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JK吸血姫×バトルロイヤル・デスゲーム~突然吸血鬼にされたJK32名が1人になるまで殺し合う!壮絶蠱毒バトル!~  作者: 兎森りんこ


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二日目・迷路のショウ・蝶子の狩り


 公園の迷路を走っているのは灰岡ショウ。

 学園ではスカートかパンツスタイルかを選ぶ事ができたので彼女はパンツスタイルだ。

 リボンではなくネクタイを絞め、ショートカットの長身スタイルによく似合っている。


「灰岡ショウ~~! あんたのせいでっ! あんたのせいでっ!!」


 しかし『孤高のプリンス』を鬼の形相で追いかける女生徒がいた。

 

「意味がわからないよ」

 

 逃げ切りたいところだが、迷路が思った以上に複雑だった。

 恨みつらみを吐いてくる、彼女は一体誰だっただろうか?

 追いかけられているから考えているが、そういえば陸上部にいたような気もしないでもない。

 

「あんたのせいで、私は選手から外されてっ! 許さない!」


 他人の成績など興味のないショウは、自分が誰かを蹴落としたなどという感情も記憶もない。

 チラリと後ろを見るが、彼女にはもう陸上部で短距離走をしていたという雰囲気は感じられなかった。

 重そうな身体を揺らして走ってくる。

 途中で諦め退部し、だらけた生活でも送っていたのだろうか。


 他人のせいにする人間は結局自分に甘い。


 淡々と脳内でそう理解した。

 

「あんたを殺したいってずっと思ってた! 何がプリンスだ! ふざけんな!」

 

 半狂乱女子のその手には、庭の剪定に使う大きなハサミが握られている。

 ショウは足の速さでは負けないと迷路の先を急いだが、行き止まりだ。


「くそっ」


 樹木でできた迷路など、すぐにかき分けて出る事ができるだろうと思っていたが、棘のある植物と硬い枝の植物が絡み合い容易には出られない。

 出るために藻掻いているうちに後ろから致命傷を与えられるだろう。


「あんなに頑張ってたあたしが報われないで……あんたがなんでいっつもトップなんだよぉ!!」


「……もう、今はそんな事なんの役にも立たない状況さ……」


 そう、どんな栄光も今のデス・ゲームでは全く無意味。

 

「そうだ! そうだよ! お前なんかここじゃただの凡人なんだよ! ……陸上部界のトップをあたしが殺してやるんだ!」


 言ってる事が支離滅裂だ。

 目が血走っている。

 興奮状態なのだろう。


 ショウは背後の樹木の壁を見る。

 助走を付けて飛び上がれば乗り越えられるか……?

 

「あたしの恨み思い知れ!!」


「やめろ!」


 女生徒はハサミを構えて突進してくる!

 身を翻し軽くかわしたショウは、右手に細く細く長い血の長針を出現させた。

 素早く、無駄のない動き……。

 一気に首の後ろに突き刺した。

 

 首の頸椎を貫通する!


「うが……っ」


 血が吹き出ることはなく、女生徒は崩れ落ちた。

 

 最後に恨みを呟く暇も、なく――。

 

「……喰わなきゃペナルティか……くそっ」


 『無駄にすればペナルティがある』と言われているが、何をされるのかわからない。

 それが却って不気味だ。

 数秒迷いながら、ショウは女生徒の首に噛みついた。


「うぐ……他人を取り入れるなんて、気持ちが悪すぎるな」


 灰になっていく様子を見ながら、ショウは呟き口元を手で拭った。


【畠山 あさみ死亡 灰岡ショウ・レベル2】

  

 ◇◇◇

 

「あーまじ、あの真莉愛っての~? そろそろ最高うざいし」


 蝶子が遊園地の中を歩きながら見つけた鉄の棒を、振り回す。

 

「わかるー死んでほしいよね~」

 

「ねぇねぇ、こっちガムの自販機あるよ」


「はぁ~腐ってんじゃない?」


 口々に喋るギャル仲間の三人。

 福原 渚、中田薫、清水留梨子

 一人が指さした自販機を蝶子が持っていた鉄の棒で横殴りする。

 ぶっ壊れた自販機からバラバラとガムが散らばった。


「うひゃー」


「やったぁ」


「食べれるの?」


「誰か食って? 食べられるか味見しなよ」


 蝶子の言葉に、三人が固まる。


「早くしなって、うちが食えないじゃん。腐ってないか食べてみって」


 三人がお互いを見合う。


「あんた食いなよ……」


「え、あんたでいいじゃん」


「ちょっとやめてや」


 まごつく三人に蝶子がギラリと睨みつける。


「三人とも違う味食べればいーじゃん。早くしてよ!」


 ガン! と地面に鉄パイプを叩きつける蝶子。

 慌てて三人とも、違う味のガムを口に入れる。

 研究所で新しく入れたものなのか、変質はしていなかった。


「だ、大丈夫みたい」

 

「遅いんだって!」

 

 チェリー味のガムを蝶子は口に入れる。

 子供のころから大好きな味だ。

 少し機嫌がよくなった蝶子を見て、三人はホッとする。

 蝶子は長身でモデルのような体型だし、『ブルーパピヨン』のギャル仲間もそれなりのプロポーション。

 この四人でいれば、周りのモブのような地味女には負けない自信はある。

 

 蝶子はあの真莉愛を潰せば、勝機はあると考えている。

 と思っている事は三人とも知っていた。


 でも『吸血姫になれるのは一人』なのだ。


「なんかさ~同じ顔したのいない?」


「あぁ……双子でしょ?」


「チョロチョロ目につくんだよね。なんかウザくってさ。見つけたらすぐ喰ってやるのに」


 蝶子から自然に出てくる残酷な言葉に渚はゾッとしてしまい、慌てて笑う。


 クチャクチャと噛んでいたガムを、もう草が生えてボロボロになっているタイルの地面に吐き出した蝶子。


「ねぇ、見なよ」


 遊園地の場所は、少し小高い丘になっていた。

 なので遠くの景色がよく見える。

 遊園地に一番近い林の中、女生徒二人が歩いているのが見えたのだ。


「やっと狩りができるじゃん」


 蝶子がニヤリと笑う。

 それを見て三人は引き攣りながら頷いた。



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