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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
新生魔王軍進撃編
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第二百九十八話・エルサvsゴブラ



ペルシアの罠によってリリィ達が結界に閉じ込められ、ペルシア親衛隊と戦わざる得ない状況に置かれていた。


一方エルサとヴェルザードは現魔王軍のツートップであるトレイギアとゴブラをそれぞれ相手にしていた。


「はぁぁぁぁぁぁぁ !」


キィンッ キキィン


騎士団のリーダーと下級魔族達の王の戦いは激しさを増していた。

エルサは加速しながら接近し、高速で剣を振るい、得意の猛スピードでゴブラを翻弄する。

だがゴブラも巨体とは思えぬスピードで拳を振り下ろし、エルサの剣撃とぶつけ合って相殺していく。

両者の力はまさに互角で一進一退の攻防戦が続いた。


「エルフ族にしては大した剣さばきだな !」

「君もゴブリン族とは思えぬ強さだ !」


戦いながら互いを褒め称える二人。

手応えを肌で感じながら何処か嬉しそうだった。


「少し本気を出すか…… !」


ズバッ ズバズバズバッ


エルサは全身に風を纏うと更に加速し、目にも止まらぬ速さで連続で剣を突き、ゴブラの全身を切り刻む。

流石のゴブラも肉眼で追いきれなくなり、腕を十字に組んで絶え間無く繰り出される攻撃を受け続けるだけで精一杯だった。

身体中に赤く切り傷が刻まれ、鮮血が飛び散り宙を舞う。

だがゴブラはビクともしなかった。


「肉質が硬いな……まるでダメージが通っていないぞ…… !」


ゴブラの皮膚は岩石よりも硬く強固に出来ており、寧ろ彼女の剣が刃こぼれを起こす程だった。


「はぁ……はぁ……」


これ以上は埒があかないと判断し、エルサはゴブラから距離を取った。

手下達を長時間相手にしていたのもあり、エルサは疲労で息が上がっていた。


「ゴブリンロード……恐るべき耐久力だ……私の攻撃なんて蚊に刺される程でしかない……」

「当然だ、俺はゴブリン族の中の突然変異……生まれながらにして全てを支配する強大な潜在能力を持っていた俺はゴブリン達の王となった……」


ゴブラはエルサを見下ろしながら静かに語った。


「そして、魔王軍に加入したことで俺は更なる力を得たのだ……」


ゴブラはニヤリと口角をつり上げると、腰を落とし、顔を真っ赤にしながら全身に気合いを込めた。

その瞬間、ゴゴゴゴと大地が揺れ、獣の咆哮にも似た地響きが鳴った。

エルサはゴブラに対して警戒心を強め、神経を集中させた。


「はあっ !」


ゴブラの肌は濃い緑色に染め上げられ、目は赤く充血し、背中から突き破るように禍々しい蝙蝠のような翼が生えてきた。


「何だ……この変化は…… !」


エルサはゴブラの変身を前に驚愕し、目を丸くした。

ゴブラは魔王サタンから魔力を注ぎ込まれ、新たな力に目覚めていた。

言うなればゴブリンロード・アークである。

バチバチと赤いスパークを全身に走らせ、禍々しい魔力を周囲に放っていた。


「さあ……続きと行こう」


そう言うとゴブラは3メートルは越える巨体で大地を揺らしながら走り出し、エルサに襲い掛かった。


「くっ…… !」


剣を構え、迎え撃つエルサ。

しかしゴブラは巨体に似合わずエルサを上回るスピードで彼女の攻撃をかわして巨大なパンチを繰り出し、カウンターを決めた。


ドォンッ


「かはっ !」


エルサの腹に強烈な一撃が炸裂した。

鈍い音が響き、全身が痙攣を起こした。

激痛に顔を歪ませ、エルサの動きが止まる。


ガシッ


その隙を逃さず、ゴブラはエルサの足を掴むと軽々と持ち上げ、何度も地面に叩きつけた。


「うわぁぁっ !」


地面がひび割れる程の強さで叩きつけられ、エルサは苦痛のあまり絶叫を上げた。

辺りに彼女のものと思わしき血痕が付着する。


「これで終わりではないぞ」


ゴブラは彼女の両足を握りしめたまま翼を広げ、大空へと上昇した。

エルサは痛みに耐えながら必死に抵抗し、拘束から逃れようとするが焼け石に水だった。


「ぬわぁぁぁぁぁ !」


ゴブラは片腕を大きく振り上げ、上空から勢い良くエルサを大地へと投げつけた。

隕石が落下するようにエルサは何も抵抗できぬまま地面に叩きつけられた。

衝撃で巨大なクレーターが出来る程だった。


「ぐはっ !」


全身に痛みが走り、思うように動けず仰向けで空を見上げることしか出来なかった。

だがゴブラは攻撃をやめようとはしなかった。


「すまんな……魔王の力を解放したせいで興奮状態なんだ !」


ゴブラはニヤリと笑うと翼を広げ、倒れているエルサ目掛けて急降下した。

3メートルはあるゴブラの巨体がエルサを押し潰す。

衝撃で砂埃が舞い、轟音が鳴り響いた。

エルサは重力に押し潰され、苦しそうに血を吐いた。

何度も何度も重いダメージを喰らい、エルサは虫の息となっていた。

常人ならとっくに命を落としても不思議ではない。


「あ……あ……」

「エルフにしては良く鍛え上げられているが、相手が悪かったな……」


動かなくなったエルサを前にゴブラは勝利を確信し、とどめを刺そうとした。


「ま……まだだ……」


エルサはあれだけ攻撃を喰らいながらも歯を食い縛り、よろめきながらも立ち上がった。

全身が血まみれで片腕を押さえており、息をするのもやっとの状態だった。

少し指で押せば簡単に倒れてしまう程だ。


「諦めの悪い女だ……もう勝負はついてると言うのに……」


ため息をつきながらゴブラはゆっくりと地響きを鳴らし、彼女に近づいて行く。

体力の限界は近く、立っているのもやっと……。

果たしてエルサに勝機はあるのか……。


To Be Continued

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