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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
vs竜族編
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第六十七話・善戦



採掘場にて、竜族達との戦いが始まった。




「うおおおお !」「てめえら竜族の力はこんなもんかぁ !」


ヴェルザードとマルクは拳で数人の竜族を殴り倒した。

二人の拳の威力は凄まじく、竜族達は頬を殴られ、次々に吹っ飛ばされた。


「何だこいつ、強いぞ !」

「こいつら、吸血鬼(ヴァンパイア)半魚人(マーマン)だ !」

「魔族のくせに人間の味方なんかしやがって、この裏切り者がぁ !」


竜族達は次々に狼狽え、ある者は背を向け、ある者は罵倒した。


「別に人間の味方になったつもりはねえよ、俺はワカバの味方をしているだけだ !」

「俺はこいつらと居た方がもっと強くなれるからなぁ !」


ドガッ バゴッ


ヴェルザードとマルクは容赦なく竜族の顔面にパンチをめり込ませた。

竜族達はなすすべなく地面に転がった。


「俺の方が一人多いぜ」

「はぁ !?俺の方が倒してるし !」


戦いの最中でも構わずにいがみ合う二人。

もはや竜族など相手にすらならない。




「こいつら……桁違い過ぎる…… !」

「そうだ、あの女共を狙えー !」


竜族の一人がミライとコロナを指差した。


「女子供でも手加減はしねえぜぇぇぇ !」


竜族達はミライとコロナに狙いを定め、襲い掛かった。


「わ~ !いっぱいいる~ !」

「コロナ、来るぞ !」

「う、うん !」


ミライは慌てながら翼を広げ、コロナはクロスに従い、杖を構えた。


「私達も行くぞ~」


ミライは低空飛行で竜族達に向かって翔んでいった。


「馬鹿な女だ !正面から行って勝てるわけねえだろ !」


竜族の一人は腕を振り上げた。


「ミライさん、危ない !」


堅固(ソリッド)山猫(キャッツ)の一人が気付き、叫んだ。


「どうかな~」


ミライの翼は徐々に銀色に染まっていく。

やがて翼は鋼鉄のように硬く硬化した。


(シルバー)(ウイング) ~!」


ミライの翼が一直線に空を切り、竜族達を両断した。竜族の持つ硬い鱗すら切り裂いて……。


「なん……だとぉ…… !」


数人の竜族は鱗が飛び散り、血を吹き出し、倒れた。


「ひっ……ハーピーって……こんなに強かったのか…… ?」

「きっと…… 突然変異種なんだよ、あのガキを狙えー !」




まだ残ってる竜族はコロナに狙いをつけた。


「愚かな……コロナをただの子供だと侮っているようだな」

「任せて……」


コロナは杖を上に掲げ、地面をつついた。


旋風(ウィンドー)(ダンス) !」


旋風が複数現れ、数人の竜族を取り囲んだ。

風の包囲網が彼らの逃げ道を塞ぐ。


「何だこの風は !」

「ただの旋風だろ !」


コロナは間髪入れずに杖を掲げた。


水流(アクア)(リング) !」


コロナの杖から水が発生した。

水は旋風を包み込むように覆い、渦潮になり、竜族達を追い詰める。


「これが……合技・渦潮(メイルストロム)(ダンス) !」


風と水の合わせ技により発生した渦潮に閉じ込められ、もがく竜族達……。


「「「あばばばぁぁぁぁぁぁぁ !」」」


竜族達は目が回りながら息が出来ずに苦しんでいた。


「さて、楽にしてやるか……」


クロスは一瞬でカラスの姿から少年の姿になると黒い翼を大きく広げ、飛んだ。


空斬(エアスラッシュ) !」


クロスは翼を激しく羽ばたかせ、衝撃波を放った。

渦潮に囚われている竜族達は無抵抗のまま容赦なく斬撃を受け続けた。


「「「ぎゃああああ !」」」


渦潮が止むと竜族達は膝をつき、泡を吹きながら気絶した。


「やったな、コロナ」

「うん」


クロスはコロナを見下ろすと僅に口元を綻ばせた。




「皆順調のようだな、ワカバ、私達も行くぞ」

「はい !」


エルサと私は剣を構えながら竜族に向かって走り出した。


「やっちまえええええ !」


竜族達も焼きが回ったのか、死に物狂いで向かってくる。


「動きが甘いぞ !」


エルサは巧みに竜族達の攻撃を避け、重い一撃を正確に叩き込む。


「がはっ !」

「そんな大振りじゃ隙だらけだ」


ガキィン


エルサは敵の爪を剣で弾き、隙が生まれバランスを崩した所を攻め、土手っ腹を斬りつけた。


「うわぁぁぁぁぁ !」


体格差など問題では無かった。

エルサの前では筋肉も身長も関係ない。


「ふう……こんなものか……」


エルサはかすり傷一つ負うことなく、瞬く間に竜族達を戦闘不能に追い込んだ。

その姿は凛々しく、私は思わず見とれていた。


「主、前を見てください !」


リトの言葉で我に返った私は竜族の爪の一撃をとっさに剣で防ぎ、受け止めた。


「わっ…… !」

「お嬢ちゃん、戦場だってのに油断大敵だぜ !」


竜族の男はニヤリと笑い、力を強めた。


「うぅ……」


私は押され気味になっていた。このままじゃまずい…… !


「主、加勢しますよ !」

「だ、ダメですよ…… !リトの出番はまだまだ先です…… !」


リトは三分間しか戦えない。だからここぞという時にしか召喚出来ないのだ。


「ではこうしましょう !赤色放射(レッドオーラ) !」


リトが叫ぶと、赤く熱いオーラが私の体から溢れ出した。


「何だ…… この女から焼けるようなオーラが…… !?」


竜族の男は身を震わせ、ゆっくりと爪を離し、後退した。


「私のオーラで戦意を奪って差し上げました。さあ主、今ですよ !」

「は、はい !はああああ !」


私は剣を振り回した。

竜族の男は慌てて応戦する。


ガキンッ


相手の動きが鈍く、私が押していた。

私が剣を振るう度、一歩、また一歩と下がり続ける。


「はぁぁぁぁぁっ !」


私は両腕に力を込めると縦に剣を振り上げ、竜族の男を切り伏せた。


「馬鹿な…… !」


竜族の男は血を流しながらゆっくりと崩れ落ちた。


「はぁ……はぁ……」


たった一体で息を切らすなんて……まだまだ弱いな……私は……。


「ワカバ、大丈夫か ?」


エルサが心配して駆け付けた。


「ま、まだいけます……」

「そうか……所でワカバ、カッコ良かったぞ」


エルサはそう言うとポンと肩を叩き、微笑んだ。


「エルサさん……ありがとう」


私はつい嬉しくなり、口角が上がった。


「どうした君達、腰が引けてるぞ !」


エルサは僅に残った竜族達に向かって叫んだ。


「く、くっそおおおおおおお !」


竜族達はやけくそになって走り出した。


「ワカバ、行くぞ !」

「はい !」


私はエルサと息を合わせ、敵の攻撃を風のようにかわし、回りながら斬り続ける。


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!」」


二人の剣が、最後に残った竜族の男を切り裂いた。

男は絶叫し、大の字になって倒れた。

辺り一面、気を失った竜族達で埋め尽くされた。




「よし、これで尖兵達は倒したぞ」


エルサは汗を腕で拭った。


「何だよ、思ったより手応え無かったな」

「もう終わりかよ……でマルク、勝負は

?」

「俺の方が多かったぜ」

「嘘つくんじゃねえよ !俺の方が多かった !」

「いーや、俺だ」


ヴェルザードとマルクは懲りもせずにまたいがみ合っていた。


「しかし流石は無限(メビウム)結束(ユナイト) !たった数人で竜族達を倒してしまうとは」

「おかげで犠牲も最小限で済みそうですぞ」


兵士達がエルサの前に群がり、感謝の意を伝えた。


「まだ礼を言うのは早いぞ。竜族との戦いがこれで終わるとは思えない」


エルサはなおも警戒していた。

確かにあっさり終わったのは不思議だ。

何か切り札を隠しているのかも…………。


「皆、雑兵を全滅させたからと言って油断するなよ」


エルサは皆に注意を呼び掛けた。





「その通りだぜ」


突然聞き覚えのない声が聞こえた。


「誰だ !」


エルサは剣を抜き、構えた。


「うちの手下共をやるとは、中々やるじゃねえか」


突然私達の目の前に、四人の男女が姿を現した。

四人からただならぬ魔力を感じた。


「俺達と遊ぼうぜ」


一人の男がニヤリと笑った。


「誰だてめえは……」


この場に居る全員に緊張が走った。


To Be Continued

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