You are shock
行くあてのないあたしは前歯のない小汚いジジィの家に居候させてもらう事になった。
ジジィの名前は山本というらしい。
山本はボロいほったて小屋のような家に住んでいて、
さして可愛くもないガリガリに痩せた猫を飼っていた。
明日は朝方から漁に行くらしいので手伝わせてもらうことにした。
早朝、眠い目をこすると山本は既に準備万端だった。
あたしは急いで着替え山本の所有するボロい船に乗り込んだ。
「やーい!今日はマグロが跳ねてるやーい!」
山本はそう言うと船から撒餌を投げタバコに火をつけた。
コンビニのおにぎりを食べながらマグロがかかるのを待つ。
20分後。
釣糸に強い引きがあった!
かなりの大物だ!
「やい!」
山本はモタモタしながらタバコを消し、
おにぎりを片付け何故かまた新しいタバコに火をつけていた。
「何モタモタしてんだクソが!!」
あたしは思わず山本にキレて急いで釣糸を引いた。
「この重量感…!300キロ越え確実だ…」
手応えを感じ必死に抵抗するマグロをありったけの力で引き寄せた。
「おい山本!!電気ショック持ってこい!!」
「やい!」
ボロい電気ショッカーをマグロめがけて振り下ろした。
よし…!
「山本!!電気入れろ!!一気に仕留めるぞ!!」
「やーい!」
山本は電気ショッカーのボタンを押した。
ジリジリジリジリジリー!!
激しい音が鳴る…!
「フフフ…あとは気絶したマグロをモリでついて引き上げるだけ!」
しかしここで異変が…!
マグロが激しく暴れだした!
マグロに電気ショッカーが効いてない…………...?
「山本おめー電気ショック効いてねーぞ!!なにやってんだ!!」
「カンギ!!」
マグロは船の下へ移動し抵抗を続けた。
釣糸が船に擦れ糸が切れそうだ。
このままでは300キロ越えのマグロを逃がしてしまう。
「こうなったら仕方ない…!!」
あたしはモリを片手に荒れ狂う冬の海に飛び込んだ!
「やい姉ちゃん!死んでしまうやい!」
波に飲まれながら、
「てめーがクソだからこうするしかねーんだよ!!よーく見とけ!!」
あたしは船の下へ潜りマグロを探した。
「いた…!!かなり大きい…!!」
素早くマグロに近付きモリで突いた!!
しかし激しく暴れこのままでは捕まえる事は無理だ…。
「そうだ…!!」
咄嗟の閃きでマグロの鼻先に強いナックルをお見舞いした…!
するとさっきまで暴れていたマグロはぐったりし、あたしはマグロを抱え沖にあがった。
「ふぅ…」
マグロとの激しい格闘を終えたあたしは疲れきっていた。
マグロを計量すると360キロだった。
「やーい!姉ちゃん!1億越えのマグロだやい!」
「やいやいうるせぇクソじじい!!」
その日の夜は山本が買ってきたスーパーの寿司だった。
しょぼ…。
「山本!!おめーはスーパーの寿司でいいけどあたしは贅沢させてもらうよ!!」
ひとりで焼き肉屋に行き腹いっぱい肉を食べた。
数日後。
巨大マグロを釣って1億の大金を獲た。
「やーい!今日はスナックだやい!」
「お前何もしてねーだろ!この金は全てあたしが貰うよ!」
「やい…」
そんなやりとりをしていると背後から黒服の男がやってきた。
「メロディーさんですね?」
この黒服は高須の手下…!!
こいつらに見つかったら警察に捕まってしまう…!
あたしは片手に持っていたモリ矢で黒服をメッタ刺しにして、
その場からすぐに逃げた。