白髪の老人
意識を失ったあたしは目を覚ますとヘリコプターの中にいた。
運転席には白髪の中年男性…老人…?
「お嬢さん、お目覚めかい?」
「ここはどこ…!?あなたは誰!?」
「君がお腹を強く打った衝撃でね…。僕のクリニックに運んでるんだよ。」
あ…あたし、力士の下敷きになって気絶したんだ。
琉ちゃろとの赤ちゃん…大丈夫かな…?
「さぁ着いたよ!これから手術だ。麻酔をするよ。」
チラリと高須クリニックという看板が見えたがすぐに気を失った。
数時間後。
ロマンスグレーの老人が鏡をベッドに横たわるあたしに差し出した。
「だ…誰なの!?」
「フフフ。僕の名前は高須。君を全身整形させてもらったよ。」
「あたしと琉ちゃろの赤ちゃんは!?」
「残念ながら助からなかった。うちは整形クリニックだからね。その代わり君が美しく生まれ変わったんだ。」
「そんな…」
琉ちゃろとあたしの愛の証が消えた…。
「ううぅ…ごめんね琉ちゃろ…(涙)」
帰り道、夜空を見上げ何度も琉ちゃろと赤ちゃんに謝った。
あたしの中で琉ちゃろは永遠に生き続けるよ…。
家に着くと部屋に幼稚園の頃からのくされ縁、騎士がいた。
「メロディー…大丈夫か?」
「騎士…ふぇぇ…ふぇぇーん(涙)」
騎士はあたしを優しく抱き締めた。