第四十一話・ミーデの調教
「お久しぶりですねぇ、お嬢さん」
目の前には忌々しい男がニヤニヤほくそ笑みながら立っていた。
「あなたは……」
「異世界の旅はいかがでしたか?お仲間にも恵まれてさぞ楽しかったでしょうねぇ」
間違いない……。私を異世界に連れてきた男……。悪魔のミーデだ……。
私は自分が鎖に繋がれてることに気づいた。両腕を拘束され、身動きがとれない。
「ミーデ……。まさか闇ギルドの人間だったなんて……」
「勘違いしないでください。私は闇ギルドに所属はしていませんよ。協力しているだけです」
ミーデはとぼけた表情をしながら私を舐め回すように見つめていた。
「そうだ……ランプは……? リトっ !」
「あぁ、あなたの大切なランプですか?ご心配なく」
ミーデが顎をクイッとやると、後ろから杖を持った少女が現れた。
私を騙した女の子、魔女のコロナだ。
彼女は私のランプを持っていた。
「ランプはコロナさんが預かっています。後、実体化されたら困るので魔力封印の鎖でがんじがらめに縛ってありますよ」
「主……面目ありません…… !」
リトの悔しそうな声がランプから聞こえた。
「……私を捕まえて、どうするつもりですか……」
ミーデは口角をいやらしくつり上げ、邪悪な笑みを浮かべた。
「かつてはあなたを殺してランプを奪おうと考えていました……。しかしそれは間違いでした。魔人の召喚は選ばれた適性のある者しか出来ない……。つまりあなたは生かしておくことに価値があるのです」
ミーデはウロウロ牢の外を回りながら饒舌に語った。
「要はあなたを我々の支配下に置きたいのです。あなたさえ手に入れば伝説のチート魔人は我々のものになります !」
「言っておきますけど……私は絶対にあなた達の仲間にはなりませんから !」
私はミーデを睨み付け、強く反抗心を示した。
「そう言っていられるのも今のうちです。私の仕事は、あなたを調教することですからねぇ、影鞭 !」
足元から不気味な影が出現し、私の全身にくまなく絡み付いた。黒い影はねっとりと身体中を締め付けてくる。
私は気持ち悪さから全身に鳥肌が立った。
「フフフ、実にお似合いですよ ?」
ミーデはゲスな笑みを浮かべた。
「では着火しますか、付属・電流 !」
ミーデは指を鳴らした。
すると私に絡み付いた影から電流が走り、強力な電流を全身に浴びさせられた。
「きゃああああああ !!!」
私は痛みのあまり絶叫し、ジタバタと暴れたが、暴れる為に鎖が強く締め付けられ、更に痛みが強まった。
「ハァ……ハァ……」
「ホッホッホッホ! やはり女性の悲鳴とは心地良いメロディです! この電流は、トロールすらも気絶するほどの威力がありますよ !」
ミーデは薄汚い高笑いをした。
身体中の痺れが抜けない……。全身に痣ができ、服も所々がビリビリに破けていた。
私は息を切らしながらミーデを睨んだ。
「こんなことを続けて……何がしたいの…… !」
「決まってるじゃないですか……。想像を絶する苦痛を与え続け、あなたの心を壊し、我々の操り人形にするのです……。さあ、もっと良い声で泣き叫びなさい !」
再び影から流れる電流が私を襲った。
「うわぁぁぁぁぁぁ !!!」
「ホッホッホッ!!! 最高ですねぇ!!! まだまだ折れないでくださいね、もっと私を悦ばせなさい !!!」
私は何度も悲鳴を上げた。
コロナはあまりの光景に目を覆っていた。
ミーデによる調教は数時間に及んだ。
私は何度も電流を浴びさせられ、ボロボロになり、全身に力が入らなくなっていた。
目も半開きになり、酷い有り様だ。
「ふう、そろそろ休憩しますかね、コロナさん、見張りをお願いしますよ」
「は……はい……」
ミーデはそういうとこの場を去っていった。
後どれくらいこの地獄が続くんだろう……。
助けは来てくれるのだろうか……。
もしかしたら私はこのまま本当に操り人形になってしまうのか……。
私は朦朧としながらそんなことを考えていた……。
「あ、あの……」
コロナが私に話しかけてきた。
「ごめんなさい……。私のせいで、こんなことになるなんて……」
コロナは涙を浮かべながら頭を下げた。
ミーデがここまで残虐な性格をしているなんて思ってもいなかったのだろう。
「でも……これが私の……仕事なんです……ここが私の……居場所だから……」
コロナはそれほど悪い子ではなさそうだった。何か事情があるに違いない。
「……別に良いよ……油断しちゃった私が悪いんだから……」
私は満身創痍になりながらも精一杯の笑顔を見せた。
幼い少女が罪悪感に苛まれている姿は見たくなかったからだ。
「ねえ、コロナちゃん……ここにいる間…私の話し相手になってくれないかな……」
コロナはキョトンとしていた。
「私……もっとコロナちゃんのこと……知りたいな……」
「……うん……」
コロナは少しだけ肩の力が抜け、微かに微笑んだ。
ほんの少しだけだけど、私に心を許したのかも知れない。
この孤独で辛い状況の中、誰かと話をしていれば気晴らしになる……。
例えどんな目に遭おうとも、私は絶対に負けない…。最後まで希望は捨てない。そう心に決めた。
皆さんこんにちは !リリィとミライさんです。
私達は今、闇ギルドの門まで来ています。
堅固な山猫の皆さんが必死になって闇ギルドの場所を見つけてくれたんです。感謝ですね !
では、今すぐ作戦を実行したいと思います !
私はドンドンと門を叩きました。
「すみませーん !」
すると門がゆっくりと開きました。
「何だ、お前ら! 俺らに何の用だ……ってうおっ !」
中から闇ギルドの方が出てきました。どうやら下っ端のオークのようですね。
「ええっと、お嬢さん方?俺達のギルドに何の用だい ?」
オークの方はコロッと態度を変え、デレデレしながら質問してきました。
「あの~私達~ワカバちゃんをたす」
「じゃなくて !」
私は慌ててミライの口を塞ぎました。
「私達をギルドに入れてほしいんです !」
私は冷や汗をかきながら思いきって頼み込みました。
To Be Continued




