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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
新生魔王軍進撃編
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第三百話・憎しみの剣



命を懸けたエルサの奮闘により、ゴブラを撃破に成功した。

だがその代償は大きく、エルサは体力を使い果たし、その場で倒れてしまった。

一方で部下達が固唾を飲んで見守る中、ヴェルザードとトレイギアが戦いを繰り広げていた。

トレイギアはゴブラと並ぶ、現魔王軍のトップクラスの実力者だ。

その若さで闇ギルドのリーダーとして曲者揃いの手下達を纏め上げ、魔王軍に加入し、最強のスライム・スライ相手に善戦し生き残ったりもしている。

ヴェルザードと言えどこの勝負、どう転ぶか誰にも予想できなかった。


「ゴブラがやられたようだな……大した女だ」

「人のこと気にしてる場合かよ、お前も同じようにしてやるぜ」


ヴェルザードは自らの血で作られた深紅の剣を、トレイギアは自らの片腕を剣状へと変形させ、互いにぶつけ合っていた。

間合いを詰め、僅かな隙も許さず、緊迫した状況が続いた。

両者の実力は今の所互角だった。


「はあっ !」


ヴェルザードは一瞬だけ加速し、トレイギアの腕を弾くと脇腹に蹴りを入れ、吹っ飛ばした。

トレイギアは腹を押さえながら滑るように後退した。


「ちっ……純血種め……簡単には倒せそうにないな……」


悔しそうに歯軋りをするトレイギア。

ヴェルザードはトレイギアが怯んでいる隙を狙い、容赦なく追撃を行う。


「でりゃ !」


ヴェルザードは加速して素早く背後に回り込み、剣による一撃を叩き込む。

トレイギアは即座に反応するも僅かに遅れ、肩を斬られ、鮮やかな血を流した。


「ぐっ !」


激痛が走り、肩を押さえながらトレイギアはヴェルザードを睨んだ。

その瞳は憎しみで満ちていた。


「おのれ純血種……だが俺はこの程度ではやられんぞ……はぁぁぁぁぁ !」


余程純血種に恨みがあるようだ。

トレイギアは突然血管が切れそうな程の雄叫びを上げた。

ヴェルザードは思わず距離を取り、身構える。

トレイギアは体全体に禍々しい紫色のオーラを纏い、もう片方の腕を巨大な大剣のような形へと変形させた。


「待たせたな……少し本気を出してやろう」

「面白い……とことんやろうぜ」


再び両者は激突した。

先程はややヴェルザードが優勢に見えたが、魔力を高めたトレイギアが徐々に上回っていた。

巨大な剣の形をした腕を軽々と振り下ろし、ヴェルザードを追い込んでいく。


「ただ見た目が変わったわけじゃ無さそうだな……」


トレイギアの容赦ない猛攻の前にヴェルザードは防戦一方となっていった。

小柄な体躯を生かし、目で追いきれない程加速して立ち回り、両腕の二刀流を使いこなしていく。


「づぁぁぁぁ !」


トレイギアは大地を蹴ると高くジャンプし、回し蹴りをお見舞いしてヴェルザードを無人の民家へと叩きつけた。


「ぐはっ !」


民家は衝撃で壁にクレーターが出来、ヴェルザードは地面を転がった。

辺りには彼のものと思われる血が付着していた。


「こいつ……やはり強いな……」


壊滅した魔王軍の残党なんてたかが知れてる……そう思っていたヴェルザードだったが、ここまで強い新入りがいるとは予想もしていなかった。


「流石だぜトレイギアさん !」

「相手が無限(メビウム)結束(ユナイト)だろうと関係ねえ !」


後ろの方で取り巻き達が興奮しながらトレイギアを褒め称えていた。

トレイギアはそのカリスマ性から部下に慕われている。

ヴェルザードは咳き込みながらも何とか立ち上がり、トレイギアを睨み付けた。


「エルサやワカバから聞いたことがあるぜ……種族が判別出来ない雑種がいると……人間達から迫害されたはぐれ者達が集まり、闇ギルドを結成したと……魔王軍に統合されて随分出世したじゃねえか……」


ヴェルザードは掠れた小声で呟いた。


「混血種はその混ざり合った血のせいで1人1人の力は弱い……だからはぐれ者同士で徒党を組み、地道に名を上げるしか無かった……魔王軍に入れたのは今思えば都合が良かったな……」


トレイギアは肩を回しながらヴェルザードに向かってゆっくりと近付いた。


「混血種の中には稀に強大な潜在能力を持つ者が生まれるって話があるが……お前なのか…… ?」

「少し違うな……これから死ぬお前には関係ないと思うが、一応教えておこう……俺の正体を……」


トレイギアは深く息を吸い、呼吸を整えた。


「俺は混血種ではない……俺は元は人間なんだ……」


トレイギアの口から衝撃の事実が語られた。

ヴェルザードも後ろの部下達も開いた口が塞がらなかった。


「このトレイギアと言う名前も、本当の名では無い……今は亡き友と交わした、絆の証だ」


トレイギアはヴェルザードを強者と認め、己の出自を語ることを決意した。

話は5年前へと遡る……。


To Be Continued

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