十一日目・散り散りに……!
隠れ小屋が、真莉愛によって粉砕された。
「みんな逃げて!!」
優楽が叫ぶ!
そして血の刀を二刀流で出現させ、真莉愛に斬りかかっていく。
「があああああ!! アハハハア! やってやろうジャン!!」
真莉愛も、手から血の剣を出す。
更に真莉愛はバーサーカー化している。
獣人のような見た目だ。
どれだけパワーが増していることだろう。
「優楽っ!!」
「逃げて!」
真っ暗な林のなか、恐怖と焦りだけが強烈に心に響く。
どうしたらいい!? どうしたらいい!?
優笑の心の中で繰り返す言葉。
「優笑! 今は逃げるしかないよ! 私らが拡散することで、意識をバラバラに向けられる!」
「スズメちゃんっ……」
「相賀の言うことも一理ある! 天乃、僕と一緒に来い! とりあえず此処を離れるんだ。東へ向かおう!」
レベル1の優笑を一人にはしておけないと、ショウが言う。
「は、はい!」
この林は東の端まで続いている。
情況を見て図書館に入ることもできるし、寮の近くにいれば様子を見に来た武装兵士を逆に利用できるかもしれない。
とにかく真莉愛から離れる事だ。
しかし、優楽が一人で闘っている……それを置いて……。
胸が引き裂かれそうだ。
それでも近くにいても、何もできない。
「優楽だって、隙を見て逃げるさ!」
「は、はい」
優笑は涙を堪えて走る。
スズメはどこへ行ったのか、わからない。
優楽は優笑がショウと逃げるのを見て安堵するが、すぐに真莉愛の爪が襲ってくる。
「くっ……」
真正面から相手をして、こんな化け物に勝てるわけがない。
「喰わせろオォ!」
「もう人間に戻れないかもしれないのに、なんて馬鹿な事してんの!?」
「それがどうしたァアアア! 吸血姫になれなきゃ、どうせ終わるんダ! オマエのエサなんかに絶対ナルか!! あたしが頂点に立つんだァアアアアア!」
「私だって、絶対に負けないよ!」
優笑のためにも絶対に負けられない……! そう思い優楽は刀を両手で構える。
しかし、少し距離を置いた真莉愛は、真っ赤になった瞳で優楽を見る。
「バァ~カ! お前ハ後回しに決まってんダロォオ! まずはあのイラつくオマエの片割れを喰うんだよ!!」
「な、何を言って……!?」
「ソフィア、ソフィアと頭の中がうるせぇえええ! それにあの女の首を咥えながら戦えばお前ナンカすぐ殺せるだろオオオ?? ギャッギャハハハハ!!」
「や、やめろ!!」
そう言うと真莉愛は獣のように伸びた髪をなびかせ、真っ暗な林の中を走り去っていく。
「うそ……戻ってこい! 私と戦って! やめてやめてぇ!! 優笑ちゃん!!」
優楽の絶叫が響く。
まさか真莉愛に、優楽の弱点が優笑であると知られているとは……!
「優楽!」
優楽の目の前に、スズメが現れた。
「スズメ! 優笑ちゃん達はどっちへ行ったかわかる!? あいつ優笑ちゃんを襲いに行った!」
「……わかんない……でも迷路の方とか……?」
「迷路に!? そんな話をしたの!?」
「わかんないって……林の中で隠れることを選ぶかもしれないし……タイムロスになるけど、寮に戻って端末を手に入れた方が早いかもね」
「そうか!」
確かにがむしゃらになって探すよりは、確実かもしれない。
「寮に戻る! スズメは好きにして!」
「もう、一緒に行くに決まってるでしょ!」
吸血鬼のレベルが上っている優楽は走るスピードも速くなっている。
後を追うスズメの事など気にせずに、優楽は全力で走った。
「優笑ちゃん! 優笑ちゃん……! 無事でいて!」




