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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
最終章・七大魔王降臨編
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第三百二十九話・マモンvs聖霊達



魔王部屋では六人の魔王が次の戦いに備え、玉座に座っていた。

魔王達はサタンが用意した水晶を眺めていた。

水晶には聖霊の森でマモンとジンが対峙している映像が映し出されていた。


「風の聖霊か……昔は可愛がってやったが、随分と風格のある戦士に成長したな」


サタンはまるで親戚の叔父のような目で水晶を見つめていた。


「マモンの奴、単独行動をして何が目的だ」


ルシファーは不信感を抱いていた。

マモンの行動は魔王軍全体の作戦から大きく逸脱していた。


「まあ見ていろ、面白いものが見れるかも知れんぞ」


サタンはニヤニヤと顔を不気味に歪めながら水晶を吸い込まれるように眺めた。




一方エルサ達は魔王軍が人間界の本格的な侵略を開始したという知らせを受け、大急ぎで王都ガメロットへ向かった。

既にこの道中で多数の魔王軍兵士達が待ち構えており、全員で蹴散らしながら走り続けた。

そんな中、突如ミライに異変が起こった。


「あれ……? 何だ~……頭の中で声が聞こえるよ~」


ミライは猛スピードで飛行しながら頭を抱えた。

何かが彼女に呼び掛ける声が聞こえるらしい。


「どうしたのミライちゃん !」

「聖霊の……森……危機が……迫って……」


ぶつぶつと不気味に呟くミライを見上げながらルーシー達は不安に感じた。


「ねえ、ほんとに大丈夫…… ?」

「あっ……ごめんね~、私行かなきゃいけない場所があるんだ~」


ミライは申し訳なさそうに手をついて謝ると進路を変え、聖霊の森がある方向へ飛び立とうとしていた。


「え、ちょっと待てよ !」

「何処行く気だよこんな時に !」


ザルドとマルクが止めようとするが、ミライはさっさと飛び去ってしまった。


「ちょっと……ただでさえ戦力不足なのに……」

「何か頭の中に声が聞こえるって、聖霊の森に危機が迫ってるとかって……」


一同はミライの突然の奇行に戸惑い、呆れたが後を追う暇は無く、先を急ぐしか無かった。

ミライは謎の声に呼ばれ、聖霊の森を目指して一直線に加速した。




「ずあぁぁぁぁぁ !!!」


聖霊の森のでは風の聖霊ジンが強欲の魔王マモンと交戦していた。

ジンは腕にドリルのような竜巻を纏わせ、マモンに殴りかかったがマモンは脅威的なスピードで全てを見切った。


「なんて速さだ…… !」

「ふん」


ドゴッ


マモンはジンの隙を突いて脇腹を蹴りつけ、勢いよく樹木に叩きつけた。


「がはっ !」


背中を打ち付け、苦しそうに呻きながら膝をつくジン。

今の接戦だけで二人の実力差は明白だった。

ジンの力では魔王の一人であるマモンの足元にも及ばない。

だがジンの闘志はまだ消えてはいなかった。


「諦めろ、貴様はこの森では一番強いらしいが私には勝てない」

「ふざけんな…… !」


ジンは歯を食い縛りながら気合いで痛みを堪え、立ち上がった。


「てめえ、この森に隠された財宝を奪いにやって来たって言ってたな……財宝が何だかは知らねえが、お前なんかにゃ渡さねえ !」


息を切らしながらもジンは人差し指をマモンに向け、啖呵を切った。


「その財宝はこの世のどんな宝よりも価値があるかけがえのないもの……だが、財宝は今まさに失われようとしている……貴様らのせいでな」

「何…… ?」


ジンはマモンの言っていることが理解出来なかった。


「俺達のせいで森の宝が…… ?訳わかんねえこと言ってんじゃねえ !」

「哀れだな……理解出来ないか……貴様らは生かされているのだ……この森と共に……」


マモンが空しい表情を浮かべながら語っている時、突然足元から蔦が生え、獲物を捕らえた蛇のように巻き付き、マモンの全身を縛り付けた。


「貴方の相手はジンだけじゃないですよ」


苦戦するジンの助太刀に現れたのは聖霊界でリーダーシップを誇るドリアードのリア。

草木や植物を自在に操る力を持つ。


「私もいるわよ !」


リアに続いて水の聖霊サラも現れ、マモンに攻撃を加えた。

手から水流を放ち、身動きの取れないマモンの全身に浴びせる。

全身ずぶ濡れになるマモンだがそれ程ダメージを受けた様子は無かった。


「ふん、くだらない技だな」

「そうかしら ?」


不敵な笑みを浮かべるサラ。

突然マモンの全身に巻き付いていた植物が異常なまでに成長して大きく伸び、締め付けが更に強くなった。


「ぐう……」

「私の水がリアさんの植物に栄養を与えたのよ !」


流石のマモンも内側から破裂しかねない程の強い締め付けに顔を歪めた。


「助かったぜ、皆」

「あの男……ただ者では無さそうですけど何者なんですか ?」


リアは深刻そうな表情でジンに尋ねた。


「奴は強欲の魔王マモン……数千年前森を襲撃した魔王サタンの仲間だ……」

「魔王…… !?」


リアとサラの表情が強張る。

ジンは風の魔力を帯びた手のひらを前に突き出し、マモンに向かって技を放とうとした。


「あの時の俺は無力だった……だから森を、友を守れなかった……だが今は違う! さっさとてめえを森から排除してやる !」


ジンは気合いを入れると手のひらから強力な竜巻を勢いよく放ち、マモンに喰らわせようとした。


暴風射撃(ストームシュート) !」


竜巻は土砂を巻き込みながら一直線に突き抜け、肉食獣の如くマモンを飲み込もうとした。

だがマモンはニヤリと笑みを浮かべ、全身に力を込めた。


「はっ !!!」


鎖よりも頑丈に絡み付いていた植物を強引に弾き飛ばし、マモンは自由の身となった。

それだけでは無い。

目の前に迫る竜巻を固く握った拳を振り上げて遥か彼方へと吹っ飛ばした。


「なっ…… !」


聖霊達はマモンの圧倒的な力の前に唖然とした。

やはり魔王と言うだけあって一筋縄でいく相手では無かった。


「さあ、この世で最も美しく価値のある宝を頂くぞ……」


マモンは勝ち誇った様子でジリジリと迫った。

ジン達は震えながらも森を守る為に覚悟を決め、戦闘の構えを取った。


To Be Continued

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