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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
巨大魚幻獣(バハムート)の鎧(アーマー)
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第二百七十三話・悪魔二銃士×マルク



一方マルクはカリブによって飛ばされ、薄暗い森の中をさ迷っていた。

グレンやルーシー達が各地で海賊の幹部を撃破したことなど知る由も無かった。


「兄貴ー! グレーン! ルーシー ! メラー !………」


マルクはひたすら仲間の名前を呼ぶが、誰一人として返事は返ってこなかった。


「あのクソババア……こんな所まで飛ばしやがって……」


文句を垂れながらマルクは森を歩き続けていると、何かの気配を感じた。


「魔物か…… ?」


咄嗟に身構え、辺りを警戒するマルク。

すると、巨大な影と一回り小さい影が見えた。

先手必勝と言わんばかりにマルクは影に向かって襲い掛かった。


「ちょちょちょ !たんまたんま !」


必死に命乞いをする謎の影に対し、マルクは寸での所で手を引っ込めた。

現れたのは魔物から逃げ回っていたライナーとサイゴだった。

二人とも全身汗だくでくたくたになっていた。


「あ……あんたは……半魚人(マーマン)…… !?」

「お前ら……オーガの里で神器を狙ってた奴らか…… !」


マルクはかつて、オーガの里にて彼等と対峙した事があった。

あの時マルクはライナーを撃破した。

因みに魔王城でも会っていたがその時の印象は薄い。


「ひいいい、攻撃しないで下さい~ !」

「もうヘトヘトで戦いたくないゾ~ !」


ライナーもサイゴも息を切らし、すっかり怯え切っており、戦意は感じられなかった。

流石のマルクも二人の狼狽えぶりを見て拍子抜けした。


「で……お前ら……何でここに居るんだよ」

「実は……」


ライナーとサイゴは事情を説明した。


「成る程……伝説の鎧を探してたら魔物に襲われ、必死で逃げてたら一緒にいた女とはぐれちまったってわけか」

「レヴィさん……今頃何処で何をしているんでしょうか……心配です……」


ライナーはレヴィのことが心配で不安に押し潰されそうになっていた。


「レヴィは小さいけど強いゾ、そう簡単にくたばるはずがないゾ」


ライナーとは対照的にサイゴはレヴィの無事を信じていた。


「お前ら、悪党だと思っていたが、仲間思いな所あるんだな」


マルクは少しほっこりした気持ちになった。


「俺も仲間達とはぐれて今アウェーなんだ……それに厄介な海賊の幹部達が俺達を排除しようとしてやがる……兄貴や仲間達と合流するまでの間、手を組まねえか ?」


マルクは奇しくもルーシーがレヴィにそうしたように、彼等に一時的な同盟を持ち掛けた。


「え……ど、どうしますか ?」

「この半魚人(マーマン)は確かに強いゾ、この島には未知なる脅威が潜んでる……手を組んだ方が得だゾ」


ライナーとサイゴは異論なく、マルクと手を組むことにした。

マルクとしても一人でいるより数人で行動した方が安全だ。


「取り敢えず森を抜けるか、俺は兄貴達を、お前らは女を探す……それで良いな ?」

「はい……悔しいですが貴方が居れば心強いですしね」

「そうだゾ」




かくしてマルクは敵であるライナーとサイゴと共に森の中を探索していた。

暫く歩いていると森を抜け、巨大な洞窟を見つけた。

洞窟の入り口の前には「立ち入り禁止」と書かれた木製の看板が立てられていた。


「なんですかねここは……」

「立ち入り禁止……物騒な洞窟だゾ」


良くない想像を膨らませ、二人は互いに身を寄せ合い、震え上がった。


「いや、この看板……汚れや傷も少ないし書かれた文字が新しい……最近立てられたっぽいな」


マルクは看板をまじまじと見つめながら言った。


「どうやら海賊達が他に人を寄せ付けないように立てたらしいな」

「じゃあその海賊ってのは洞窟の中にいるってことっすか ?」


怯えながら洞窟を見つめるライナー。


「ここに兄貴達がいる可能性は無さそうだな……他あたるぜ」


マルクは洞窟の入り口前から立ち去ろうとした。

その時……。


「なんだいなんだい騒々しいねえ」

「お前は……! カリブ…… !」


洞窟の中から一人の中年の女が姿を現した。

肥満体型で煙草を吸いながら歩き、品性を微塵も感じられない、トロールやオークのように醜悪な容姿だった。


「アンタ……アタシがランダムに飛ばしてやったのに運悪くここにたどり着いちまったってのかい」


中年の女は驚いた様子でこちらを見ていた。

間違いない、マルク達を離れ離れにさせた元凶、魔海人海賊団のカリブだ。

どうやら見張りをしに外に出てきたらしい。


「ちっ……兄貴達を見つける前に厄介な奴に見つかっちまったな……」


マルクは冷や汗を垂らしながら拳を握り、構えた。

ライナーもサイゴもあの中年の恐ろしさを

理解出来ていなかったが、マルクの様子を見て察した。


「なあ、あの女って何者ゾ ?」

「……お前らと同じく伝説の鎧を狙ってる例の海賊だ、特にこの女はやべえぞ」


一時的にとは言えカリブの体内に取り込まれたことでマルクは彼女の恐ろしさの一端を身を持って体感している。


「アンタよく見たらあのマキリに似てるねぇ、もしかして兄弟かい? しかもその怯えようもそっくりだねえ」


ゲラゲラと嘲り笑うカリブ。

プチンとマルクの中で何かが切れる音がした。


「兄貴を馬鹿にすんのは……許さねえぇぇぇぇ !!!」


兄を侮辱されたことに怒り、マルクは後先考えずにカリブに突っ込んでいった。


半魚人(マーマン)! 何やってんすか !」


ライナーの呼び掛けもまるで聞こえない。


「若いねえ、でもその無謀さ、見直したよ、あのヘタレとは大違いだ」


ニヤリと余裕の態度を保ちながらカリブはどっと構えた。

マルクは怒りに身を任せ、勢い良く強烈なパンチを繰り出した。


ドオオオオン


何処かで爆発が起こったかのような凄まじい轟音が響き渡り、小鳥達が一斉に飛び立った。

だが、カリブにはまるで効いていなかった。


「何 !?」


拳が命中する刹那、カリブは人間態からカリブディスへと変身し、防御を高めたのだ。


「アンタにも叩き込んでやるよ、あたしら海賊に逆らったらどうなるのかをね」


カリブは威圧感を出し、恐ろしくドスの利いた声でマルクの耳元で囁いた。


To Be Continued

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