第三百五十一話・色欲-ラスト-
エルサとアスモデウスの戦いは続いていた。
今の所勝負はエルサの方がやや優勢だった。
だがアスモデウスは剣術だけでなく、毒使いでもある。
決して油断 してはいけない強者だ。
それにアスモデウスは何か切り札を隠し持っているようだった。
「不気味な奴だ……さっさと決着をつけねば……」
ゴクンと唾を飲み込みながらエルサは静かに身構えた。
アスモデウスも同じく刃をこちらに向けてくる。
「さあ、続きを楽しもうか」
アスモデウスはニコッと微笑むと剣を構えながら走り出し、エルサに向かっていった。
「はっ !」
再び両者の刃が火花を散らせながらぶつかり合う。
剣と剣が交差し、先程よりも激しく、土埃が舞い上がった。
「さっき君は毒は効かん、と言っていたね、でも苦痛には耐えられても、快楽には抗えるかな ?」
「どういう意味だ……うっ !」
アスモデウスは隠し持っていた短剣をエルサの腹部に突き刺した。
短剣には紫色の毒が塗られていた。
エルサは一瞬痛みを感じたが、すぐに消えてしまった。
「……? どういうことだ ? こけおどしか !」
エルサは剣を大きく振るい、強烈な一撃を浴びせ、アスモデウスを引き離した。
アスモデウスは土埃を撒き散らしながら後退し、距離を取った。
「ふふ、まあすぐに分かるさ」
エルサは再び剣を構え、踏み込もうとした。
だが途中でエルサは異変を感じ、足を止めてしまった。
「!?……何だ……身体が……熱い…… !」
エルサは頬を紅潮させ、まるで全力疾走をしたかのように呼吸が荒くなり、苦しそうに胸を押さえ、声を漏らした。
全身がガクガクと痙攣し、次第に力が抜けていった。
「ふふふ、流石に効いてきたようだね」
待っていましたと言わんばかりに笑みを浮かべるアスモデウス。
エルサは涙目になりながらアスモデウスを睨み付けた。
「さっき君に短剣を突き刺したよね、この短剣に殺傷力は無いよ、ただ、特殊な毒が塗られてたんだよね」
アスモデウスは短剣をクルクルと回しながら話を続けた。
「君の身体は毒に対して強い耐性を持っている、でもそれは殺傷力のある毒に対してだ、でもこの毒はただの毒じゃない、媚薬と同じ効力を持つ毒なんだよ」
エルサの肉体は通常の毒には耐えられるが、殺傷力の無い、肉体に快楽を与えるタイプの毒には対応していなかった。
今のエルサは少し体に触れただけで反応してしまうくらいに感度が高められていた。
「ふふふ……」
ゆっくりと歩み寄るアスモデウス。
エルサは息を荒げ、震える身体で武器を持ち、身構える。
「はぁ……はぁ……く……来るな…… !」
「そう怯えなくて良いよ」
アスモデウスはエルサの肩にそっと触れた。
「ひっ…… !?」
その瞬間、ビクッと痙攣を起こし、エルサは足腰から力が抜け、敵を目の前にして膝をついてしまった。
「あっ……はぁ……はぁ…… !」
「あっはっは、ごめんごめん、びっくりさせちゃったかな」
アスモデウスは気さくに笑いながらエルサの手首を掴んだ。
「んあああっ !?」
アスモデウスに触れられたことで電流が全身を駆け抜け、エルサは思わず艶のある声で悲鳴を上げた。
片腕を力強く掴まれ、エルサは抵抗しようにも力が入らず、羞恥で顔を真っ赤に染めながらアスモデウスを睨むことしか出来なかった。
「はぁ……はぁ……んっ……あ……」
「もう限界みたいだね、耐えるのは辛くなってきたでしょ、諦めて僕の女になってよ」
アスモデウスは震えるエルサの耳元に顔を近付け、囁きながら言った。
吐息が敏感な耳を刺激し、彼女から更に自由と正常な判断力を奪っていった。
「んんっ……」
全身を擽られるような感覚に支配され、身悶えするエルサ。
凛々しかった表情が緩み、紅潮し、涎がだらしなく垂れ、すっかり蕩けきっていた。
「君のような誇り高き騎士でも、僕の手にかかればイチコロさ」
勝ち誇った様子でエルサを羽交い締めにするアスモデウス。
毒によって全身の力が抜け、無抵抗のエルサは恥辱に耐えるしかなかった。
「わ……私は……決して……屈しない……」
唇を噛みしめながらせめてもの意地を見せるエルサ。
気絶してしまいそうな程の感覚に必死に耐え続ける。
「良いねぇ、そうでなくちゃ、もっと僕を楽しませてよ」
アスモデウスは歓喜の声を上げながらエルサの硬く鍛え上げられた上腕二頭筋に細長い指でツーッとなぞった。
「んあああっ…… !」
またもや身悶えし、情けない声を上げてしまうエルサ。
アスモデウスは彼女の六つに割れた腹筋を舐めるように指でなぞってゆく。
「あぁっ !」
擽られる快感に耐えきれず、声を上げながら仰け反るエルサ。
アスモデウスは彼女が力尽きるまでじわじわと攻め続けた。
To Be Continued




