第7話 正体
大変大変大変お待たせしました大変に!
言い訳タイム↓
なかなか時間がなくて更新できず…
第7話 正体
ペラっとめくると姿を現したのは……。
バレストリは興味がなくなってしまったのかどうでもよいというような顔をして相変わらず壁に寄りかかっている。そして僕はというと飛び出したい気持ちを我慢しながらデュートの様子を伺っていた。
しばらくすると元からキラキラと光っていたデュートの周りからさらにキラキラが見えたような気がした。眩しくて目を開けていられないほどデュートは輝いていた。その様子に飽き飽きしたバレストリが気づいたのかぷっと吹き出しデュートの元へ駆けて行った。僕もバレストリの後ろを追いかけて行った。その時に勢い良く飛び出して行ってしまったためにずっと僕の袖をつかんでいたダーマンが前に倒れ込んでしまった。
「お、おい…!ルーカス!どこに……」
倒れた時の痛みのせいか急に一人取り残されてしまった恐怖のせいかダーマンの目には涙が浮かんでいた。今にも大声で泣き出してしまいそうなダーマンを僕は無視して姿を現したそれを撫で回している。この時ダーマンがどんな思いだったのか知る由もない。そしていつのまにか起きていたライルがそんなダーマンの手を取り、グイグイと引っ張った。恐怖のせいでうまく体が動かなかったダーマンはライルの意外な力強さに圧倒され、されるがまま僕たちの元へやってきた。僕たちのところへやってきても目をぎゅっと瞑り、震えているダーマンにバレストリが肩に手を当て声をかける。
「怖がらないで大丈夫だよ、ほらかわいいでしょ?」
バレストリがダーマンの顔の近くにそれを持ってくる。バレストリの優しい声に安心したのかダーマンがゆっくり目を開ける。
「い、犬…?」
ダーマンの視界に捉えたものがあまりにも予想外すぎて変な声を出して驚いている。さらに口から魂が抜けて行く様子が見えた。小さくて白い、まるでボールのようなものの正体は白いシーツを被った子犬だった。子犬といっても少し大きいので中型犬か大型犬かと思われる。すごく愛らしいつぶらな瞳でダーマンを見つめる子犬はダーマンを怖がらせていたことを知るはずもなく鼻をペロペロと舐めていた。その様子をデュートは頬を赤らめてニヤニヤとなんとも不細工な顔をして眺めていた。少し気持ち悪いほどに。
「よし、これで幽霊退治は終わったな。帰るぞ」
「待ってよ!ソフィアさんに報告とこの子の飼い主を探さないと」
気持ち悪い顔を手で隠すように口元を押さえて低い声で言うけども手で隠されている口元は口角上がりっぱなしで早く子犬と戯れたいのがバレバレだ。帰ろうと歩き出しているデュートをバレストリが必死に止める。まあ当たり前だよね。ソフィアさんに黙って帰るわけにもいかないしこの子犬も誰かが飼っているかもしれない。ただの野良犬だと思って連れて帰ってからでは遅いからな。僕も正直早く帰りたかったけどここはバレストリの言うことに賛成しよう。デュートがすごく不機嫌そうな顔をしている。いつも冷静なデュートが、かわいい子犬のせいで冷静ではなくなっている。僕はデュートが子犬のお陰で少々面倒くさくなっていることに子犬を少し怒りたくなってしまった。そんなことできるはずもなくため息しかでなかった。
気づけば辺りはもう明るくなってきている。朝早いためにまだ眠っているであろうソフィアさんの家に行くのは迷惑だということでここからすぐ近くの空き家で時間を潰すことになった。列車や馬車の移動で一睡もしていない、疲れ果てた僕たちは寝転んだ途端死んだように眠った。
あれからどれほど眠っただろうか。どこからか鐘の音が聞こえる。その音に僕の隣で眠っていたバレストリがむくっと起き上がった。僕は重たい瞼を無理やりあげてバレストリの姿を追った。バレストリはそのまま入り口に向かって歩いていた。どこか行くのかと思ったらドアを開けて外の様子を見ているようだった。
「おそらく教会の鐘だろうよ」
キョロキョロと外を見るバレストリに部屋の隅に座って寝ていたデュートが立ち上がり声をかけた。デュートの腕には先程保護した子犬が舌を出して耳をピクピクと動かしていた。僕もバレストリとデュートのところへ行って話に入りたかったけど旧知の友人である二人の大人の雰囲気に入れる気がしなかった。僕はそのまま寝たふりをしてやり過ごしていた。完全に目が覚醒してしまった僕はいくら目を閉じても寝れるわけがなく聞こえてくる二人の会話を盗み聞きした。微かに聞こえてくる二人の会話は何かに驚いているように思えた。
「みんなどこに向かっているんだろう」
「ラウリニアの奴らは毎朝決まって向かう場所があると聞いたことがあるが……」
デュートが言葉を詰まらせる。僕が思うに多分二人が見ているのはミエリドラで言う朝市に向かうように人々がどこかを目指しているというところだと思うけど、二人の驚き方からしてそれが異様な光景に見えたのかもしれない。その光景を見たいと僕の好奇心がうずいて飛び起きて二人の元へ駆けた。
目の前に広がったのはなんとも言えぬ光景だった。僕の顔は多分引きつっていたんだと思う。バレストリに大丈夫かと心配されるほどに。
その光景というのはまるで操られているかのように皆足並み揃えて一直線にどこかへと向かっているのだ。そして皆の顔が実に不気味だった。僕は何を見ているのか、なんだか気分が悪かった。気になるものは触ったり実際に見ないと気が済まない僕でも足ばかりに余計な力が入り動かなかった。平然として見えるデュートとバレストリが心なしか顔色がよくない。
「中に入ろう」
デュートが僕たちの顔を見て言った。きっとこれ以上これを見てはいけないと思ったのだろう。僕たちはデュートに従い中に入った。僕は今、僕たちがいる場所、この空き家のドアを開ければ全く違う世界だったというような感覚に襲われていた。僕たちはラウリニアに来ていて、ソフィアさんの頼みを解決したんだ。ただそれだけ、それだけなのに不思議なことが多く起こっている。先程のを見るとどうにも気味の悪い。ここにずっといてはいけないような気がしてならない。できれば早く帰ってしまいたかった。デュートとバレストリは先程のことなど何もなかったような顔をしている。気にしたら負けということなのだろうか。僕もそんな二人を見習って忘れようと目を閉じた。
To be next scene...
すみませんでした。