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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
最終章・七大魔王降臨編
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第三百四十九話・遭遇、四人目の魔王



爬虫(レプティル)騎士団(ナイツ)が元魔界四天王ガイと交戦を始めたのと同じ頃、エルサとマルクはたった二人だけで各地の魔王軍を蹴散らしながら魔界へと向かっていった。

これ以上軍勢を相手にしても体力が消耗するばかりで拉致が明かない。

大元を一気に叩く必要があった。

エルサは首無し馬・シュヴァルに、マルクは中型のライド用のドラゴンにそれぞれ跨がり、大地を駆け抜けていた。


「ルーシー……」

「どうした、浮かない顔して」


エルサはルーシーを一人で王都ガメロットに向かわせた事を少し後悔していた。

鍛えているとは言え、やはり姉としては心配だった。


「あいつなら大丈夫さ、古代亀の島の時も頼りになってたしな」

「そういう君こそ、グレン達の事が心配なんじゃないのか ?」


エルサの指摘にマルクはギクッとした。

マルクスにとってグレンは弟のような存在だ。

それに、いくら神器に選ばれていてもまだまだ子供、兄貴分としては気が気が気でなかった。


「ま、まあ信じるしかねえだろ、あいつらを……兎に角俺達は魔界に殴り込みにいかねえとな !」

「ああ……二人だけなのは心細いが、ヴェルザードを救出することだけなら出来るかも知れない」


エルサとマルクは改めて覚悟を決め、魔界への道を急いで向かおうとした。

だが、そんな彼等の行く道を阻むように一人の男が突如として現れた。


「何だ…… !?」


エルサとマルクは思わず足を止めた。

二人の前に立ち塞がった男はじっとエルサを見つめていた。

女性と見紛ごう程の中性的な美しい顔を持ち、肌は雪のように白く、唇を艶のある紫色に染めていた。

漆黒の衣を纏い、妖艶な雰囲気を醸し出していた。


「誰だてめえ、そこどけ !」


マルクは色男に対し、敵意を剥き出しにしながら吠えた。


「野蛮だね、君のような雄には興味無いよ、それよりも……」


色男はニッコリと微笑みながらエルサをまじまじと見つめ続けた。

エルサは気色の悪さと嫌悪感を覚え、シュヴァルから降りると剣を構えた。


「私に何か用か ?」


エルサは蔑みの眼差しで色男に問い掛ける。


「いや失礼、君があまりにも美しかったものだからつい見とれてしまったよ、一目惚れというやつかな ?」


色男は悪びれもせず、あっけらかんとしていた。


「僕は七人の魔王の一人、色欲の魔王アスモデウスさ、宜しくね」


アスモデウスと名乗る男はエルサに熱い視線を送りながらウインクをした。


「魔王……? この色ボケ野郎がか ?」

「油断するな、あの男の放つ魔力は異常だ……」


エルサは唾をゴクンと飲みながら警戒心を強めた。

変わり者で変態に見えるが、彼もまた歴とした魔王の一人……天変地異を引き起こすくらいの強大な魔力を秘めている。


「マルク……君は一足先に魔界に行け」

「おい、お前はどうすんだよ、一人であいつと戦う気か ?」

「ああ……二人共やられるより一人だけやられた方がマシだろ」


マルクはエルサの言うことが頭では理解出来たものの、簡単には受け入れられなかった。

下手をすれば彼女を見殺しにすることになるからだ。


「相手は魔王だぞ? いくらお前でも一人で勝てるわけねえだろ !」

「ならここで二人共やられてしまうか……? もうヴェルザードを助けられる人間はいなくなるぞ」


エルサに厳しく諭され、マルクは何も言えなかった。

ワカバもリトもいない今、ヴェルザードを救出出来る人間は少ない。


「分かった……その代わり約束してくれ、必ず無事でいるって」

「100%守れるとは限らんが、まあ頑張ってみるよ」


エルサはマルクに優しく微笑みかけた。

既に刺し違える覚悟が決まったのか、彼女はやけに落ち着いていた。

マルクは歯を食い縛りながらライド用のドラゴンの背中に跨がり、風のように突き抜けながら魔界へと向かっていった。


「ふん、男には用は無かったんで、丁度良かったよ、これで二人きり……邪魔者は居なくなったね」

「色欲の魔王……アスモデウス……」


マルクが去り、エルサは身を引き締めながら剣を構えた。

アスモデウスから滲み出る巨大な魔力を肌で感じ、緊張から鼓動がバクバクと早くなっていった。


「君の身も心も僕のものにしてあげるよ」

「やれるものならやってみろ」


アスモデウスは不敵な笑みを浮かべながら腰を低く落とし、鞘から長く鋭利な太刀を抜いた。

無限(メビウム)結束(ユナイト)団長エルサと色欲の魔王・アスモデウスの一騎打ちが今始まろうとしていた。

果たしてエルサはたった一人で魔王を倒すことが出来るのだろうか……。


To Be Continued

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