表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
大蛇の誘い編
63/400

第六十一話・共鳴-レゾナンス-



リリィは動けない俺を庇い、ヒュウの前に立ちはだかった。


「アンタには何の恨みもねえ。だが邪魔をするなら容赦はしないぜ……」


ヒュウは左腕も蛇の首へと変化させた。


「ご主人様……私が何とかしてみせます !」


リリィはフライパンを強く握り、剣のように構えた。


「そんな調理道具で何が出来る !」


ヒュウは両腕を触手のように勢い良く伸ばし、リリィに襲いかかった。


「うっ !この !」


リリィはフライパンを振り回し、両腕の攻撃をさばいた。


「ほう、ただの調理道具では無さそうだな」

「護身用の特注品です !」


リリィはフライパンを縦に振り、ヒュウの右腕に重い打撃を与えた。


「ぐおっ…… !調子に乗るなよ小娘ぇ !はぁっ !」


ヒュウの左腕の蛇の口から無数の毒針が槍のように放たれた。


「ひゃっ !」


毒針はリリィの足元を狙った。

当たりこそしなかったが衝撃でバランスを崩した。


「ウオラッ !」


ヒュウはその隙を狙い、リリィの腕からフライパンをはたき落とした。

フライパンは地面を転がった。


「そんな…… !」

「残念だったな」


ヒュウは片腕を勢い良く伸ばした。

片腕の蛇の首は瞬く間にリリィを縛り上げ、宙に浮かした。


「うぅっ…… !」


拘束する力は強く、リリィは苦しそうに呻いた。


「さ、お前も麻痺牙(パラライズファング)で痺れさせてやるよ」


蛇の首はリリィの全身をねっとり這いずり、口をゆっくりと大きく開け、リリィの首筋に噛み付こうとした。


キュイイイイイイン


リリィは口を開け、超音波を発した。

思わずヒュウは動きを止めたが別に何とも無かった。


「何だよ、驚かせやがって……最後の悪あがきのつもりか ?」


リリィはフッと笑った。


「さ、さあ……後で分かることですよ……」

「こうもりの使い魔であるお前は超音波を発し相手を威嚇することが出来るが、無駄に終わったようだな……さ、今度こそ眠ってもらうぞ」


ヒュウの片腕の蛇は再び口を大きく開け、牙を光らせた。


「…… !」


リリィはきっと睨み付け、歯を食いしばった。


ザシュッ


突然刃物のように鋭利な何がヒュウの片腕を綺麗に切り落とした。

リリィはヒュウの拘束から解放された。


「いてっ !いくら再生出来るからって痛いもんは痛いんだよ !誰だ !」


ヒュウは腕を押さえながら激昂した。


「俺か ?半魚人(マーマン)最強の男、マルク様だぜ !」


ヒュウの片腕を切り落とした男……マルクだった。


「マルクさん……」


マルクは咳き込むリリィを介抱した。


「ヴェル !リリィさん !大丈夫ですか !」


ワカバとコロナも駆けつけた。


「ヴェル !しっかりしてください !」


ワカバはなおも眠ってる俺の体を揺さぶった。


「大丈夫ですよ、ご主人様は痺れて動けないだけですから」


リリィが焦るワカバを落ち着かせた。


「このタイミングで助けとは……良くできすぎてるな……どんなからくりを使った。」


ヒュウはリリィに問いかけた。


「簡単です。仲間と認識してる者にだけ聞こえる特殊な音波・共鳴波(レゾナンスウェーブ)を出したんです。私達のピンチを皆さんに伝えました、皆さん来てくれてありがとうございます」


マルクは倒れてる俺に近づいた。


「お前らだけで抱え込んで解決しようだなんて魚臭すぎるぜ。お互い助け合ってなんぼだろ」


マルクは腰を低く落とし、戦闘の体勢に入った。


「ワカバ、コロナ !お前らも準備オーケーか !」

「はい !」「うん !」


コロナは魔法の杖を構えた。


「召喚 !イフリート !」


ワカバはランプを取り出し、叫んだ。

ランプの口から煙が発生し、リトが現れた。


「主、ご用ですか」

「お願いします、あの人と戦ってください」

「かしこまりました」


リトは軽くおじぎをするとヒュウに目を向けた。


「貴方、ただものではありませんね、正体を表しなさい !」

「たく、数で一気に不利になっちまったな……流石に本気を出すしかないようだな」


ヒュウは全身に力を込めた。


「はぁぁぁぁぁ…… !」


徐々にヒュウの筋肉は膨張し、肌は鱗に覆われ、人の顔をしていたそれは竜のように凶悪なものへと変化し、更に両肩から何本もの蛇の首が生えた。

ヒュウは9本の首を持つ大蛇(ヒュドラ)へと変身した。


「ひっ……怖い……」


コロナは杖を握りしめ、震えた。


「これが俺の真の姿だ……こうなるともう手加減出来ねえぜ」

「上等だ、やってやろうじゃねえか」

「あなたがどんな姿になろうと私のすることは変わりませんよ」


リトとマルクは大蛇(ヒュドラ)へとなったヒュウを前に、余裕の表情を浮かべた。


To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ