は分からぬが、この者達が怯えないようにすればいいのでござろう?》
《成程ね、弱者に気を遣わないといけないとは…これも強者の定めか…》
そういうと、ガクとセキはハナに向き直り、ほぼ同時に平伏するように頭を垂れた…。
二匹とも知能は高い…、種族の長に対して絶対の忠誠を違う場合、平伏するのが正しい事を理解していた。
その行動を、周りの者達に見せつける事で、ハナの命令を聞き行動する知性ある生き物と捉えて貰うようにしたのだ。
《おぉ…それもいつ覚えたの?》
《シッ!皆んなが見ているぜ》
ガクとセキの見事な姿勢に、この二匹は知性があり主人の命令を聞き無益な殺傷はしない生き物だと、周りの猫族達も流石に認めざるをえなかったようだ…。
パチパチ…
パチパチパチパチ!
疑いをまるで問題にせず一蹴するように払拭したハナの実力に、思わず猫族達の拍手が響き渡る…。
『ハナ…これ練習したの?』
『いや、勝手にやってくれたみたい』
ハナはこの2匹程賢くないので、なんで皆んなが緊張を解いてこの2匹を認めてくれたのかよく分からなかったが…。
ガクとセキはオレ達のやるべき事は終わったと、再度自慢げにポージングしていた…、あれはカッコいいと思っているのか…?
猫族料理長は、あの拍手に当てられたのかこのまま外に席を移動してテラス席スタイルでやるぞっと張り切り出した。
それを流し目で確認したトーニャは皆に聞こえる声量で話す。
『よし!料理長には言ってたんだけど、明日ハナが皆んなの家族を救いに人族の国に向かって出発するから、皆んなでお別れ会しましょう!お別れと言っても数日間だけどね!!…皆んな!次にハナと会う時は家族と会えるんだよ!!!』
その言葉を聞いた他の猫族達は、一斉に雄叫びやら何やら上げ始める、感動のあまり泣いてしまう者や、指笛を吹き踊り狂う者…アーチナとシズはお互いグッと腕を組み…静かに涙を流していた。
『わぁー!お別れ会?いいの!?嬉しい!!』
『勿論!!…それとごめんね?出来るだけ皆んなを集める為にハナの話を盛っちゃって…』
『トーニャが私の為に考えてくれるのが良いんだよ!ありがとう!』
トーニャは『ふふっそう?』と笑うと、持ち前のリーダーシップで皆を纏め上げテーブルを外に出すのを手伝いだした。
ハナも手伝おうとしたが、主役は座っててと椅子に座らされてしまった…。
ガクとセキも、ハナが鞄より取り出した[角にんじん]を食べながらハナの近くで自由にくつろいでいた。
ガクはそのまま人参をパリパリ食べていたが、セキは寝転がりながら自身の横腹へ置いた[角にんじん]を火力を調節して焼きにんじん…いや焦げにんじんを美味しそうに食べていた。
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ーーー
辺りはすっかり夜になり、街頭もちらほら点きだしてした。
外に運び出されたテーブルは[ハウス-フォレストキャット]への通り道を完全にはみ出していたが、誰もそんな事を気にする様子はなかった。
紅白の縦縞模様の魚が焼かれた物を各々のテーブルの真ん中に置いていく、その後周囲に色んな魚料理達がテーブルへ次々と運ばれていった。
トーニャが手伝いを終え、ハナの隣の席に寄ってくる。
『なんか祝い事の時に食べる魚みたいだね!』
『そうだよ!コレは[再会の錦]っていう名前で、離れ離れになってもお互い元気で必ず再会できるっていう縁起のいい魚なの!
ダンジョン二層で魚って大漁に取れるんだけど、この魚は本当に滅多に獲れないから…だからこう言う時にしか食べられないからいっぱい食べてね!』
『この辺りは何処にも海がないから何処からお魚獲って来るんだろうって少し気になってたんだよ…、ダンジョンで取れるなんて盲点だった…、
よし!再会できるよういっぱい食べる!!』
『それなら私も負けないようにいっぱい食べる!!』
そんな小さな決起集会をした後…、
トーニャは立ち上がり周りを見渡す…ここに集まった全ての猫族の視線の全てが、始まりの音頭はまだかまだかと、ハナの座っている席に向いている…、
トーニャはその視線を受け止めた後、持っていたマタタビミルクを高々に掲げる。
『ではコレより!我らの同胞を救いに旅立つハナへ!一時の別れと、再会を願い!!』
すぅぅぅぅ…
『乾杯!!!!!!』
『『『『乾杯!!!!』』』』
爆音とも呼べるような声量と、互いにコップをぶつけ合う音がこだますると共に、再会を誓う飲み会が只今より開催された。
ハナとトーニャの2人はお互い見合った後小さく笑いあい、2人の再会を願い、次々とコック帽を被った猫族が運んでくる[再会の錦]を贅沢にとにかくいっぱい食べるのであった。




