新しい鞄!
ハナは帰ってきて直ぐ、また心配していたら大変と思い、第一優先でトーニャに【鳳凰の嘴】で個別に連絡をとった。
《トーニャー!今帰ってきた!やっぱり訓練間に合わなかったよ…》
《あっハナ?お帰りなさいー…って、それは良いんだけど…お昼過ぎ頃に[赤燐暴馬]を仲間にしたとか何とか凄く気になる事言ってなかった?》
《…えへへ》
ハナは直接は答えず困ったように笑いながら伝える…。
《やっぱり…聞き間違いじゃ無かったのね…。
今帰ってきたばっかりなら依頼品の受取りしてないだろうし、先にそっちを終わった後、酒場集合ね!皆んなにハナが来ること伝えておくよ!
…それにしても[赤燐暴馬]…をね、まだ言ってないんだけど、ハナの話聞いたら皆んなビックリすると思うよ?》
《ガクのご飯取りに行った時に出逢っただけだし
…たまたまだよ?
酒場集合分かった!じゃあまた後でねー!》
ハナはトーニャにそう元気よく伝えると、荷物が[角にんじん]でパンパンだし、アーチナの薬を受取る前に改造を依頼していた[異空間の鞄 無制限]を受け取るべく、顕現していた【白虎の脚】以外の全ての【紋】を解除しながらアクセサリー屋さんのネネの所に向かうのであった
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夕方と言う事もあり、人通りが少なくなった猫族の国の中心である巨大な招き猫のモニュメントのある噴水の広場にやってきた…
【白虎の脚】を解除し、噴水の周囲をぐるりと回ると、アクセサリー屋さんのネネの店…外から見ると掘立て小屋のような建物の扉に着く。
ハナはそのまま扉を普通に引いたが開かなかった…。
と言うことは、つまり…。
『はぁ…多分合言葉あるよね……』
諦めと溜め息と共に、覚悟を決め、ノックをするべく近づく…。
コンコンッ
暫くの静寂の後、ネネは扉についた小窓の方では無く、普通に扉を開けやってきた。
『そろそろ来ると思ったわよわよ』
『あれ?合言葉は要らないの?』
ハナはこの合言葉が嫌で少し覚悟を決めたのに、ネネ側から開けてくれるとは驚いたし…、何より物凄く有り難かった。
『商品の受け取りだけなら合言葉は不要よ?代金も既に受取り済みだからね?そんな意地悪な事しないってねてね』
『あはは、良かった…本当良かった…』
『どーしてもというなら合言葉言ってくれても『遠慮しときます』』
ハナはネネの言葉に食い気味でそして無表情で言い放つ。
『もう照れ屋さんなんだからから』
ネネはウインクをしてハナに指を刺した。
『中にどうぞ!ハナの鞄サイッコーの出来に仕上がってるわよわよ』
ネネに案内されハナは中に入る…商品は相変わらず綺麗だったが、一際目を引くものが奥のテーブルに鎮座していた…。
それは、ハナの
[異空間の鞄 無制限]
それもかなり見た目がスタイリッシュで機能性に満ちた姿に変わった鞄だった…。
初めのは茶色で四角の箱の形状を上から生地を垂れ下げて蓋をしたような簡単な鞄の形だったハズ…、
まずは改造後の見た目…少しずんぐりとしている三日月いや…涙滴の形状の鞄が、白の色に染め上げられ、所々黒の縁取り的な模様と、蓋を差し込み止める為の小く輝く金の開き止めが目を引く…。
小物入れがひとつ、ふたつ、みっつと連続し並び、大物を入れる時にガバッと開きたいかぶせ形状の蓋の上に整列して取り付けられていた。
『凄い…こんなに綺麗になるなんて…』
『じゃあハナさんハナさん!鞄つけてみてみて?』
この鞄…初めは腰を一周するだけだったが、それプラス鞄の上方面に取り付けられている身体の前に通す為の斜め掛けのストラップ状の帯が伸びており、腰骨を一周した帯からY字に別れた金具に、3点で固定出来るようになっていた。
カチッ、カチッ、
『凄いフィット感…動きやすい…』
ハナはそう言うと、軽くジャンプしてみる…それでも鞄がふわふわと動く事が無かった。
『でしょでしょ?でも驚くのは荷物を出そうとした時なのなの!』
ハナは腰とお尻にフィットしている鞄の感触に驚きながら、背中側に手を回し鞄の中に手を突っ込もうとする…あれ?蓋というか…入り口が…ない?
『あれ?ネネさん…手を入れる場所が…』
『そう!そこであってるよ?押してみてみて?』
ぐっ…ペコっ!
ハナは言われた場所…涙滴形状の頂点から蓋が被さっていない少しずらした場所に少し力を加える、すると鞄の入り口が凹み、中にあっさりと鞄に手を入れる事が出来た。
そして中の入っているものの情報が何故か次々と頭に入ってきた。
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[異空間の鞄 無制限]
ネネの作ったクッキー 5枚
ネネの作ったお人形
ネネの作った自画像
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えぇ…ちょっとまって…なんか変なの入ってる…。
『えぇっとコレって…』
『渡せてなかった購入者特典の、ネネのファンにはたまらない!お手製クッキーとお人形と自画像だよ?
後、[調の涙]買ってくれたからそれと共有して、中に手を入れたら鞄の何処にあるか、分かるようにしてあげたよたよ?』
ネネのウインクからまるで星の輝きが放たれたと錯覚する程のキメ顔を見ると…、
『あ…そ、そうなんだ…ありがとう』
要らないとはとても言えない空気…
とりあえず帰ったら部屋に置くか、なにか対策を考える事にしておこう…。
でもこの手を入れるだけで何処にあるか分かるっていうのは凄い!流石アーチナさんが紹介するだけはあるなっと心の中で思うハナだった。
それにしても"ネネの作った“って名前のは初めてだし…
こう言うのも作れるのか一度聞いてみよっか…
『この名前って自分で作れるの?』
『あっ、気づいちゃった?作成者の気分次第でそうやって自分で作った物には名前も登録できるんだよだよ。
でも、出来ないものも勿論あって既に商売用として登録されていたり…平たく言えば皆んなが知っている物…アクセサリーとか装備とか後は…そう薬とか!他にも色々あるんだけどそういうのには勝手な名前を付けちゃダメダメ!』
『へぇー…、回復薬を作ったのに、毒消しと言う名前で売れば迷惑になるから…とかそう言う感じ?』
『そうそう!そんな感じ!あったま良いねー!』
語尾の繰り返しを忘れそのままサムズアップを決めるネネ。
『頭良いとか始めて言われた!』とハナはビックリした様子で言い、ずっと手を突っ込んでいた鞄から漸く手を離す…。
カポッ
『あっ!』
『そう…この鞄は手を入れてなかった時は自動でカポッと閉まるように改造してあるのですです!』
魔法少女の格好を自慢げに見せているようなそぶりで腰に手を当て自慢げにするネネ
パチパチパチパチ
『ほんと凄いよ!今日渡したばっかりなのに、こんなに使い易くなるなんて思ってもみなかった!!
色も形もカッコいいし!すっごく気に入ったよ!!
ありがとう!』
思わず拍手してしまったハナは、最初の鞄の形より自分の好みにカスタマイズされていたお陰で格段に使いやすくなった事で、それが途轍もなく気に入り、ネネに感謝を伝える。
『ふふん!もっと褒めて褒めて!
……あっと、そう言えばアーチナちゃんもハナさんに用があるから鞄渡したらお店に呼んでって言ってたよたよ?』
『あっ!そうだった!あんまり時間かけちゃイケないんだった…借りてた方の中身移し終わったらアーチナさんのお店にいくよ!』
『うん!その方がいいかなかな?』
ネネはフフッと笑うと、ハナを目隠し用のカーテンに案内する…、ハナはそこに入っては、鞄の中身をすぐさま移していった。
[角にんじん]は取り出しやすいように、下段の小物入れに納め、中段の小物入れには[黒丸薬]を入れた。上段は今の所は空きだ、
全て詰め込んだ後、すっかり空になった[異空間の鞄 莫大]を丁寧にネネに返す…その前に、
流石に土は払って居たが[角にんじん]を入れた手前そのまま返せないと思い、鞄の中をできる範囲で掃除しようとネネに相談したが、
『あれあれ知らない?[異空間の鞄]は汚れても自動で勝手に綺麗になるんだよ?だからそのまま返してくれて大丈夫だよだよ?』
と当たり前のように言われ、そんなの聞いてないと絶句するハナなのであった…。
『どうしたのたの?』
ネネはそう言いながら、上の空になっているハナを心配そうに見つめていた。
『いやいや!なんでもない!掃除不要なのは知らなかった…んじゃあコレはこのまま返すね!
それと、鞄…大事に使わしてもらうよ!ありがとう!』
『こちらこそ!久々に見た上質の鞄で腕の鳴る仕事だったよ!また来てねってねー!!』
ハナは借りてた鞄を返し、ネネは鞄を受け取る…それがどこか固い握手を結んでるように見えた。
ネネの店を出ながら、振り向きざまに手を振りながら別れの挨拶をすると、小走りにアーチナのお店に向かうのだった…。




