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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
憎悪の角編
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第五十三話・古代の魔獣コダイ



突如地中から姿を現した恐竜型のモンスターはリトに炎を浴びせた。


「リトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ !」


私は声が張り裂けるくらい叫んだ。

やがて炎が止み、煙が晴れると、元気そうに立っているリトの姿があった。


「ふぅ~やはり炎は美味しいですね、おかげで生き返りました。後5分は戦えます」


そういえばリトに炎は効かないんだった……

でもこのモンスターは一体……


「コラコラ、くすぐったいですよ」


恐竜型のモンスターは何故か仔犬のようにリトになつき、舌でペロペロ舐めた。


「所であなた、何処かでお会いしましたっけ ?」


私には心当たりがあった。私が初めて異世界に来た時、ミーデが召喚した古代の魔獣だ !あの時は30メートル程しか無かったような……。


詳しくは「第四話・古代魔獣」を参照してください。


「リトー !その子、あの時の魔獣です !」

「え !?この短期間でかなり大きくなってますけど ! ?」


リトはかなり驚いている様子だった。


「まさかこんな所で再会するとは……お元気そうで何よりです」


リトは魔獣の頭を優しく撫でた。


「リト……あの魔獣を手懐けているのか…… ?」

「あいつ、次から次へと驚かせてくれるぜ」


エルサとマルクも驚いていた。


「なんかウサギの魔獣のことを思い出しちゃうな~、あの子元気かな~」


ミライも感傷に浸っていた。


「まさか……以前私が召喚した魔獣ですか…… ?あんなに成長したなんて……しかしよりによってあいつに手懐けられるとは……気に入りませんね……」


ミーデは苛立ちと動揺を隠せずにいた。


「あなた……何故私を助けたのですか ?」


魔獣は優しい瞳でリトを見つめた。


「なるほど……私を主と認めたというわけですか……良いでしょう !この私と共にあの怪物を倒しましょう !」


魔獣はゆっくり頷いた。互いに言葉が通じているようだった。


「さ、行きますよ !えーっと……名前は……主、何て呼べば良いですか ?」


リトはいきなり私に振ってきた。


「えーと……いきなり言われても……」


私は頭を悩ませた。ただ魔獣と呼ぶのは何か寂しいし……古代の魔獣だから……。


「コダイ……なんて……どうですか ?」


相変わらず私のネーミングセンスは安直だ……。


「良いですね !シンプルで覚えやすいです !」


リトは満足していた。まあ気に入ったならいっか……。


「さ、コダイさん !行きますよ !」


リトはコダイの頭の上に乗っかった。


キシャァァァァァァァァ


コダイは雄叫びを上げると、ロウに突進してきた。

ロウも立ち上がると雄叫びを上げ、コダイに向かっていった。


コダイとロウは腕を伸ばし、互いに取っ組み合った。手を握り、にらみ合いながら一歩も譲らず、拮抗する二体。動く度にグラグラ大地が揺れる。

その迫力は、さながら怪獣映画を観ているようだった。


「さぁさぁ !コダイさん !その圧倒的な怪力(パワー)を見せて差し上げなさい !」


リトはコダイの頭の上で興奮しながら指示をしていた。

二体の魔獣、肉弾戦では僅かながらコダイが押していた。


グガァァァァァァァ


コダイはその長く鋭利な爪でロウの胸を切り裂いた。

ロウは絶叫し、傷口から勢いよく血が吹き出た。


「何て強力な爪なんだ…… !」

「俺達の攻撃なんて掠りもしなかったのに !」


エルサ、マルクはただ茫然と見てることしか出来ずにいた。


コダイは尻尾を大きく振り回した。

大木のように太く強靭な尻尾の一撃をロウ

の頭に喰らわせた。

鈍い音が響き、ロウの角が一本折られ、よろめいた。


「何てパワフルな戦いなんですか……」

「魔獣とはこんなにも恐ろしいものなのか……」


リリィ、コロナ、クロスは唾を飲み込んでいた。


ボォォォォォォオオオオ


コダイはティラノサウルスによく似た口を大きく開けると赤いエネルギーを集積させ、炎の光線を放射した。

ロウは炎の光線をまともに浴び、後退りした。


「その調子ですよ !コダイさん !」


これが、古代の魔獣の真の力なのか……。

私は遠くからコダイの勇姿を見上げた。


「くぅぅぅ !ロウさん !何を手こずっているのですか !あんな野良魔獣など、超魔獣となったあなたの相手では無いでしょう !」


ミーデは地団駄を踏みながらイライラしていた。


ウゴォオオオオオオオオオオオオ


ロウは体勢を立て直すと反撃に出た。

コダイとの距離を詰めると拳で顎を殴り、怯ませた。

その隙を突き、コダイの尻尾を両手で掴んだ。


「な、何をするんですか !」


ロウはコダイの尻尾をコマのように力任せに回転し、遠心力を載せて投げ飛ばした。


「目が回ります~ !」


コダイは投げ飛ばされ、地面に叩きつけられた。

リトは何とかコダイの頭にしがみつき、吹き飛ばされずにすんだようだ。


「いてて……相手もタフですね……これ以上続けると私の活動時間が限界を迎えます !コダイさん、次で一気に決めますよ !」


リトの声を聞き、コダイは立ち上がった。

コダイは再び口を大きく開け、炎を吐き散らした。

炎はロウを取り囲むように燃え広がった。

ロウは逃げ場を失った。


「ナイスですよコダイさん !さ、この一撃に全てを賭けますか、赤色放射(レッドオーラ) !」


リトは赤いオーラを全身から放出した。


「まさか威嚇して怯ませるんですか ?」

「違います」


リリィは何かに気付いた。


「感じますか ?リトさんの魔力がどんどん高まっていくのが……」


今回の赤色放射(レッドオーラ)は威嚇するためではなく、自らの魔力を極限まで高めるものだった。

赤いオーラがどんどん大きくなっていく。


「さて、準備万端ですよ」


リトは人差し指をロウの胸に向け、標準を定めた。

炎の渦がロウを捕らえて逃がさない。


指撃高熱線(フィンガーハイフィーバー) !!!」


リトの指先から、いつもより極太の熱線が解き放たれた。


ドンッ


熱線は一直線にロウ目掛けて飛んでいき、ロウの胸を貫いた。


グホァッ


ロウは吐血し、ゆっくりと仰向けになりながら倒れた。


ボガァァァァン !


ロウが倒れた瞬間、大地が揺れ、爆発が起こり、土砂や火花が舞った。


To Be Continued

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