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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
オーガの里編
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第八十三話・狙われた里



私達はエルサの故郷、オーガの里を目指した。

オーガ族と言えば角を生やしている凶暴な戦闘種族ってイメージが強いので、少し不安だった。

でもエルサは皆優しい人達だって言ってるし、大丈夫かな……。


それにしても……分かっていたけど、オーガの里はやっぱり遠い……。

足が棒のようだ……。


「ワカバ、大丈夫か ?」

「は、はい……ちょっと疲れただけですから……」

「もう少しの辛抱だ、耐えてくれ」


エルサは私の肩をポンと叩いた。

あれだけの長距離を歩いても、エルサは汗を一滴も流していなかった。

相変わらず化け物級の体力だ……。


「主、私ばかり楽をしてしまって、申し訳ないです……」


リトはランプの中で申し訳なさそうにしていた。


「リトは全然悪くないですよ」


こんな時に車とか自転車とかがあったらなぁと思いながら、私達はひたすら歩き続けた。




一方、オーガの里では異変が起きていた。

里の外でオーガ達は必死に無数の魔物達と戦っていた。


「こいつら、次から次へと……キリがねえ !」


オーガ達は手をこまねいている様子だった。


「泣き言を言うんじゃないよ !里には一歩も近づけさせないからね!」


筋肉質で長身で長く立派にのびた一本角を持つ女性のオーガが仲間を鼓舞した。

彼女の名前はブラゴ。オーガの里を守る戦士長だ。


「こんな雑魚共、あたしの敵じゃないよ !」


ブラゴは豪快に自身の身長を越える大剣を振り回した。

魔物達はなぎ払われ、塵のように舞うと空へ消えていった。


「すげえ、流石戦士長…… !」


他のオーガ達はブラゴに圧倒されていた。


「うおおおおお !俺だってぇぇぇぇ !」


そこへ、1人の少年が片手に武器を持ち、走ってきた。

少年は小柄で二本の小さい角を額に生やしていた。


「おい坊主 !危ねえから引っ込んでろ !」

「うるさい !俺だってオーガの戦士なんだ !」


大人の制止を聞かず、少年は魔物に向かっていった。

少年の名前はグレン。オーガの里の戦士見習いである。


「魔物共 !俺が相手だ !」


グレンは片手剣を振り上げ、狼型の魔物を切りつけた。

魔物の体が切り裂かれ、血が吹き出た。


「グレン、里の中でじっとしてろって言わなかったかい ?」

「じっとしてられるわけねえだろ、姉貴 !俺だって戦士なんだ !」


ブラゴにたしなめられても、グレンは聞く耳を持たなかった。


「まだ見習いじゃないか……まあいい、帰ったら説教だよ !」


ブラゴは軽口を叩きながらスライムを真っ二つに切り裂き、消滅させた。

ブラゴとグレンは歳の離れた姉弟である。

生意気な弟にブラゴは手を焼いていた。


「うわぁぁぁぁぁ !」


突然オーガの戦士の悲鳴が聞こえた。

ブラゴ達が振り返ると、そこには二人のオーガの首を締め付け、持ち上げている巨大な魔物の姿があった。

黒い毛皮に覆われた魔物は熊の姿に酷似していた。


「あいつから感じる魔力……ただの魔物じゃないよ、あいつは魔獣だ !」


ブラゴは警戒心を強めた。だが、


「あの野郎、俺が倒してやる !」


相手の魔力を読めない未熟な少年は無鉄砲にも魔獣に突っ込んでいった。


「馬鹿 !よせ !」

「うおおおおおおお !」


グレンは魔獣に向かって剣を振り上げ、切りつけようとした。

だが魔獣は巨大な爪で剣をあっさり弾いた。

剣は地面を転がった。


「ひっ……」


グレンは一変して恐怖から尻をついてしまった。

魔獣はオーガの戦士を放すと無防備のグレンに目をつけ、ゆっくりと近づいた。


「グレン !」


魔獣は涎を垂らし、腕を大きく振り上げ、爪で引き裂こうとした。

もう駄目だ…… !そう思った瞬間、


ズバッ !


背後から何かが斬れる音がした。

魔獣の胴体は一撃で真っ二つに切り落とされ、地面に転がった。


「大丈夫か、少年」


魔獣の背後にはエルサの姿があった。

エルサはグレンに手を差し出した。

グレンはポカーンとしていた。


「エルサ !」


ブラゴは驚いている様子だった。


「久しぶり、ブラゴ義母さん」


エルサはニコッと微笑んだ。


「あたしはまだ母さんって歳じゃないよ」


ブラゴも微笑み返し、エルサとグレンの元に駆け寄った。


「元気にしてたかい、エルサ」

「ああ、お陰さまで」


エルサとブラゴは互いに抱き合った。

グレンは何が起きたのか分からずにいた。


「おっと、感動の再会は後だ、今は魔物退治で忙しくてね」

「それなら大丈夫だ、心配ない」


エルサは魔物のいる方向に視線を送った。


「はぁっ !」

「オラァッ !」

「でりゃあっ !」

旋風(ウィンドー)(ダンス) !」

空斬(エアスラッシュ) !」


私、ヴェルザード、マルク、コロナ、クロスが残った魔物達を殲滅した。

その様子を見て、ブラゴは開いた口が塞がらなかった。


「紹介するよ、私の仲間達だ」


エルサはニコッと笑った。


To Be Continued

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