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たとえば、九曜千暁【五】
決闘当日の朝。
昨日は、緊張と不安から一睡もできなかった・・・。なんだか、昔のテストを思い出す。しかし、昔と違うことがあるとすれば、俺には、一握り程の自信もないということ。
花田豪は、準特選組だ。準特選組は、特選組ではないとは言え、相当な実力が無ければ、選ばれることはない。
つまり、花田豪は相当強い。
そして、魔法士同士の戦闘において、魔法は絶対の力を持つ。魔法の技量が勝敗を左右するといっても過言ではない。
(自身の魔法を補助する武器として、神器を用いることが多い。)
魔法を全く使えない状態では話にならないということである。
それこそ、大勢に醜態を晒すことになるに違いない。
それでも、逃げるわけにはいかない。
確かに、花田先輩の策略か成り行きで戦うことにはなった。
でも、
「いい加減、向き合わなきゃいけないだろ、俺。」
それは、まるで自分に言い聞かせるようだった。
そして、気合を入れるように自らの頬を叩き、青年は確かな足取りで決戦の会場へと向かった。