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ランプを片手に異世界へ  作者: 烈斗
巨大魚幻獣(バハムート)の鎧(アーマー)
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第二百六十五話・古代亀の島



古代亀の島……。

それは海亀の分厚い甲羅のような形をした直径34メートルの無人島である。

熱帯雨林に囲まれ、多くの危険な魔物が生息し、人間が足を踏み入れたら二度と生きて帰れないと言われる死の魔境。

数千年前からその姿を変えずにいる。

島の奥地には伝説の秘宝が眠ってると言われている。

それこそが半魚人(マーマン)の英雄メイツが着用していたとされる防具「巨大魚幻獣(バハムート)(アーマー)」だ。

その鎧を狙い、最凶最悪の海賊「魔海人海賊団」が古代亀の島に上陸した。


マルク達は海賊達の野望を阻止すべく、この危険極まりない無法地帯に数日かけてやって来た。

マキリには知り合いに船乗りがいて、快く船を貸してくれた。


「それにしても蒸し暑いなぁここは」


マルク一行は伝説の鎧を目指し、熱帯雨林の中をひたすら歩いていた。

島の気温は20℃以上あり、最悪熱中症か脱水症状で命を落とす危険もあった。

特に半魚人(マーマン)は他の種族以上に水分を必要とする。

その為、予め大量の水や食糧を用意しておいた。


「所で兄貴は何でこんな島に行こうとしてたんだ ?」

「決まってんだろ、この島には沢山の魔物が生息している、絶好の修行場になると思ったんだよ、まあ海賊達のせいで台無しに終わったんだがな」


不機嫌そうに語るマキリ。

その様子をメラは呆れながら聞いていた。


「その海賊ってそんなに恐ろしいの ?」


グレンは純粋な目でマキリに聞いてきた。


「そうだな……主なメンバーは海に住んでる魔族達なんだけど、幹部クラスがクソやべえんだ、思い出しただけでチビりそうになるぜ」


サーっと血の気が引き、青ざめた表情を浮かべ、身震いしながらマキリは海賊達について語り始めた。


「魔海人海賊団」……。

その中でも高い魔力と残虐性を秘め、罪無き弱者を蹂躙する厄介極まりない極悪人達がいた。

一人目は下半身が蛸の足である「クラーケン」のクライ。

幹部の中で戦闘力は低いが、八本の足を利用して獲物を引きずり込む搦め手が得意な男だ。

女にだらしなく、毎日酒を飲みばか騒ぎしている。

二人目はカリブ。肥満体型の中年女で古代を生きた怪物「カリブディス」の遺伝子を継いでいる。

腹を膨らませ、いくらでも相手の魔力を吸収してパワーを増す。

三人目はシーボース。褐色肌でスキンヘッドの強面の男だ。

黒い巨人「海坊主」に変身し、いくつものを貨物船を沈めてきた。

四人目は副船長のシーザー。「魔海人海賊団」の中でもナンバー2の実力を持つ。

メンバーの中で最も冷酷で失敗した部下は容赦なく粛清すると周りから恐れられている。

最後は船長のエレイン。

美しい人魚の姿をしている。

何千年も老いることなく生き続ける絶世の美女。

しかしその本性は自己中心的でエゴの塊。

自らの欲望の為に他者を平気で利用する外道。

その美貌に騙され、何十何百人もの男が犠牲になっている。

巨大魚幻獣(バハムート)(アーマー)」を狙っている理由は未だに不明。


「成る程……そんな奴等が……兄貴が敵わないわけだぜ」


マキリの話を聞き、マルクやグレン達は思わず冷や汗をかいた。


「俺も慢心していたよ……世界はこんなに広いんだと思い知らされた……よく逃げて来れたよ」


天を仰ぎながら自嘲するマキリ。


「心配すんなよ兄貴、兄貴がいない間、俺はすんげえ強くなったんだぜ? 例え魔王軍だろうと海賊だろうと軽くぶちのめしてやらぁ !」


マルクはマキリを見ながら握った拳を突き出した。


「見違えたな、マルク……」


マキリは微かに笑みを浮かべながらマルクの拳をコンッと小突いた。


「ちょっと静かにして……」


突然ルーシーが二人を制し、辺りを警戒し始めた。

どうやらエルフ族特有の長耳が何か気配を

察知したようだ。


「どうしたのルーシー ?」

「何者かが隠れて狙ってるの……」


いつも余裕でマイペースなルーシーだったが、この時は顔を強張らせ、真剣な表情をしていた。

マルク達はルーシーの言葉を信じ、互い互いに背中合わせになりながら周囲を隅々まで見渡した。


「まさか……海賊か ?」

「魔物かも知れないよ……」


マルクとマキリは両腕で戦闘の構えを取り、グレンは背中に背負った神器を抜き、ルーシーもメラを後ろに隠し、脇差しからレイピアを抜いて構えた。

ピリピリと空気が張り詰められ、周囲は緊張感に包まれた。


ピシュンッ


草むらから銀色に光る長い槍が飛んできた。


「でりゃっ !」


マルクは即座に反応し、腕に備わったヒレの刃で弾き落とした。


「誰だ! コソコソ隠れてないで出てきやがれ !」


マルクが怒鳴ると、草むらからゾロゾロと海賊の手下達が姿を現した。

海賊達は円になると瞬く間にマルク達を取り囲み、逃げ場を無くした。


「おいおい、ここは無人島のはずだろ? 何で堂々と人が歩いてんだよ」

「この島は俺達海賊団が占拠した、悪いことは言わねえ、有り金全部置いて逃げ去りな !」


海賊の手下達の中から悪意に満ちた声が次々と飛び交う。


「ちょっと、いきなりピンチじゃない !」

「こんなのピンチでも何でもねえさ、そうだろ兄貴 !」


マルクは大声でマキリに呼び掛けた。


「ああ、こいつらは幹部クラスじゃねえ、雑魚共の集まりだ」

「んだとぉ !?」


マキリの発言に頭に血がのぼり、部下の一人が前に出た。


「俺達海賊を甘く見てるな? まあ良い、やっちまえ !」


海賊の一人の掛け声をきっかけに、海賊の手下達は一斉にマルク達に飛び掛かった。


To Be Continued

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