アクセサリー屋さんのネネ
ハナはアーチナに教えてもらった一癖ありそうなアクセサリー屋のネネに会うべく、相変わらず人通りの多い噴水の周りをぐるりと周り、ネネの前と思われる場所に着いた。
この場所は店と言うか、ただの民家と間違いそうな程殺風景であり看板も無ければ、商品すらも周りに何も無い…おまけに扉は、
ガチャガチャ…
『空いてない…留守だったのかな?』
カラカラカラ…
『合言葉…』
扉についていた小さな窓を開けそこから猫目がニュッと出て来ると合言葉を要求してきた。
はぁ…アーチナさんから聞いてたヤツだ…。
ハナは深い溜息を吐いた後、覚悟を決めて合言葉を行った。
『ふー…ネネ様の猫パンチを…下さい』
自分でも恐ろしく無感情で言う。
何故こんな事をしなきゃならないかと圧倒的に理性が勝っているが、コレもポーチを改造してもらう為と我慢して言ったが…
『…愚かな?』
細かいワードを気にするタイプだったみたいで、ヒントのような事を言われた…
言われなくても知ってる…アーチナさんに二度ほど聞き返しているのだから。
というか敢えて言って無かったのに…
見てる人の視線も感じるし…
嫌だ言いたく無い…
でも…はぁ。
『愚かな下僕にネネ様の猫パンチを下さい!』
『ようこそ!ネネのアクセサリーショップへ!!』
勢いよく扉が開き、頬っぺたにソフトタッチな猫パンチされる…猫パンチをした主は口元をベールで隠した魔法少女のような恰好をした猫族ネネだった。
『は、初めまして…ハナです』
もう帰りたい…。
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死んだような顔だったハナは、中は外見よりも広々としていて、驚く程綺麗に陳列された店の中で宝石の様に輝く数あるアクセサリーに年相応の喜びと興味を示したのだった。
『すごーいー!きれーい!』
特にルビーの様に赤く細い宝石があしらわれたブレスレットや、アメジストの様な紫色宝石が埋め込められた片耳タイプのピアスはとても綺麗で気に入っていた。
『おっ?いいねーいいねー!大体の商品は何かしらの効果はついているんだけど、その商品を選ぶとはお目がたかぁい!!赤のブレスレットは別名[力のストリング]![紋]を使ってない時の通常の力が1.5倍程強くなるのー!で、紫のは[調の涙]手にしたアイテム名と効果が知識が無くてもある程度の範囲分かるようになるんだよ!?どっちもとっても便利なアクセサリーなのなの!』
『えっ、凄くない?』
どっちも使えるし普通に欲しい…、
と言うか喋り方が非常に気になる…、まっ今はどうでも良いか…。
そんな事より気になるのは…この値段!
『因みにお幾ら?』
『高いよ高いよ?[力のストリング]は金貨7枚、[調の涙]は金貨30枚って所かな?かな?]
『両方買います』
どしゃあ…
有無を言わさず腰のポーチから手探りで金貨を握りしめ、机に重ねて置いていく…。
古代遺跡から持ってきた、金銀財宝は山程あるからね!
因みにトーニャにこの金貨を見てもらった所、少し形式は古いが今流通している貨幣…所謂金貨として遜色も無くちゃんと使えると教えてもらっている。
『あれ!?お金持ちの方だったの!?…ならもう少し高くすればよかった…』
『いやいや…お客さんの前で言っちゃだめでしょ…』
落ち込むネネに呆れ顔でハナは言い、支払いを済ませた後、
購入したアクセサリーの効果を見たかった為、装備していく…[力のストリング]を付けると、力が上がった…のか?近くの花瓶を持ち上げてみるも…分かんない…多分そんな気がする…まぁコレはオシャレだし普段使いとしていいかもしれない。
後ピアスだが、最近高校デビューの一環としてピアスの穴を開けるだけの事はしていたので、この[調の涙]を付けるのは人生初のピアスでちょっと大人になった気分を味わった。
効果を確かめるべく近くにあった、星をかたどった青い髪留めを手にとる。
[調の涙]が小さく光ると、髪留めの内容が鮮明に頭に入ってくる…。
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[出会いの髪留め]
運命の人と出会える場所を指し示す光がでる。
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んー、これは今は要らないな…
元の世界だとちょっと欲しかったけど…
少し残念そうな顔をしながら商品を棚に戻した。
あっ、そう言えば私転生してるからピアスの穴無いはずなのに…多分ニャルデルが上手い事転生前の身体に合わしてくれたのかな?
…まぁいいや!
でも、こういうアクセサリーは良いね!
ピアスもまさかこの世界で付ける機会があったとは!
どっちも便利だし、綺麗だから気分が上がる!
嬉しくて調子に乗り鏡の前でクルリと回転してみせる。
ハナの鞄が舞い、ネネの視界に鞄を写した。
『お!似合うねー!喜んでもらえて何より!
ところで…私に会いに来たのはその鞄の事だね?見たところ純粋な無加工品だから取り出しにくそうだし…私が改造して上げようかなかな?』
『まだ見せても無いのに…流石話が早いね!是非お願いするよ!』
『…因みにそのスカートについてる…『あっコレは大丈夫です!』
カードケースは魔物が入っている為、間違って触られるとややこしい事になると思い丁重にお断りした。
ネネはハナの腰に装着していた鞄を受け取ると、コロコロとした笑顔から、職人のような目つきになった…。
『まさかと思ったけどコレは…驚いた…初めて[異空間の鞄 無制限]を見たよ…このクラスの改造は初めてではないのがせめてもの救いかな?
んじゃあ…改造費用として…
金貨100枚…用意できる?これはリスクを伴う正規価格…値上げは一切してないよ?』
『あるから大丈夫!』
まだまだ古代遺跡の金貨は山のように残っているので、特に金銭について困っている事は無いため即答する。
『やっぱり、お金的には問題無いと思ったよ…
じゃあ腰回りの寸法と、曲がる腕の角度、こだわり等等徹底的に検査するからちょっと手伝ってねてね?』
そこから体感2時間程かけて、ネネの指示の元色んな寸法を取られ、戦闘の時にアイテムを取る姿勢など細かいところまで調べられた。
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『ふぃー!お疲れ様!!んじゃあコレで私は仕事に取り掛かるよ!夕方頃またきてね!ってね!』
一様不便だろうと言う事で、予備としてネネの数少ない未改造品で私物の[異空間の鞄 莫大]を代用品として貸してもらい、荷物を全て移していく。
容量的に大丈夫かな?と思っていたが、私の荷物を入れた段階で、3分の2程埋まってしまった…ギリギリセーフ…。
殆ど古代遺跡のお金と宝石のせいだったが…。
移している最中は、気を使ってくれて、四角くカーテンで区切られた場所で移させてもらった。
どうやら鞄の中身は個人情報との事だった…とくにまだ変なの入れてないから気にしなくて良いと言ったけど、外の国に行くならこういうのは慣れた方がいいんだって、ネネさんから教えてもらった。
そろそろお腹が空いてくるお昼の時間帯だから、トーニャに今の進捗の確認と遅くなりそうとの連絡…と、お昼ご飯のお誘いも兼ねて、一旦ギルド裏の訓練場に向かうのであった。




