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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
最終章・七大魔王降臨編
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第三百三十七話・蝿の女王



突如グレン達の前に背中に羽を生やした女が現れた。

女は冷酷な表情で地上を見下ろしていた。

他の魔族達とは明らかに異質でただならぬ雰囲気を漂わせていた。


「ベルゼブブ様……申し訳ありません……こいつら……手強くて……」


兵士の一人が上空に浮遊している女に向かって謝罪をした。

他の兵士達もブルブルと怯えた様子だった。


「あら、アタシは別に怒ってないわよ? これから食べる食糧に怒りなんて感情湧かないでしょ ?」


ベルゼブブと呼ばれる女はニコッと笑うと大胆に露出した腹部に目玉のような不気味な紋様を浮かび上がらせた。

やがて紋様は紫色に発光し、凄まじい勢いで生き残ったのを含む全ての兵士達を吸い込んでいった。


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ !!!」」」


倒れていた兵士達は絶叫しながらベルゼブブの腹に空いた風穴に吸い込まれていった。


「ふう……ご馳走様……雑魚にしてはまあまあね」


ベルゼブブはにこやかな様子でハンカチで口を拭った。


「な、何て奴だ……自分の部下を食べやがった……」


ベルゼブブのあまりの所業を前に戦慄するグレン達。


「あら? アタシはただ食事をしただけよ? とてもお腹が空いてたの」


ベルゼブブは開き直っていた。

自分の部下を食うことに何の躊躇いも無かった。


「奴は……暴食の魔王・ベルゼブブ…… !」

「デューク、知ってるのかい ?」


ブラゴは瞳孔を開いたまま動揺しているデュークに尋ねた。


「はい……魔王サタン様から聞いたことがあります……かつて封印された七人の魔王の一人だと……奴は常に空腹に襲われており、敵味方問わず全ての生き物を食糧としか思っていない、危険人物です」


デュークは汗を垂らしながら説明した。


「成る程……アンタが魔王ってわけか……丁度良いぜ、俺達はアンタら魔王共をぶっ倒す為に強くなったんだ !」


グレン達は戦意を燃やし、武器を構え、戦闘体勢に入った。


「オーガ族は体格も良いし力もある……良い栄養になると思ったんだけど、先に生意気そうなガキ共から頂こうかしら」


ベルゼブブはニヤリといやらしい笑みを浮かべながら涎を拭った。


「へっ、まずはここまで降りてきやがれ !」

「何でこのアタシがアンタ達のような食糧に命令されなくちゃいけないわけ ?」


ベルゼブブは馬鹿にした態度で大袈裟に手振りをした。


「あっそ、なら力ずくで引き摺り降ろしてやるぜ ! 鬼落雷(オーガサンダーボルト) !」


グレンが剣を上に掲げた瞬間、ベルゼブブの頭上に雷が落ちた。


「おっと !」


ベルゼブブはすぐに気付き、紙一重でかわす。


「へえ、坊ややるわねぇ、それにその剣……良く見たら神器じゃない、神器を使いこなせるなんて、将来有望ね、ま、将来なんて来ないけど」


ベルゼブブは手のひらに魔力を込め、グレンに向けてエネルギー弾を放とうとした。


「させるかぁ !」


だがデュークが鎌を一振りして真空波を上空に向けて放ち、ベルゼブブを妨害した。


「くっ !」


思わず怯むベルゼブブ。


「ここは僕が行こう、空中戦なら任せておけ」

「気をつけろよクロス !」


クロスは黒い翼を背中から生やし、空へと飛び立ち、ベルゼブブに接近した。


「あら、好みの顔ね……良いわ、可愛がってあげる」


ベルゼブブは余裕の態度でクロスを迎え撃つ。

二人は青空の海を縦横無尽に飛び回り、激しくぶつかり合った。

グレン達の目には小さな点と点が線を描くようにあちこち飛び回り、ぶつかってるようにしか見えなかった。


「ほらほら、どうしたの坊や !」

「くっ…… !」


空中戦ではクロスが劣勢だった。

体格差も飛行速度も、ベルゼブブの方が遥かに上回っていた。

ベルゼブブは加速しながら空中でクロスをいたぶる。


音速爆音撃(ソニックブーム) !!!」


ベルゼブブは背中の巨大な羽を速く羽ばたかせ、音速の衝撃波を生み出した。


「うわっ !」


クロスはまともに衝撃波を喰らい、地上へと落ちていった。


「手応えないわね、そんなんじゃ女の子に持てないわよ」


完全に子供扱いをして楽しんでいるベルゼブブ。

一同は悔しさに拳を震わせるしかなかった。

落下して地面に叩きつけられたクロスはコロナに抱き起こされていた。


「くっ……やはり魔王と言われるだけあって……強いな……僕一人では歯が立たない」

「でも……一人じゃないよ」


コロナはクロスの顔を見つめながら手を握った。


「そうだな……僕達は一人じゃない……」


グレン、クロス、コロナは前に立ち、空中で威風堂々と佇むベルゼブブを睨むように見上げた。


「姉ちゃん達は下がってくれ、ベルゼブブは……俺達三人で倒す !」


グレンは力強く宣言した。


「そうかい……男が堂々と宣言したんなら、ちゃんと果たすんだよ」


ブラゴは笑みを浮かべながら首を縦に振った。


グレン、クロス、コロナの少年組は全てを食らい尽くす理不尽の蝿の女王……暴食の魔王ベルゼブブに決死の覚悟で挑む。


To Be Continued

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