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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
憎悪の角編
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第五十話・ミノタウロス無双



憎悪(ヘイトリッド)(ホーン)のボス・ロウとの戦いが始まった。


「てめえ、ワカバを返せぇぇぇぇ !!」


俺はロウに殴りかかり、顔面にパンチを喰らわせた。


「こんなものか」


ロウの顔面に思い切り当てたがびくともしなかった。

寧ろこちらの拳骨が痛かった。


「でやぁぁぁぁぁ !!!」


マルクが両肘のヒレで斬りかかった。

目にも止まらぬ連続攻撃を浴びせる。


魚人斬撃(フィッシャーブレイド)ォォォォォ !!!」


だがロウは避けるでも反撃するでもなく、ただじっと立っているだけだった。


「こいつ !全然効いてねえのかよ !」


マルクは悔しそうに叫んだ。


「マルク、どいていろ !」


エルサが腰を低くして剣を構えた。


神月颶風(ムーンハリケーン) !」


エルサは剣先をロウの眼前に向けた。そして剣から巨大な竜巻を巻き起こした。

あの巨漢なハイオークすら地面から浮かし、流れ星にしてしまう大技だ。


「涼しい風だな」

「なっ !」


だがロウは全く動かなかった。ハリケーンもロウにとってはただのそよ風。


「満足したか、では次はこちらから行くぞ」


ロウは斧を軽く一振りした。

その時の風圧で俺達3人はあっさり吹っ飛ばされてしまった。


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!」」」


俺達は地面に叩きつけられた。


「例え束になってかかってこようと、俺には絶対に勝てん」


ロウ、やはり他の幹部とは格が違いすぎる。

風圧だけで相手を吹き飛ばす斧、そして頑丈な肉体。まるで隙がない。


「こうなったら、また体張るしかねえようだな」


俺は覚悟を決めた。


「やめろ !これ以上血を失えば君は…… !」

「せめてやつのポーカーフェイスを崩してやりてえんだよ」


俺はフラフラになりながら爪で肌を切り裂いた。そして滴る血を宙に浮かした。

流石に深紅(ディープレッド)邪剣(セイバー)は使えなかったので短めの剣の形にした。


赤剣(レッドナイフ) !」


俺は血で出来た短剣を手にロウに向かっていった。


「ヴェルザード !」

「あの野郎かっこつけやがって…… !」


俺は血の短剣をロウの肩に突き刺した。

ロウはノーガードで受け止めた。

流石に効いたのか肩から血が吹き出た。


「ほう、ただの武器では無さそうだな」


ロウは眉ひとつ潜めなかった。

こいつに痛覚は無いのか ?


「当たり前だ、何せ俺の血で作った魂の分身だからなぁ !」


俺は何度もロウの体に斬りつけた。


「ふんっ !」


ガキンッ


ロウは斧で俺の短剣を防いだ。

ぶつかった衝撃で火花が飛び散る。


「はぁぁぁぁぁ !!」


ガキン ガキン ガキン


俺とロウ、短剣と斧がぶつかる度に金属音が鈍く響く。

二人の激しいせめぎ合いが続く。

ロウは防戦一方で俺がやや押していた。


「おお !ヴェルの野郎、良い勝負してるじゃねえか !」

「違う…… !」


エルサは何かに気づいていた。


「あいつ……本気を出していない !」

「え ?」

「私を一撃で倒した時の力をまだ使っていないぞ…… !」

「マジかよ……」


俺は更にスピードを上げた。

ロウは動きをとらえきれず、体中にかすり傷がついた。


「己の血液を武器に変える……流石は最上位魔族の吸血鬼(ヴァンパイア)だな、だがそろそろ限界だろう」


ロウは見抜いていた。俺が既に血を使いすぎていることを。

ロウは長い脚で俺を蹴り上げた。


「くっ……」


俺は一旦距離を取った。


「いくら吸血鬼(ヴァンパイア)といえど、血が足りなければ雑魚と変わらん」


ロウは魔力を高めた。そして斧を軽く振った。その時風圧が起こり、一瞬で短剣を粉々にした。


「なっ ……!」


くっそぉ、今まで手加減してたのか……吸血鬼(ヴァンパイア)が手加減されるなんてな……。


「少し本気を出そう。」


ロウは気合いを入れた。身体中から邪悪なオーラが溢れた。


「良いものを見せてやる」


ロウは斧を高く振り上げた。


「まずい !逃げろ !」


エルサが叫ぶ。


牛魔斧(タウロスラッシャー)両断(ギロチン)!」


ロウは力強く斧を縦に降り下ろし、地面に突き刺した。

そこから紫色の光が地を這いながら放たれた。


「ヴェルザード !」


俺は避けきれず、まともに直撃した。

衝撃で爆発が起こった。



「終わったな……」


ロウは唾を吐いた。

煙が晴れると俺の姿は無かった。


吸血鬼(ヴァンパイア)は消滅した。次はお前達の番だ」


エルサとマルクは震えていた。


「ヴェルザード……そんな……」

「ヴェル……まだ俺と決着つけてねえじゃねえか…… !くそぉ !」


マルクは悔しさから地面を殴った。


「勝手に殺すなよ」


マルクとエルサは謎の声を聞いた。

だが振り返っても誰もいない。


「おいおい、まさか幽霊になっちまったのか ?」

「す、すまん、そういうカルト系は苦手でな……」


エルサはブルブル震えていた。


「いや死んでねえよ !」


俺は呆れて突っ込んだ。

そしてマルクとエルサの前に姿を現した。


「ひゃっ !」


エルサは驚いてコミカルに叫けび、マルクの後ろに隠れた。


「ヴェル !お前 !」

闇霧(ダークスモッグ)。自らの肉体を霧に変えられる技だ。気体になれればどんな物理攻撃も意味をなさない。無駄に終わったな」

吸血鬼(ヴァンパイア)は何でもありだな」


俺はどや顔を決めたがすぐに倒れかかった。


「おっと」


マルクが肩を支えた。


「たく、冷や冷やさせやがって」

「悪いなマルク」


ロウはゆっくりとこちらに近付いてきた。


「無駄だと ?無駄なのは貴様の方だ。僅かに寿命を伸ばしたに過ぎん」


ロウは斧をこちらに向けた。


「そうか ?お前の顔が僅かに歪んだのを見たぜ ?お前のポーカーフェイスを崩したかったんだ。それだけでも充分意味があるぜ」


俺は息を切らしながら悪態をついた。


「最後に言い残す言葉はそれで良いか」


ロウは再び邪悪なオーラを溢れさせ、斧を高く振り上げた。

エルサとマルクが俺を庇うように前に出た。


「死ね」


ロウの斧が降り下ろされようとしたその時、


ピシュンッ


謎の火の弾が遠くから放たれ、ロウを狙った。

ロウはすぐに反応し、斧で弾いた。


「隠れてないで出てこい。卑怯者め」


ロウは火の弾丸が放たれた方向を強く睨み付けた。


「卑怯 ?貴方にされたことをそのままお返ししただけですよ」


謎の声は遠くから聞こえた。


「お前は…… !」


そこにはワカバ、リリィ、ミライとフードを被った少女、そしてリトが立っていた。


「ワカバ !リト !無事だったか !」


エルサは嬉しそうに叫んだ。


「心配かけてすみません !」


ワカバは頭を下げた。元気そうで何よりだ。

リリィ達も上手くやってくれたようだ。


「にしても遅いぜ、リト」

「よく言うでしょう、主役は遅れてやってくるってねぇ !」


リトは勢いよくジャンプするとロウに近づいた。


「貴方達には酷い目に遭わされましたからねぇ。たっぷりと御礼をして差し上げましょう」


リトは気合いを入れ、魔力を高めた。身体中から赤いオーラが溢れた。


魔人(イフリート)……」


ロウは警戒心を強め、斧を構えた。


魔人(イフリート)vsミノタウロス……

二人の強者の戦いが今、始まろうとしていた。


To Be Continued

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