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1.異世界はトラックと共に

悪役主人公が頑張るお話です

不定期更新となりますがよろしくお願いします

「魔王様、みーつけた」

 俺は登校中、変なコスプレした女の子に声をかけられた。

「あ、どうも……」

 クレバーな俺は華麗にスルーし通り過ぎた。

 ちょっと頭がいっちゃってる人に関わらないようにするべきだ、自分の安全のために。


「えへへ、魔王様ぁ」

 女の子は無視されたにも関わらず付いてくる。

「ねえねえ魔王様まおーさまあ」

「あー急いでんで」最小限に拒否の意思を示す。

 

 どうやら執拗に絡んでくる系のメンヘラらしい。

 が、女の子はついてくる。

 めっちゃコスプレした格好で。

 よく見たら、羽織った布の下から白い肌が露出している。

 平日の昼間から露出コスプレ、これは色んな意味でレベルが高い。


「うぇひひ! 嬉しいなあやっと見つかったよう、ねえ魔王様、これからヴェルンガルドに――」少女が、何か自分の中にある電波的妄想シナリオを展開しようとしたところで俺に限界が来た。


「うっせーブス! 消えろや!」

 俺は叫んで走って逃げた。




 数時間後




「あーマジかよ、遠隔操作タイプのスタンドかよ、まだ追いかけて来てる、完全にロックオンされてるじゃん俺」

 家に帰ろうと、何気なく教室から外を見たところ、校門の前に今朝の女の子が居た。

 目が合った瞬間「やっほー! 魔王様ーー!」などと叫んでる。


「え、なにあいつ、マジやばくね? ツイッターにアップしよ」クラスメイトがスマホで写真を撮り始めた。

「でもさー顔可愛くね? 羨ましいわ、今日は宇田うたDTどうてい卒業記念日だな」

「ライン流しとくわ」


 あくゆうどもが他人事のように楽しんでる間に、俺は完璧で穴の無い緻密(ちみつ(きめ細かいという意味))に計算された逃走プランをっていた。

 裏から逃げよう。

「あれ? 宇田君ー、卒業しないの?」


 くだらん日常に起きたおもしろイベントではしゃぐ人々に俺は本音をぶちまけた。


「お前らに言っておくけど、リアルに知らない人に追いかけられるのって普通に怖いよ?」




「あれ、変だわ。なんか画像にあの娘写ってないんだけど」

 クラスメイトの言葉を尻目に、俺は教室を飛び出した。






「魔王様、お疲れさまん」


 速攻で見つかった。裏から出て行ったのにいつのまに正面校門から裏手に先回りしていたらしい。


「なんでだよ、何なんだよお前は」

「魔王様のいるとこなら、リアム、すぐわかるもーん」


 ストーカーコスプレ少女は体をくねらせ言う。

 顔は良い、だけど、シチュエーションが嫌すぎた。


「あの、すんません、ほんとすんません。勘弁して下さい」

 きちがいを刺激してはいけない。

 謝りながら逃げるのだ。





 ブロロロロロロロロロ!

 その時、暴走トラックが突っ込んできた。





「あぶねえ」とっさにストーカー少女を抱いて道の端に寄る。


「うふふ、優しいねえ魔王しゃまあ。もうリアム我慢できないよう」


 目を見張った、少女が衣服をはだけさせ、『見たい、揉みたい、吸い付きたい』のアレを見せてきたから。


「まじっすか?」

「マジですぅ」

「まじっすか?」もう一度聞いた。


 俺の灰色の脳細胞ごつごうしゅぎがフルスロットルで稼働する。

 そうか、この娘は俺のことが好きなんだな。

 そう、この娘に悪気はないんだ、ちょっと頭が悪くて顔が可愛いくて『俺の事』が好きなだけなんだ。


「参ったなあ、しょうがないよなあ」

「???」

「俺のこと、好きなん?」

「大好きー?」少女は俺に抱きついてくる。

 内心、ガッツポーズした。

 そして財布の中にアレが入ってないことに気がついた。





「イラッシャーセー」

 コンビニではやる気のない店員がおざなりに挨拶してた。


「リアムここ知ってるよ! この世界のおみせだよね!」

「リアム、ちょっとこれ買ってきてくれない?」

「わかったよ!」

 俺はリアム(俺の女)をレジへ行かせた。


「え、えーこちら一点で。。。」店員は、絶句していた。

「はやクしてください、リアムの魔王様またせてるからね、せかしてゴメンね!」


 極薄0.01ミリのパッケージを握り締めながらリアムは店員に叫んだ。

 俺は20歳までに達成したい事の一つ、『彼女にコ〇ドームを買わせる』クエストを達成した。





「うんとね、魔王様には――」

「うん

「そいでね、現世に転生しちゃったから魔王様を探すにはすっごく大変で――」

「あーそうなの、苦労をかけたねえ」

 俺は適当な返事をしながら計画を練っていた。

 自宅から正反対に進み、裏路地に入る。

 自宅はダメだ、流石にこいつに住所をばらしたくない。

 かと言ってホテルに行く金もない。

 隣のクラスのイケメンがカラオケ屋が良いと言ってたが流石に最初をカラオケ屋でというのは気がひける。


「えへへ、じゃあ魔王様、準備はいい?」

「え? な、ナニが?」

「二人でする儀式だよ? じゃあ、しよっか。リアム、魔王様とするの、待ちきれないの」

 少女はスルスルと衣服を脱ぎ始めた。


「まじっすか」

「魔王様はリアムとするの、お外じゃ嫌?」

 す、凄い、まさかいきなり野外でするのか!?

 ちょっとレベルが高すぎないか?

 条例とか大丈夫なのか? 少子化だし問題ないのか?

 しかし、最近の子は進んでるんだなぁ……。


「いや、全然ありよ、グッドよグッド、スパシーバ。ちょ、ちょっと待て! あれつけるから」

 テンパりまくってなかなかコンドームを開封できない。


「んちゅっ」

 !!??。

 いきなりキスされた。

 突然のことで対応できない。

 されるがままになる。

「んっんっ、ぷはぁ。本当はぁ、一杯体液交換した方がいいんだよね。でも、急いでるから」


「体液の交換って……」

 唇に残った感触と少女の甘い体臭にクラクラする。

「ねえ、もっとしたい?」

「う、うん」

「じゃあ、目を瞑って? 良いっていうまで開けないでね、ゼッタイだよ?」

 言われるがままに、目を瞑る。

 手を引かれ、そのままゆっくりと歩き出す。




 天国のお父さんお母さん、見ていますか?

 今日俺は大人の仲間入りをします。

 選挙権は無いけど大人になります。


 少し歩いて、そのまま立ち止まる、暫くしたところで我慢ならなくなった。

「な、なあ、どこまで行くんだ? もういいだろ?」

「んー、まだかなあ、まだ来ないの。アレが来ないと……」

「も、もう我慢できーん!」

「あ、目は開けないで、ゲートを開くには集中しないと――」

「うるせー! もったいぶるな、ええやろ? ええやろ!?」

「あ、きたよ」


 ブロロロロロロロロ!!


 トラックが猛スピードで突っ込んできた。

 気が付けば、俺達は道路のど真ん中に居た。


「ど、どういうこっちゃあ!?」

「えへへ、一緒にこ?」

「イクってそっちかよ、いいから離せよクソ女」

「リアムね、もう魔王様と離れたく無いの」

 女とは思えない万力のような力でオレを締め上げる、一ミリも動けない。

「う、あああ! は、離せええええ!」

 や、やばい、死ぬ、まじで死ぬ、あっ!



 ドンッ!!!!




 空中を、飛んでいた。

 正確には俺の頭だけ浮いていた。

 トラックとの正面衝突の威力は凄まじく、血と肉で出来た俺の身体をバラバラに粉砕しその運動エネルギーが俺の胴体から頭部を引きちぎり空中散歩を実現させたのだ。


 走馬灯のように、キチガイ馬鹿ストーカー女のおっぱいと舌の柔らかさを思い浮かんでくる。

「ちくしょう、どうせ殺されるならヤられる前にっとくべきだった」

 そう思いながら俺の意識は四散し、この世から俺の生命は途絶えた。


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