第4話 兵器化実験
また短めです。
「はぁ……」
俺はどさっと腰を降ろしてその場に座り込む。
まさか、ラウネ達からあそこまで信用が無いとは思わなかった。
ラウネに嫌われた理由もわからないが、旅での何かが不満だったのだろうか?
普通、人間は不満が積み重なると嫌いになる事も多いらしい。
だから、信用が無かった事もそこに原因があるのかもしれない。
嫌いで信用も無い人間が、理解もできない異常な力を持っていて、なんの抑制手段も持てないなら、たしかにそいつにとってそれは邪魔でしかないだろう。
それはそれで仕方の無い事なので、俺はさっさと逃げるなりすべきだったのだが、その手段もタイミングも無くなってしまった今、もうなすがままにされる以外に方法が無いだろう。
逃げられるタイミングは幾つかあったのに、逃げなかったのは俺の自業自得だ。
旅の途中、仲間達の信用を得られず、こうなったのも自業自得。
気が合わない関係なら、無理に合わせる必要も無かったはずだ。
深く関わらず、距離を置けば良かっただけ。
こんな結果になったのは仕方無い……本当に全部、仕方の無い事だった。
仕方の無い事なら諦めるしか無い。
俺は……そう考えてる。
……だが、何故だろう。
何故か俺は、とても煮え切らない、何か塊の様な物を胸の内に感じた。
■
「おはよう。実験を始めるよ」
俺は恐らく翌朝(外からの光が入らないので時間はわからんが、多分翌朝だろう)、ラウネに連れられて兵器化実験を受ける事になった。
拘束されたままカプセル型の魔道具に入れられ、内外問わず複雑な魔道具だらけだ。
「実験が完了するまで、君は意識を失う事になるけれど何か言い残す事はある?」
「言い残す事は無いが、質問はあるな」
「今更だね。なんだい?」
「そもそも兵器化って何をする気なんだ?」
考える時間を与えられて聞きたい事は幾らかあったが、1番気になっていた事を質問する。
「……それは君が知らなくていい事だよ」
一瞬黙ったが、ラウネは表情を変えずにそう言った。
「でも、君がどんな風に使われるかぐらいは教えてあげるよ」
「それは助かるな」
この実験でどんな改造をするかは秘密だが、どんな事に使われるかは教えてくれるらしい。
「……魔王軍の残党狩りと、王国を危険視した周辺国々との戦争兵器さ」
「……ほう」
「他に質問はあるかい? 無ければこのまま実験を始めるよ」
返答が終わると、ラウネは急かす様に魔道具を動かし始める。
聞きたい事は他にもあったが、処置は始まってしまったらしい。
しばらくすると俺は眠くなっていき、意識が遠くなっていった。
「10日くらいで実験は終わる。安心してよ、僕は絶対に失敗しないから。これは実験が終わるまでの短いお別れに過ぎない。生まれ変わった君を楽しみにしてるよ」
ラウネのよく見えない表情とその言葉を最後に、俺はカプセルの膜越しに真っ白な綺麗な天井を見ながら意識を手放した。
(……うん? これは……?)
俺が再度、意識を取り戻すと、視線の先にはひび割れた黒く汚れた天井があった。
カプセルの膜越しでもなく、視界はとてもクリアだ。
少し重たい体を起こし、周囲を見渡すとカプセルは割れ、周囲の魔道具もボロボロになっている。
いや、周囲の壁も、天井も、部屋全体がボロボロで照明も点いていなかった。
(一体これはどういう事だ?)
ラウネ「絶対に失敗しない」(`・ω・´)キリッ