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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
vs竜族編
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第七一話・私を信じて



「一人じゃ何も出来ない弱者の集まりなんて、あたしの敵じゃないのよ !」


ララは尻尾を地面に叩きつけ、牽制を仕掛けた。

叩きつけた衝撃で地面が抉れた。


「こいつ、さっきよりパワーが増してるぞ…… !」


クロスは深く抉られた地面を見てゾッとした。


「あんなの喰らったらひとたまりもないよ~ !」

「ミライお姉ちゃんの血を吸ったから……その分パワーアップしてるんだと思う……」


ララは高笑いをしながら地面を這い、三人に迫る。


「見てますか姐さん !あたしの活躍を !」


高揚しながらララは大きく尻尾を振り回した。

凄まじい威力の風圧が三人を押し潰そうとする。


「わわっ !」


ミライは咄嗟に翼を広げ、空に逃げた。

クロスもコロナを抱え、猛スピードでララから距離を取った。


「不味いな……あの女、高い魔力を持つ種族から血を奪い、自分のものにしている……」

「どうしよう……」


獲物を追い詰めるようにジリジリと近づくララ……。


「あのカラスの坊やも悪くないけど……魔女のお嬢ちゃん、瑞々しい青い果実のようで美味しそうね~まとめて丸呑みにして食べてあげるわ」


ララはニヤリと笑い、舌なめずりをした。


「ひいっ……」

「落ち着けコロナ !」


怯えるコロナをクロスは諌めた。


「このまま戦いが長引くのは危険だな……何とか一撃で終わらせたいが……」

「そうだ~良いこと思い付いた~ !」


ミライが何かを閃き、地面に降り立った。


「あのね~二人にも手伝ってほしいことがあるんだけど~ゴニョゴニョ~」


ミライは小声で二人に耳打ちした。


「何だと !?本気で言ってるのか !?」

「ミライお姉ちゃん……大丈夫なの…… ?」

「大丈夫だって~前に一回やったことあるし~」


心配する二人をよそに、ミライは自信満々に胸を張った。


「ミライお姉ちゃん……無理はしないでね……」


コロナは不安そうにミライを見つめた。


「大丈夫だって~お姉ちゃんを信じててね~」


ミライはコロナを優しくハグした。


「あら~作戦会議かしら~ ?今更足掻いても遅いわよ~」

「どうかな~じゃあ二人とも、行くよ~ !」


ミライは翼を羽ばたかせ、空を飛んだ。


「ふん、何をしたって無駄なのにねぇ !」


爪を立てながら猛獣のように襲いかかるララ。


水流(アクア)(リング) !」

(シャドー)(ハンド) !」


地面を這う無数の黒い影の手と水の渦がララの体を縛り、拘束する。


「何よこれ !離しなさい !」


ララは引きちぎろうと抵抗した。


「コロナ、もっと魔力を上げろ !」

「うん !」


コロナとクロスは力を込め、魔力を引き上げた。

拘束する力はますます強くなる。


「アンタ達……こんなことしてただですむと思ってるの…… !」


ララは顔が真っ赤になりながら影と水の拘束を力ずくで引きちぎろうともがいた。


「隙あり~ !」


ミライは背後からララの両肩を脚で鷲掴み、そのまま持ち上げた。


「きゃっ !ちょっと !何すんのよ鳥女 !」

「空の旅ご案内~ ♪」


ララは翼を大きく広げ、ララを連れ去り、飛び立ってしまった。


「あんな重そうなラミアを軽々持ち上げるなんて……なんて脚力なんだ……」

「うん……」


コロナとクロスは呆気に取られていた。




ミライはララを掴んだまま空高く上昇した。

地上から、人が砂粒の大きさにしか見えなくなる程まで離れた。


「ちょっ !このあたしを持ち上げてこんな上空まで飛ぶなんて……なに考えてんのよ !」

「えへへ~まあ見ててよ~」


ミライはある程度まで飛ぶと空中で止まった。

そして隕石が落下するように急降下した。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ !」


ララは体験したことのない恐怖から鼻水を垂らしながら絶叫した。


「ちょっと痛いだろうけど我慢してね~」

「ちょっとで済むかぁぁぁぁぁ !」


物凄い勢いで地上へ向かうミライ。


「そろそろかな~、隕石投撃(メテオストライク)~ !」


加速が最大に達した所でミライはララを放り投げた。

ララは隕石のように一直線で落下していく。


「ぎゃあああああああ !!!」


ララは涙目で絶叫した。


「くぅ、竜族の四天王と謳われたあたしがこんな無様な敗北をするなんて……!姐さんに顔向け出来ないじゃない…… !ただでは死なないわよ !」


ララは最後の力を振り絞り重力に逆らうと尻尾をゴムのように伸ばし、ミライを捕まえた。


「わわっ !」

「アンタも道連れよ !共に落ちなさい !」

「やだ~離してよ~ !」


ララの尻尾がミライの全身絡みつき、二人は空中で取っ組み合った。


「離してってば~ !」

「抵抗しても無駄よ !」


ミライとララは絡み合ったまま落ちていった。




コロナとクロスはミライを案じながら空を見上げていた。


「ミライお姉ちゃん……大丈夫かな……」

「普段は能天気だからな……だがあいつは大丈夫だろう……ミライはお前を信じると言ったんだろ、だったらお前もミライを信じろ」


心配するコロナをクロスは優しく励ました。


ズドオオオオオン !!!


突然凄まじいスピードで物体が落下した。土砂が舞い、衝撃音が響き渡った。


「きゃっ !」

「下がってろ、コロナ !」


クロスは警戒し、コロナを庇った。


「ミライ……なのか…… ?」


クロスは恐る恐る落下した方へ近づいた。

すると、目を回してのびているララとその上に乗っかっているミライを発見した。


「えへへ~勝ったよ~……」


ララがクッションになり、何とか九死に一生を得たようだった。

だがそれでも無傷というわけにはいかず、片腕を骨折していた。


「いてて~……」

「ミライお姉ちゃん !」


コロナは倒れてるミライの元に駆け寄った。


「ミライお姉ちゃん……今治すね……(ヒーリング)しの(ドロップ)……」


コロナはミライを抱き抱えると杖から雫を垂らし、ボロボロになったミライの口に注いだ。


「ありがとうね~……コロナちゃん~……」

「私……信じてたよ、ミライお姉ちゃんの勝利を……」


コロナはニコッと微笑んだ。

ミライもコロナの笑顔を見て微笑み返した。


「姉妹愛……良いものよね……」


地面に叩きつけられ、倒れていたララが空を見上げながら小声で呟いた。


「でも同じ姉妹愛なら……あたしと姐さんだって負けちゃいないわよ……姐さんは強いわ

……アンタ達よりずっとね……」


ララは虚ろな目で戦いの真っ只中にあるメリッサの方を見た。


「大丈夫だよ……私達は勝つ……」


コロナは拳を強く握った。


To Be Continued

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