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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
オーガの里編
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第九十話・元凶、現れる



魔導師デビッドは祠に祀られている伝説の神器をとうとう見つけてしまった。

俺とグレン、クロスは神器を守るため、デビッドに戦いを挑む。


「はぁぁぁぁ !」


グレンが片手を振り上げ、勢いに任せ、デビッドに斬りかかる。

だがデビッドは微動だにしなかった。


「何…… !?」


デビッドの周りにバリアーが張られていた。

グレンの攻撃はバリアーによって衝撃を全て吸収されてしまった。


「若いなぁ小僧……がむしゃらに突っ走るだけでは私に触れることすら出来んぞ」

「くそっ !」


グレンは悔しそうにしながら一旦デビッドから距離を取った。


「うおおおおおお !」


クロスは小型のカラスになった状態でデビッド目掛けて突っ込んだ。

鋭い嘴で串刺しにする気だ。


「甘いわ !」


だがデビッドは杖を大きく振るとクロスを叩き落とした。

クロスは地面を滑るように落ちていった。


「クロス !くそ、俺に任せろ !」


俺は自らの腕を引っ掻き、血の剣、赤剣(レッドナイフ)を生成し、デビッドに斬りかかった。

デビッドは長い杖で応戦する。

激しいぶつかり合い、互いの力が拮抗し、火花を散らす。


「あの小僧よりは太刀筋が良いな」


だがデビッドは本気を出してるようには見えず、余裕綽々だった。

デビッドは魔法が得意なだけでなく、杖を使った剣術も長けており、敵なしだった。


「はぁっ !」


デビッドは素早く杖を振り下ろし、俺の手から短剣を叩き落とした。


「くっ…… !」

「どうした、打つ手なしか ?」


この男……強い…… !

底知れない実力を秘めている…… !

俺もガギやロウ、ヒュウやラゴンと様々な強敵と渡り合って来たが、あいつらとはまるで次元が違う……。


「大人しくしていろ、そうすれば痛い目に遭わずにすむ」


デビッドは杖を掲げると魔方陣を召喚した。


「まずい……何か来るぞ…… !」


デビッドは力を溜めていた。

何か大技を放とうとしている……。

大気がうねり、地面が揺らいでいた。


ピュンッ


その時、デビッドに向かって短剣が投げ付けられた。

デビッドはそれを杖で弾いたが、そのせいで魔方陣が消えてしまった。


「そこまでだよ !」


どうやらブラゴ達が駆け付けたようだ。


「アンタ達、怪我はないかい ?」

「俺は大丈夫だ、グレンも無事だ……」


ブラゴはグレンや俺の無事を知り、ホッとしていた。


「クロス…… !」


コロナは倒れているクロスに気が付き、急いで抱き抱えた。


「クロス……大丈夫 ?」

「ああ……面目ないな……」


形勢逆転……と言いたい所だがデビッドはまだまだ実力を隠している。

数の暴力で何とかなる程甘くはない……。


「デビッドと言ったな……貴様の好きにはさせんぞ !」


エルサは剣の先端をデビッドに向けた。

デビッドはニヤリと笑うと空中に高く浮いた。


「待て、逃げるのか !?」


エルサはデビッドに向かって吠えた。


「良い運動になったよ、久しぶりに体を動かせた……だが任務はまだ終わっておらんからな……さっさと片付けんと……」


そう言うとデビッドは懐から1枚のカードを取り出した。


「こいつは、魔獣の中でも上位に位置する最凶の存在……この力で、幾多の村や里を火の海にしてきた……お前達もそうなる……はっ !」


デビッドは勢い良くカードを地面に向かってブーメランのように投げ付けた。

カードは大地に突き刺さった。


ゴゴゴゴゴ


カードが大地に突き刺さった瞬間、地響きが鳴った。


「な、何が起こるんだ…… !」


全員は警戒し、その場から一歩も動かず身構えた。


カードが刺さった位置から徐々にヒビが割れ、地割れのように広がっていった。


「貴様、何をした !」

「まあ見ておれ」


やがて地面を突き破るように、巨大な魔獣がその頭部を露にした。


「魔獣 !?」


50メートル程の体を持つ魔獣は硬い甲羅に覆われ、四足歩行で大地を闊歩し、棍棒のように重厚な尻尾を振り、オーガ達の家を次々となぎ倒していった。


悲鳴を上げ、突然現れた魔獣の脅威に怯え、逃げ惑うオーガ族の人々。

戦士達が迎撃に向かうが、圧倒的な装甲の前に歯が立たない。


「お前達がいくら束になろうとも、あの魔獣を止められまい」


デビッドは不敵に笑うと高みの見物を決め込んだ。


「たく、まずはあの亀野郎を倒すのが先みたいだな……グレン、お前は神器を守っていろ !皆、行くぞ !」


俺はグレンに指示をし、他の連中に呼び掛けた。


「わ、わかりました !行きましょう、エルサさ……エルサさん ?」


ワカバはエルサの横顔を見上げた。

何やら様子がおかしい。

魔獣の姿を見て、固まっていた。


「そ、そんな……まさか……あいつは……」


そうこうしてる間にも、オーガ達の家が崩壊してしまっている。


「ワカバ !何やってんだ、さっさと行くぞ !」

「あたしらの里を好き勝手させるわけにはいかないよ !」


俺、ブラゴ、コロナは急いで魔獣の元へ向かった。

ワカバはエルサの事を気にかけながらも俺達の後を追った。


「貴様……あの魔獣は……」


皆魔獣を倒しに向かった後、エルサは呆然と立ち尽くしていた。

震えながらデビッドに問いかけた。


「十数年前のあの日も……確かあの魔獣を使って、一つの村を滅ぼしたことがあるな……確か、エルフの村……だったかな ?」


エルサは目を見開き、戦慄した。

今目の前で里を蹂躙している怪物こそが、かつて彼女の村を襲い、彼女の家族を奪った魔獣だったのだ。


To Be Continued

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