夢②〜ロザノ〜
私が恐怖したのはセーザではない、セーザが消えてしまうことを恐れたのだ。
セーザは多分人として見られたいから人を遠ざける。私は道具として扱われたいから人を好く。私は何も出来ない故に所有者が必要で、セーザは何でも出来る故に孤立しているのだ。
「視覚情報を見ても真っ暗だから探しようが無いなぁ」
放っておけるわけもなく私はセーザを探して走る。もう遠くに行ってしまったのだろうか?そんなことが頭をよぎるが思考を読めばそれは無いということがわかる。
「私の足じゃ追いつけないことぐらい分かってるくせに」
《では身体能力の増強をしますか?》
…うん?どういうこと?
《前世の情報を元にセーザを上回る量の身体能力のコピーを作り現在の身体に情報をインプットし肉体に負荷が掛からない程度に調整すればいいだけの事です》
…いやいや、そんなこと
《情報を網羅している私にとっては容易いことです》
…マジかよ
《マジです》
そこは答えなくていいから。まぁ、うん、どうしようもないし?
一時的に能力の向上で
《了解しました。早速実行します》
と言われると一瞬足に力が無くなったがすぐに力が漲ってきた…速いなぁ、よく能力補正なくてこのスピード出せるなぁなんて思った。ともかくこれでセーザに追いつけるのだ。そう思い駆け出した