第2話 牢獄
短いので今日中にもう1話上げる予定です。
「どうして俺は牢獄に入る事になったんだ?」
魔王を倒し、王国の王へと報告した翌日、俺は拘束され、城の牢へと入れられていた。
「うるさいぞ!」
看守が怒鳴り、牢が蹴られて震える。
「貴様の罪状は国家反逆と大量殺人だ!」
そこまで叫ばなくても、牢の檻1つ隔てたぐらいじゃ聞こえるだろうに、この看守はやたらと声が大きい。
「お前の方がうるさいと思うぞ?」
「黙れ! この化け物が!!!」
またその言葉か、何奴も此奴も同じことを言う。
「それにしても罪状はそれとはな。俺は命令通り、魔王を倒してきただけなんだが……。報酬を払う所かこんな仕打ちを受けるとは思わなかった」
報酬にそれなりの地位と名誉を与え、何不自由の無い、この国での自由を約束すると言われて命令を受け、魔王を倒してきたと言うのに。
まぁ、周りに居た貴族達は、【勇者】はそれが使命なんだから無条件に行けだとかなんとか言っていたが。
「黙れと言っている! 貴様の様な犯罪者に、我が国を自由に歩かせられるか!」
「……はぁ」
これ以上、こいつと話しても無駄だろう。
俺は望み通り、黙って地に視線を落とす。
「逃げようとするんじゃねーぞ?」
「力のほとんどが封じられてるんだ。できるわけ無いだろ?」
今の俺は大量の魔道具で、魔力も行動も、その殆どが制限されている。
幾らただ頑丈なだけの檻でも、今の力では破壊不可能だ。
「……貴様の力は底が知れないからな。化け物にはいくら注意を払った所で足りん」
「……そりゃどーも」
酷い言われ様だ。
確かにこの魔道具が無ければ簡単に抜け出せるが、今出来ないことに変わりは無い。
看守は訝しげに俺を見ながらも、牢からは離れていった。
「何でこうなったんだろーな……」
俺はこうなった経緯を思い出す。
そもそも、何でこんな魔道具を大人しく着けられたかといえば、着けにきた人物が原因だ。
俺を捕まえに来た人物は王国の騎士団と……、共に旅をしてきたあの3人だった。
俺には何が起きたのかわからず、呆然としている間にいつの間にかこの状態で牢に放り込まれた。
あの時、3人の表情がどんな表情をしていたのか正直覚えていない。
険しい表情をしていたのはたしかだが、何を考えているのか、俺には全くわからなかった。
「まぁ、もう全部どうでも良いことだな」
報酬とか、これからどうするかとか、全部もうどうでも良くなってしまった。
今できることなんて何も無いのだし、後は流れに任せよう。
――そうして何日か牢獄で過ごしていると、例の看守と、他何人か白い白衣を着た奴らが俺に何か告げに来た。
「災厄の勇者、エルト。貴様の処遇が決まったぞ。貴様は――研究所行きだ」