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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
大蛇の誘い編
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第六十二話・大蛇の猛攻、覚醒の吸血鬼



「ウオオオオオオオオオオオ !!!」


9本の首を持つ大蛇(ヒュドラ)に変貌したヒュウはおぞましい雄叫びを上げた。


「それがてめえの本当の姿か……」

「9つの首を持つ蛇ですか……中々骨のありそうな方ですね」


ヒュウは足踏みをし、地響きを鳴らした。


「俺の正体は大蛇(ヒュドラ) !神話の怪物の血を引く竜族だ !この姿になった俺はもう加減が出来ねえぜ」


ヒュウはリトやマルクに向かって突進して来た。

移動する度に地面が揺れ、土砂が舞う。


「コロナさん、後ろに下がって援護を頼みますよ」

「近接攻撃は任せろぉ !」


リトとマルクは迫り来るヒュウに向かって行った。


大蛇火炎(ヒュドラファイア ) !へあぁぁぁぁぁぁぁ !」


ボオオオオオオオオオオ


一頭目の口から炎を吐き、二人の行く手を阻んだ。

炎は地面を這うように燃え盛った。


「私に炎は効きませんよ !」


リトは大きく息を吸い、炎を全て吸い込んだ。


「何…… !?」


炎が完全に消え去り、マルクが飛び出した。


魚人水刃(フィッシュリッパー) !」


マルクは両腕のヒレを擦り、水の刃を放った。


「水属性か……俺にも使えるぞ、大蛇水砲(ヒュドラハイドロ) !」


もう一頭の口からは勢い良く水が放射され、マルクの放った水の刃は相殺された。


「コロナ !」

「う、うん !火炎球(ファイアボール) !」

指撃火炎弾(フィンガーフレイムバレット) !」


コロナは杖から炎の球を、リトは指先から小さな火の弾丸をヒュウに浴びせた。


二人の炎がヒュウの体を焼き尽くす。


「調子に乗るな !大蛇毒針(ヒュドラヴェノムニードル)大蛇電撃(ヒュドラサンダー) !」


ヒュウは2頭の首から毒針と電撃を放った。


「うわぁぁぁぁぁぁ !」


リトはかわそうとしたが毒針と電撃に挟まれ、ダメージを受けた。


「くっ…… !9つの首は厄介ですね……」


コロナは寸での所でクロスに持ち上げられ、逃れることができた。


「ありがとうクロス……」

「怪我がなくて良かった……」


クロスは翼を広げ飛び立ち、、宙に浮くとヒュウを見下ろした。


「コロナには傷一つつけさせんぞ !黒羽(クロウ)分身(アバター) !」


クロスは羽をバタバタ羽ばたかせた。

舞い落ちる羽が無数の小さな黒いカラスに変化した。


「てめえ、分身なんか使えんのか」

「まあな、行くぞ !」


クロスは模造されたカラス達に指示し、一斉にヒュウに襲いかかった。


「そんな使い魔の(カラス)ごときが、打ち落としてやる !」


複数のヒュウの口から炎、水、氷、毒、雷の属性技が放射され、次々と襲い来るクロスの分身を打ち落とした。


「隙だらけだぞ ! !」


クロスは落とされていくカラス達で相手の視界を遮り、隙をつき、勢い良く急降下し、飛び蹴りをヒュウに喰らわせた。


「ぐはあっ !」


ヒュウは胸部に打撃を喰らい、思わず吐血し、よろめいた。


「あのカラス達は囮だったのですか」


リトはクロスの戦術に感心していた。


「神話の怪物の末裔だろうが、俺にとっちゃただの超えるべき壁に過ぎねえんだよ !」


マルクはよろめいたヒュウに距離を詰めた。


魚人三連斬(トライスラッシュ) !」


マルクは目にも止まらぬスピードで次々と無数のヒュウの首を切り落とした。

大きな音を立て、いくつもの蛇の首が地面に落ち、転がった。


「うがぁぁぁぁぁ !」


ヒュウは血を流し、激痛に悶えた。


「おのれぇぇぇぇ……まだまだぁ !」


ヒュウは再生能力で一瞬のうちに全ての首を生やした。


「竜族の生命力をなめるなよ……こんなもの……いくらでも再生してやる !」

「息巻いてる割には随分と苦しそうじゃねえか、とっとと降参した方が賢明だと思うぜ」


ヒュウは何度も再生能力を使い、体力を消耗させていた。


「俺は誇り高い竜族……てめえらごときに敗北などありえねえ…… !それに、ヴェルを……必ず救いだしてやる !」

「何をわけのわかんねえことを……」


マルクは再び両腕を前に構えた。




「う……」


俺はうっすらと目を覚ました……。

まだ視界がボヤけてみえる。体もだるい……。力が入らない……。


「ご主人様 !」「ヴェル !」


目の前には二人の美女……もといリリィとワカバがいた。


「ワカバ……お前……」

「リリィさんの超音波を聞いてここに来たんです」


ワカバは俺に向かって微笑んでいた。


「そうか……」


俺はあぐらをかき、ヒュウとマルク、リト、コロナ、クロスが戦っている光景を見て状況を把握した。


「そうだ……俺夢を見たんだ……」

「夢……ですか…… ?」


リリィがたずねた。


「ヒュウと俺は一度確かに会っていた……」

「本当ですか !?」


リリィは驚いた様子だった。


「あいつは、人間に襲われた俺を助けてくれた……独りぼっちだった俺に手を差し伸べてくれた……それを忘れてたなんてな……俺は最低な男だ……」


俺は静かな声で自嘲した。


「ご主人様……」

「あいつは本当に俺を救おうとしている……今のあやつを作ったのは俺だ。あいつの暴走は俺が止めなきゃならねえ……」


俺はフラフラしながらもゆらりと立ち上がった。

まだ身体中の痺れが抜けていない。


「ご主人様、無茶ですよ !」

「ここはリト達に任せた方が……」


俺は二人の制止を振り切った。


「思い出しちまったんだからしょうがねえだろ……今さら後には引けねぇ……これは俺の責任なんだ……」


俺はゆっくりと戦いの場へと向かった。




「はぁ……はぁ……こいつ中々くたばらねえな !」

「どうしよう……勝てない……」

「竜族の体力は並大抵のものではないようですね……」


マルク、コロナ、クロス、リト達は長期戦に持ち込まれ、疲弊している様子だった。

特にリトは制限時間が迫り、少し消えかかっていた。


「俺は目的を果たすまでは止まれない……止まれないんだよぉぉぉぉぉ !!!」


ヒュウは雄叫びを上げた。

そのあまりのやかましさに思わず全員が耳を塞いだ。


「ヴェル…… !待ってろ !お前を必ず救ってやる !」


ザシュッ


ヒュウの胸に短い血の短剣が矢のように刺さった。

傷口から血が滴り落ちた。


「悪いなヒュウ、俺には俺の居場所がある……易々と変えられねえんだよ」


俺は、ヒュウの前に姿を現した。

全身の痺れを気力で耐えた。


「ヴェル……俺の麻痺牙(パラライズファング)で動けなくしたはず、何故動ける !」


ヒュウは困惑していた。


「俺を誰だと思ってる。俺は最上位魔族……伝説の大妖……吸血鬼(ヴァンパイア)だ !」


俺は痩せ我慢をしながら精一杯見栄を張った。


「全く、目覚めるのが遅いんですよ、私が消えたらどうするつもりですか」


リトは何処か嬉しそうに笑顔を浮かべていた。


「お前前に言ってたよな……主役は遅れてやってくるって……今は俺が主役なんだよ !」


俺は高らかに宣言した。


To Be Continued

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