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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
オーガの里編
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第八十六話・グレンとマルク



魔王軍の幹部、デビッドが襲来するより数十分前……。


「はっ !やあっ !」


オーガ族の戦士見習いの少年、グレンは家を飛び出した後、外で修行をしていた。

木刀を握り、力任せに空を切っていた。


「よお坊主、肩に力入りすぎだぜ」


俺はひょこっと顔を出し、グレンに声をかけた。

グレンは驚き、飛び上がった。


「うわっ !……てアンタは半魚人(マーマン)の……」

「俺の名前はマルクだ、宜しくな坊主」


俺は手を差し出した。


「坊主じゃない、俺はグレンだ」


グレンは無愛想に返事をした。


「……姉ちゃんに頼まれたんだろ ?俺に説教してくれって……修行の邪魔だからどっか行っててくれよ」


グレンは不機嫌そうにそっぽを向いた。


「おいおい、そんな冷たいこと言うなよ、俺はお前と友達になりたいんだ」


そう言うと俺は袋から生魚を取り出すとグレンに差し出した。


「休憩しようぜ、体を休めるのも修行のうちだろ ?」


俺はニッコリ笑顔を見せた。

グレンは丁度お腹を空かせており、渋々俺に従った。


俺とグレンはそこら辺に腰を下ろすと二匹の魚を季の棒で突き刺し、火で焼いた。


「うんめぇ !やっぱ焼き魚は最高だぜ~ !」

「なぁ……怒ってねえのか ?」


グレンは俺にたずねてきた。


「何が ?」

「俺が生意気言って、姉ちゃんや他の皆に酷いこと言ったの……」

「俺は別に怒ってないぜ、ただ、昔の俺に似てるなぁって思っただけだ」

「俺が昔のアンタに…… ?」


俺はグレンに自分の過去について話した。


俺には強く、優しく、村の皆から頼りにされていた自慢の兄貴がいたこと……。

その兄がある日村からいなくなったこと……。

兄の代わりになるため、村を守るため、独りで何もかも背負い込んだこと……。

限界を迎えた時、仲間が手を差し伸べてくれたこと……。


「だからさ、お前の気持ち、何となく分かるんだ、お前も大切なものを守りたくて、強くなろうと必死になってるんだろ」


俺はグレンの肩をポンと叩いた。


「…………」


俺の過去を聞いて、グレンの中に僅かながら変化が起こった。


「……母ちゃんが俺を産んですぐ死んじゃって……姉ちゃんが俺を育ててくれた……何もかも犠牲にして……だから俺は強くなって、一人前の戦士になって、姉ちゃんを安心させたいんだ……」


グレンは胸の内を吐露した。


「強くなりたい……その気持ちは分かるぜ、でも焦りすぎちゃいえねえよ、周りが見えなくなって、いつか取り返しのつかねえことになっちまう」


俺はグレンに笑いかけた。


「ゆっくりで良い、少しずつ確実に成長していこうぜ」

「うん……」


グレンは僅かだが俺に心を開いたようだ。


ドゴオオオン


その時、謎の爆発音が聞こえた。


「何だぁ !?」


俺は魚の刺さった棒を捨てると戦闘の構えをとった。


「あいつら…… !また俺達の里を襲う気だ !」


グレンは殺気を纏うと短剣を手に飛び出そうとした。


「待てグレン !」


俺はグレンを呼び止めた。


「何で止めるんだよ !」

「向こうにはオーガの連中や俺の仲間がいる、慌てる必要はねえ」

「んなこと言ってる場合かよ !皆が危険なんだ !」


グレンはそのまま爆発のあった場所に向かって行ってしまった。


「おい !……やれやれ、これが若さってやつか……」


俺は呆れつつ、グレンを追いかけた。




一方、里の混乱に乗じてレヴィ達「悪魔三銃士(メフィラストリニティ)」は伝説の神器を探し回っていた。


「意外と広いですわここ……」

「里ですからね……それにしても、オーガに見つかったらと思うと、心臓に悪いですよ……」


ライナーは辺りを警戒してオロオロしていた。


「元々貴方死んでるんじゃありませんの」

「しっ !誰か来るゾ」


サイゴは何かに気づいたようだ。


「ヤバい、きっとオーガですよ !早く隠れないと !」

「でも隠れるところなんてありませんわよ !?」


3人はアタフタしていると、1人の少年、グレンが剣を携えてやって来た。


「こ、子供 ?」


3人はグレンの姿を見てポカーンとした。

グレンは警戒し、戦闘の構えをとった。


「お前達だな !俺達の里に攻撃したのは !」


グレンは3人をキッと睨んだ。


「え ?いやさっきの爆発は俺らじゃなくて……」

「どっちも似たようなものですわ !」


レヴィはライナーの弁明を遮った。


「いかにも、私達は魔王軍、「悪魔三銃士(メフィラストリニティ)」ですわ !あなた方の持つ伝説の神器とやらを頂きに参りましたの !」


レヴィはドヤ顔で宣言した。


「ちょっと、レヴィさん !まずいですよ !」

「オーガ族とは戦わないはずだゾ !」

「うるさいですわ !相手は子供ですのよ ?負けるはずがありませんわ !」


レヴィは慌てる二人を諌めた。


「子供って……アンタも子供じゃねえかよ」

「私は子供じゃありませんわ !こう見えて貴方の何十倍も生きていますの !」


レヴィはグレンに指摘され、逆上した。

ライナーがまあまあと落ち着かせる。


「兎に角、悪い魔族は俺が倒す !」


グレンは剣をレヴィ達に向けた。


「貴方のようなお子ちゃまに私達が倒せるとお思いですの ?ホホホホ、傑作ですわ !」


レヴィは馬鹿にするように高笑いした。


「こうなったら貴方を倒して、伝説の神器の在処を聞き出して見せますわ !」

「はぁ……結局こうなるんですか……」

「3対1は好きじゃないゾ……」


レヴィ、ライナー、サイゴはグレンに対し、戦闘体勢に入った。


果たしてグレンはこの3人を倒すことが出来るのか……。


To Be Continued

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