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かつての神童が再起する物語。  作者: 橋中不治木
0章~プロローグ~
4/11

たとえば、九曜千暁【四】

騒動後、生徒会による定例会が行われていた。

生徒会には学校の秩序を守り、学生の安全を確保することに努める義務が存在するため、定期的に話し合いが行われている。

生徒会役員は特選組でなければならないという決まりはないが、その性質上、必然的にほとんどの役員が特選組で組織されていた。


「まさか、こんなに早く、花田豪と例の九曜くんが決闘になるとはね。」

このように嘆く青年は、3年特選組の成宮鳴彦なるみやなるひこ、生徒会長である。

彼は話を続ける。

「で、どうかな。やつらの影はあった?」

これに答えるのは1年特選組の六瞳柊獅むどうしゅうし

「そうっすね・・はっきりとした確証は掴めなかったけど、あそこには匂いっつーか、魔術の痕跡があったっすね。」

六瞳柊獅は魔法の性質上、魔法に関する嗅覚が優れていた。

「私も、怪しいと思われるリストに載っている人物を多数確認しました・・・!」

また、それに呼応するように同じく1年特選組の凪咲汐織なぎさきしおりが続く。

「そーか、二人ともありがとう。これは例の団体が関わっていると見て間違いなさそうだね。」

「あの・・!それなら決闘を止めることはできないんですか?このままだと九曜君・・・」

心配そうに俯く少女。

「例の団体が何かをしたという証拠は無いし、それに花田豪と例の彼がぶつかるように仕向けていたとしてもそれはルール違反ではないからね。」

「そんな・・」

「悲しいけれど、それが通ってしまうのがこの学園だ。絶対的で非情なまでの実力主義。」

凪咲汐織とてバカではない。むしろ非常に優秀な彼女にはこれがどうにもならないことは十分に理解していたので、これ以上は黙って俯くしかなかった。

「勝てばいいだけだろ。」

六瞳柊獅は表情を変えずに言い放つ。

「そんなに不可能なわけじゃねーはずだろ」

無意識だろうか、九曜千暁を認めているような彼に、昔を思い出し凪咲汐織は微笑んだ。

それに気づいた彼は、「まあ負けたら終わりだ」とか、「99%負けるけどな!」などといった発言をしたが、悪戯な笑みをした汐織の「照れなくてもいいのに」というような発言によって幕引きを迎えた。


「もし負けても不当な処分にはならないように善処するつもりだよ、ね?さかきくん。」

「はい。学校の規律に従うまでです。」


生徒会での会議から数日。

花田豪陣営数人と九曜千暁陣営数人、生徒会数人が一同に会し来る決闘に向けて取り決めが成されていた。

「第一級魔法養成学園生徒会を代表して私、榊薙乃さかきなぎのが会談の見届け人を担当します。また、第一級魔法養成学園生徒会と榊の名に誓って中立を約束します。よろしくお願いします。」


榊薙乃。二年生徒会副会長で特選組。特選組の中でも相当な実力の持ち主であり、日本神道系魔法士における名家、さかき家の愛娘である。長い黒髪に凛といていて品行方正。

また、彼女の厳格な態度が会議に緊張感をもたらし・・・

「では来年度の部活における予算について・・?あれ?」

「榊先輩・・それ違う紙です!!」

慌てて凪咲汐織から小さな声で指摘が入る。

思っているより硬派な人ではないのかもしれない。その場にいた全員がそう思っていた。

みるみる内に顔が赤くなる彼女。

「そそそ、それでははははは・・」

「榊先輩、落ち着いて!深呼吸深呼吸!」

「いつもありがとう汐織ちゃん・・」

泣き目になっている彼女に凪咲汐織がときめいたことは本人にのみぞ知る。

「い、いえ!いつも助けられてばかりですから・・!」


そんなやりとりがあって数分、落ち着きを取り戻した榊薙乃によって今度こそ着実に話し合いが進められた。

「では、2年生花田豪、1年生九曜千暁の両名による決闘は一週間後。ルールは、殺傷性の高い魔法や明らかに殺意があると認められる行為は禁止するなど学園の規則に則って行います。両名、相違ありませんか。」

二人とも、了承の返事を告げる。

「次に負けた場合のペナルティーについてですが、皆さんご存じの通り、第一級魔法養成学園における決闘では、負けた際のペナルティーを設定することができます。もちろん、これに関しては、双方合意が得られるもので、法に準じたものでなければなりませんが・・」

花田豪が発言する

「そうだな~、無くてもいいんだけどそれだと燃えないからねー、僕の方からは一言、負けましたと認めるくらいでいいですよ。」

「え?そんなんいいんですか・・・?」

思わず素っ頓狂な声をあげる九曜。

彼だけでなく、同席していた星望華恋や山田、それに生徒会の面々まで驚きを顕にしていた。というのも九曜千暁に露骨に敵対の意を示していた花田ならば、学園の退学くらいのものを要求してくるだろうというのが彼らの大方の予想だったからだ。

花田が皆の驚いた顔ににやつきながら答える。いやにやついているのは平常からではあるのだが・・・

「構わないよ。みんな驚いているようだが、僕はこの九曜千暁という男に、かつて神童と呼ばれた男に、勝ちたいだけさ!ほら、よくあるだろ?見上げるしかできなかった男に勝ってみたいという男のロマンがさ!」

清々しいほどの笑顔だが、思わず華恋が声をあげる。

「だったら正々堂々戦いなさいよ!せめて千暁が魔法を使えるようになってから・・」

「それは果たして何時だい?彼がいつ魔法を使えるようになるんだ?それに僕は、過程はどうあれ勝ったという結果が欲しいのだよ。」

華恋がまたも突っかかろうとしたところを九曜によって制止される。

「先輩が思っていたより腐ってなくて安心しました。確かに先輩が言ってること、一理あると思います。ペナルティーはそれで構いません。」

「ほう、さすが九曜くん。」

「それでこちらからは、負けたら華恋に近づかないっていうのでお願いします。」

華恋はそんなんでいいのと抗議したが、花田の合意によってこれも可決された。


こうして、決闘への話し合いは平穏に終わりを迎えた・・・



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