第二百八十五話・それぞれの出航
こんにちわ、烈斗です!
遂に平成も終わり、今日から新時代、令和に突入しました!
令和に入って初投稿になります。
巨大魚幻獣の鎧編、完結しました……。
次回から最終章の序章に入ります。
皆さん、最後までお付き合いお願いします!
英雄メイツに託され、巨大魚幻獣の鎧を装備したマルクは暴走をするリヴァイアサンを撃破し、見事力に取り込まれたエレインを救出に成功した。
海賊達はエレインを連れ、島から撤退していった。
本来なら海賊達を捕まえるべきなのだが、今回海賊達は鎧を手に入れようとしただけで特に罪は犯していない為、手は出せず、黙認せざるを得なかった。
マルクはもしまた悪事を働いていたらその時捕まえれば良いと楽観的に考えていた。
「一時はどうなることかと思ったけど、皆無事で何よりだぜ」
伝説の鎧を手に入れたマルク達は洞窟を抜け、船が打ち上げられている浜辺に戻ってきた。
ラゴンとメリッサの船も近くに打ち上げられていた。
鎧が手に入った以上、古代亀の島にもう用はない。
ヴィオ村長も心配している、早く村に戻りたい。
一行はそう思っていた。
「さて、お前達とはここでお別れだな」
マルクはラゴンとメリッサに別れの挨拶の言葉をかけた。
「おう、またいつか会おうぜ、伝説の鎧を手にして強くなったと思ってるようだが、俺も日々進化している、今度手合わせしようぜ」
「ああ」
マルクとラゴンは互いに手を差し出し、強く握手を交わした。
「後坊主、お前は見所がある、いつかまた会えたら一緒に戦おうぜ、それまでもっと鍛えとけよ !」
「うん! ラゴンの兄貴、メリッサの姉貴 !」
グレンは笑顔でラゴンと拳を合わせた。
二人はシーボースとの戦いを経て友情が芽生えたようだ。
「男同士の友情ね」
メリッサはそんな二人を微笑ましく見つめていた。
「じゃあ、俺達は先に行くぜ」
「ラゴン、アタシ達まだデートの途中よ? 」
メリッサはラゴンに腕を絡ませながら甘えるような声で呼び掛けた。
二人はマルク達に別れを告げ、自分達の船に入っていった。
「そんじゃ、俺達も行くかな」
「うん」
マルク、マキリ、グレン、ルーシー、メラの五人も船を出航させ、半魚人の村へと向かっていった。
こうして長きに渡る古代亀の島での壮絶な戦いも終わりを迎えた。
魔海人海賊団は乗組員全員を海賊船に乗せ、古代亀の島から撤退し、海を渡っていた。
荒々しく叩きつけるように波が打ち付けられ、船は大きく揺れ、水飛沫が雨のように降りかかった。
「ん……ここは……」
そんな中、船上で眠っていたエレインは意識を取り戻した。
だがリヴァイアサンに取り込まれた副作用からまだ魔力が戻りきっておらず、暫くは体を動かすことが出来なかった。
「おお! 船長が目を覚まされたぞ !」
「船長! 船長 !」
乗組員達は歓喜の声を上げ、一斉に騒ぎ始めた。
「やかましい! お前らのうるさい声が船長のお体に響くだろうが !」
シーボースは怒鳴り声を上げ、乗組員達を諌めた。
「シーボース、アンタの声が一番響くよ」
冷ややかな目でカリブはシーボースに突っ込みを入れた。
「あの……シーザーは……いる…… ?」
「はい、俺はここにいます」
シーザーはベッドに横たわり、力なく呟くエレインに近寄った。
「私……あれからどうなったの……」
「はい……俺が説明します……」
シーザーは覚悟を決め、泉に突き落とされてから記憶のないエレインに事の顛末を話した。
追い詰められたエレインは禁忌のカード、リヴァイアサンの力を使って暴走したこと、半魚人のマルクが伝説の鎧に選ばれ、鎧の継承者となり、リヴァイアサンを倒したこと……。
そして海賊達は見逃され、こうして今島から撤退しているということ。
「そう……つまり私達は負けたのね……」
「そういうことになります……」
幹部達は敗れ、ナンバー2のシーザーもラゴンに負け、エレインは目当ての鎧も手に入れることが出来なかった。
完全なる敗北である。
「まあ良いわ、アタシ達は別の手段で強くなればいいもの」
ショックが大きいかと思われていたが、案外エレインは現実を受け入れ、けろっとしていた。
「船長……」
「さ、気持ちを切り替えて、次の島へ行くわよ !」
エレイン船長の掛け声と共に、海賊船は太く響くような汽笛を鳴らし、黒い煙を排出しながら真っ直ぐに突き進んでいった。
彼女達の冒険はこれからも続いていく。
「レヴィアタン様……やはり貴女様の力が必要です……いつか必ず復活させてみせます……」
エレインは首にぶら下げていたロケットを眺めながら胸に誓った。
彼女の新たな目的は魔王レヴィアタンを復活させることだ。
シーザーはそんな彼女の姿を遠くから見守っていた。
「ラゴン……互いに違う道を選んだが……またいつか会おう……次は俺が勝つ」
シーザーの表情は何処か晴れやかだった。
「ふう~疲れた~」
マルク達は全員船に乗り、古代亀の島を離れ半魚人の村を目指し、北へと向かっていた。
幸い天候も悪くなく波も穏やかで帰りは安全な船旅になりそうだ。
皆船上で涼しい風を浴びながらゆっくりし、疲れた体を癒していた。
「それにしても、これが巨大魚幻獣の鎧か……」
マルクは目を輝かせながら腕に装着されたブレスレットを見つめていた。
「お前が英雄メイツの鎧を受け継ぐとはな、兄として鼻が高いぜ」
マキリはにこやかにマルクの背中を叩いた。
「いてえよ、少しは加減しろよ !」
「所でさ、アンタ泉の底に沈んだのによく生きて戻れたわよね」
当時の事を思い出しながらメラは不思議そうにマルクを見つめた。
「あの時は流石の俺ももうダメだと思って絶望したぜ」
マキリは涙ぐみながらマルクに肩をかけた。
「ああ……あの時、俺は死を覚悟した……だけど、威厳のある声のする若い半魚人が俺を助けてくれたんだ、伝説の鎧もその人がくれた……すぐ消えちまったけどな」
「何それ怖い、幽霊 ?」
思わず青冷めながら震え上がるメラ。
「……もしかして……数千年前の英雄、メイツが助けてくれたんじゃないのか ?」
マキリはマルクの腕のブレスレットを見つめながら言った。
「た、確かに……そんな気がする……」
「英雄自らがお前を継承者として認めてくれたってわけだな」
マキリはマルクの肩を軽く叩いた。
「お前は英雄に認められたんだ、これからも英雄の名に恥じぬよう、しっかりやれよ」
「私も応援してるわ」
「俺もだぜマルクの兄貴 !」
皆に期待の眼差しを向けられ、マルクは照れ臭そうにしながらポリポリと指で頬を掻いた。
「所で兄貴、兄貴はこの後どうするんだ? もう海賊からも解放されたし、また旅に出るのか ?」
マルクはマキリに今後について尋ねた。
「いや、俺は……村に残るよ、勝手にいなくなって迷惑かけたし、ヴィオ村長を助けてやらなくちゃなって思ってな……それに英雄の兄貴なんだ、いつまでもフラフラしてられねえさ」
マキリは天を仰ぎながら大笑いした。
「そうか、流石兄貴だな」
マルクはホッと安堵した様子でマキリの顔を見つめながら微笑んだ。
もう兄が失踪することはないだろう。
こうして談笑しながらマルク達は帰る場所を目指し、大海原を進み続けた。
だが、彼等が海を渡っている間、街ではとんでもない事態が起こっていた。
To Be Continued




