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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
vs竜族編
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第七十七話・一方的な蹂躙



「ウオオオオオオオオオ !!!」


外見が竜そのものになり、本気になったラゴンは加速し、白く輝く鋭利な爪でリトを切り裂いた。

だが、リトは全く効いていなかった。


「なめんなぁぁぁぁ !オラオラオラァ !」


ラゴンは汗を撒き散らしながら必死で何度も引っ掻き、攻撃を浴びせ続けた。


「はぁ……はぁ……マジかよ……」


あれだけの連撃を浴びせてもリトの体にはかすり傷一つついていなかった。

寧ろラゴンの爪がボロボロになっていた。


「流石魔人……想像以上だぜ……」


ラゴンはまだ余裕があるのか、笑みを浮かべた。

圧倒的な力を前にしても、ラゴンはなおも闘志を燃やし続けた。


「俺には意地がある…… !俺にはかつて古の時代を生き抜いたドラゴンの血が流れている……ここで負けるわけにはいかねえんだ !」


ラゴンは翼を大きく広げ、羽ばたかせると空の高みへと飛び立った。

リトは大空を見上げると大きくジャンプし、ラゴンの後を追いかけた。




「うっ……私は……一体……」


メリッサが倒されたことでエルサは石化から解放された。

エルサは辺りを見回し、状況を確認していた。


「ワカバ…… !」


エルサは倒れている私や仲間達に気づき、駆け寄った。

ミライ、コロナが応急処置をしたおかげで私とヴェルザードは一命をとりとめた。


「エルサさん……」


エルサは私の手を取り、優しく握った。


「すまない……私が石になってる間にこんな……」


エルサは悔しさから目に涙を滲ませていた。


「私こそ……皆の足を引っ張ってばっかりで……ごめんなさい……」


私もエルサの悲しそうな顔を見て、涙がこぼれた……。


「そうだ……上を見て !」


ミライは空を指指した。

空の上でリトとラゴンが空中戦を繰り広げていた。


「あれは……リト……なのか…… ?」

「何か真っ黒になっちゃったみたい~」


エルサは一目で異変に気がついた。


「戦い方も……乱暴で……とても怖かったです……」


コロナはうつ向きながら言った。


「恐らく……怒りが暴走したんだろう……」


片腕をおさえながら、クロスが駆け寄った。


「クロス…… !」

「ワカバ……お前のランプは石にされていたな……中のリトも石化していた……だがお前を傷つけられた怒りで魔力が暴走し、無理矢理石化が解かれた……と言うことか……」


クロスは上を見上げた。


「だとすればまずいぞ……石化を自力で解くには相当の魔力が無いと不可能だ……もしかするとあいつの中に眠っていた闇の力が覚醒したのかもしれない……」


闇の力……まさか……。私は信じられずにいた……。調子に乗りやすいけど、感情豊かで優しいリトが……そんな……。

でももしそれが本当なら、敵だけじゃなくて、私達にも危害を加えるかもしれない……。




「うおおおらぁぁぁぁぁ !」


ラゴンは勢いよく腕を振り上げ、リトの肩にチョップをした。


バァンッ !


鈍い音が響き渡ったがリトは眉一つ動かさなかった。

リトは拳を握るとラゴンの鱗に守られた腹筋にパンチをめり込ませた。


「ぐほぁっ !」


ラゴンは重い一撃を叩き込まれ、口から涎を吐きかけた。


「ば……馬鹿な……」


怯むラゴンに、リトは容赦なく次の一手を加える。

リトは長い脚を振り回し、ラゴンを蹴り飛ばした。


「ぐはぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


ラゴンは吹っ飛ばされながらも翼を羽ばたかせ、体勢を整えた。


「本気になった俺が……ここまで押されるなんてな……だが、竜の力はこんなもんじゃねえぜぇぇぇぇぇぇ !」


ラゴンは加速し、リトに向かっていった。


竜人尾剣(ドラコテイルソード) !」


ラゴンは大きく丸太のように太い尻尾を振り上げ、リトに喰らわせようとした。


だがリトはそれを片手で掴み、受け止めた。


「うおっ !」


リトは強くラゴンの尻尾を強く握りしめた。

ラゴンは痛がり、悲鳴を上げた。

リトは指先に力を込めると人差し指を降り下ろし、ラゴンの尻尾を切断した。


「うがぁぁぁぁぁ !」


尻尾の断面から、血が吹き出た。


「おのれぇぇぇ……この痛み、100倍にしてやるぜぇ !!!」


ラゴンは空高く上昇し、リトを見下ろした。


「喰らえ !!!竜人獄炎(ドラコブレイズ) !!!」


ラゴンは口を大きく開けるとリトに向けて灼熱の炎を浴びせた。

リトは大きく両腕を広げ、ラゴンの炎を真正面から受け止めた。


「どうだ !俺のフルパワーの炎は !これが竜族の力だぁ !」


炎を吐き終え、勝ち誇るラゴン。

だが、すぐに青ざめることとなる。


「なっ…… !」


ラゴンは知らなかった。リトに炎は効かないことを。炎はリトにとって栄養であり、吸収してエネルギーにしてしまうことも。

闇の力で暴走していても、それは変わらない。


「ま……魔人……」


渾身の一撃すら通用せず、ラゴンは震え上がっていた。


「うおおおおおおおおおお !!!」


リトは力を込めると、突然獣のようなドスのきいた雄叫びを上げた。

するとリトの全身から黒い邪悪なオーラが発生した。


「ああっ…… !」


黒色放射(ブラックオーラ)だ。リトはとてつもない巨大なオーラを身体中から放出し、ラゴンを威圧した。

ラゴンは恐怖で動けなくなった。


リトは人差し指をラゴンに向けた。


「なっ……何をする気だ……」


リトの指先から赤黒い熱線が一直線に放たれた。

指撃高熱線(フィンガーハイフィーバー)だ。

熱線はラゴンに直撃し、燃え盛った。


「ぐおおおおおおおおああああ !!!」


全身を黒い炎に焼かれ、ラゴンは絶叫した。

リトは加速してラゴンの背後に回り込み、両腕を組むとラゴンの頭を殴り付けた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ !!!」


ラゴンは隕石のように勢いよく地上へ落ちていった。


「うおおおおおおおおおおお !!!」


落ちていくラゴンを見届けると、リトは勝ち誇ったように雄叫びを上げた。

そして、すぐさまラゴンの後を追いかけた。




「いてて……体が……熱い……」


ラゴンはリトに叩き落とされ、地面に落ちた。

ヴェルザードを這いつくばらせたように、ラゴンもまた地べたを這いつくばっていた。


「俺が……竜族最強の男であるこの俺が……こんな……無様な……」


全身に火傷を負い、ラゴンは満身創痍になりながら手を伸ばした。


「俺は……負けられねえ……人間共を倒し……竜族が……かつての……栄光を……取り戻すまでは……」


ラゴンは立ち上がろうとするが、脚や腕の骨が折れ、立つことすらままならなかった。


「……!」


ラゴンに戦慄が走った。

彼のそばに、邪悪な魔人……リトが立っていたからだ。

リトはまだまだ暴れ足りない様子だった。

ニヤリと笑みを浮かべると、動けないラゴンの翼に手を伸ばした。


「ま……まさか……や……やめろ……やめてくれ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!!」


To Be Continued

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