十一日目・真夜中の惨劇……!
優笑は浅い眠りのなか……色んな夢を見た。
あり得ない夢達……。
ソフィアと夕飯を食べる夢。
灰岡ショウとアフタヌーンティーをする夢。
スズメとゲームセンターに行く夢。
そして小さな優楽と遊ぶ夢。
優笑も幼子だ。
手を繋いで、山のなかを一緒に走る。
生まれた時から、ずっと一緒だった。
死ぬ時も一緒だと、思ってしまうくらい――。
離れたのは、あの誘拐事件の時だけ……。
いつも笑ってる優楽が、沢山泣いて泣き叫んでいた。
病院のベッドで対面した時は、骨が折れるくらい抱きしめられた。
それからお母さんが……心の病になってしまった。
お父さんはいなくなった……。
家族を壊したのは私。
もう優楽に、絶対に心配かけちゃいけない。
絶対に……。
そんな想いと、優楽と手を繋いで駆け回る楽しさが心を交差する。
でも、真っ暗になる舞台。
一体何が起きたのか……。
「大丈夫だから……大丈夫……だよ……ゆ……え……ちゃ……」
真っ暗のなかに浮かぶ、優楽の顔。
でも幼い優楽は血だらけだった。
「……優楽、どうしたの……そんな大怪我して……何があったの……? いやあああ!」
私の双子の片割れが死んでしまう! と強く思った。
助けたい! 助けなきゃ!! 助けたい!! と強く願った。
これは……実際にあった……私の記憶?
優笑がうなされ始めた……その時。
ドオオオオオン!!
激しい爆音が響いて、優笑は飛び起きた。
「な、なに!?」
一瞬で見ていた夢を忘れてしまう。
そして警報音が響き渡った。
寮が爆発した!?
優笑はパジャマのまま靴を履き廊下へ飛び出すと、二階は警報と煙に包まれている。
そして優笑の部屋から近い部屋のドアが、破壊されているのが見えた。
「助けっ……ぎゃあああああ!! いやぁああああ!!」
ゾッとするような断末魔。
それに加えて獣のような咆哮も聞こえる。
「優笑ちゃん無事!?」
「優楽!」
警報が鳴るなか、優楽がネグリジェで優笑の元に走ってきた。
私語が禁止など、今はそんな場合ではない。
「一体……なに!?」
双子は手を取り合って、玄関扉の中を覗き込んだ。
自分達と同じ作りの部屋が見えた。
白い煙が途切れたと思ったら、部屋の中で血痕が飛び散るのが見えた。
「う……」
「ぎやあ! があ! 助けて……」
ホラー映画で、モンスターに追われ喰われているような音がする。
いや、これは……聞いた事があるじゃないか。
眼の前で見た……遊園地で……。
「ガァアアア!! びちゃ……ぐちゃ……」
喰われていたのは、蝶子をシェアして今日はエステにネイルに……と御褒美をもらった清水留梨子だ。
そして食べているのは……。
「バーサーカー!!」
まさか、と二人は思った。
ショウも間近に寄ってきて、一緒に見て、動けないでいる。
「どうして……??」
「ぐぁあああああああああああ!!」
真夜中の半壊の寮。
バーサーカーの咆哮が響く。
「なにやってんの!? 優楽! みんな逃げないと!!」
スズメの声! 金縛りが解けたように三人がハッとなる。
ぐしゃ……ぐしゃ……と足音を立ててバーサーカーがこちらへ歩いてきた。
『侵入者・侵入者! 殺す殺す殺す!! 警報! 警報!』
かろうじて無事だった二階の猫型配膳ロボットが、内蔵されていた銃をバーサーカーに向けた。
しかしバーサーカーは、崩れた壁から拾ったコンクリ塊を投げてロボットの頭部部分を粉砕させた。
飛び散るロボットの破片。
「優楽ぁ! 逃げるんだって!」
スズメがまた叫んで、呆然としていた優楽がハッとなる。
「あっはは……がぁああ……あはははは! なんだぁ……クソッタレの双子かぁ!」
言葉を発した!!
このバーサーカーは、あの暴走バーサーカーとは違う……自我があり、知能で行動している!?
足に注射器が刺さっているのが見えた。
バーサーカーは、まだ人間の顔を留めている……その顔は……!
「……真莉愛!!」
「あっはっはーーーー!!! さぁさぁさぁ~~~~~~!! 全員皆殺しだ!!」
半分だけバーサーカー状態になった真莉愛が吠えた。
警報が鳴り響く――!




